もの忘れ外来

もの忘れ外来

もの忘れ外来について

もの忘れ外来は、脳神経内科外来で診療しています。認知症の診断、進行を遅らせる方法の検討、認知症の方との接し方のご家族指導などをおこなっています。ご家族指導は、認知症認定看護師とともにおこない、特に力をいれているところです。

認知症の方との接し方について、多くの方にご理解いただければ、認知症があっても住み慣れた地域で長く生活していくことができます。認知症診療は街作りでもあります。杉並やその周辺の地域が認知症の方の住みやすい街になるようお手伝いをしていきたいと考えております。

受診の流れ

①お電話でご予約
※もの忘れ外来を初めて受診される方はなるべくかかりつけ医などからの紹介状をお持ちください。

②初診時
認知症の方はご本人には自覚がなく、ご家族からご本人の生活状況などをうかがう必要があるため、原則ご家族などと受診していただきます。
・ご本人:医師の診察→別室で記憶力などの検査
・ご家族:診察に同席→ご本人が検査中に、ご本人とは別にお話をうかがう
問診や記憶力の検査の結果、認知症の可能性がある方は検査を予約します。

③検査
血液検査、頭部MRI(VSRAD)、脳血流スペクトなど

④結果説明
検査結果・病気の説明
病気によって、進行を遅らせる薬のある病気に対しては薬を処方
必要時、行動・心理症状に対して薬の処方
デイサービス利用などの介護保険サービスの案内
困っていることに対する生活の工夫の仕方をアドバイス
ご本人との接し方のアドバイス

⑤その後
症状が落ち着いている場合は、かかりつけ医に引き継ぎます。ただし症状に変化が出た場合などは、再度当科を受診していただきます。

認知症

認知症とは?

「あれ?昨日の晩ごはん何食べたかしら?」
「テレビに出ているあの俳優さんの名前が思い出せないわ」
皆さんこのような経験ありますよね。このようなもの忘れは認知症でしょうか?もちろん違います。

認知症とは
・脳の病気が起きることにより
・記憶・判断力などの障害がおこり
・社会生活・日常生活に支障がある状態
を言います。この3つの条件を満たすもの忘れは認知症です。つまり、軽いもの忘れがあっても、脳の病気がなく、生活に支障がなければ、認知症ではありません。加齢によるもの忘れやど忘れと、認知症は区別をして考えなければいけません。

加齢によるもの忘れと認知症の違い

  加齢によるもの忘れ 認知症
もの忘れの内容 人の名前、物の名前など一般的なことや体験した出来事の一部 自分が体験した出来事全体
もの忘れの自覚 あり なし
生活への支障 なし あり
日付 考えればわかる わからなくなることが多い
判断力 保たれる なくなる
物事の段取り 保たれる 悪くなる
性格の変化 なし あり
意欲 保たれる なくなる

認知症を起こす主な病気は、アルツハイマー病、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などです。中には慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、甲状腺機能低下症、栄養障害や薬物による認知症など治る病気も含まれています。治る病気が発見された場合は、手術や服薬治療などを行います。治らない病気でも、進行を遅らせる薬がある病気もあります。また、生活習慣病の管理や生き生きと生活することは、発症を予防したり、進行を遅らせたりする効果があります。

認知症の症状は、記憶障害を代表とし、必ず出る中核症状と、出る人と出ない人がいる行動・心理症状があります。行動・心理症状が出る場合は、患者さんの不安など何かしらの原因があることが多いのです。身近な人が正しい接し方をしたり、ちょっとした工夫をすることで症状が出なくなることも多く、身近な人の認知症に対する理解が重要です。

認知症は病気であることを理解し接しましょう

認知症は脳の病気です。病気になって一番つらいのは患者さんご本人です。認知症の特徴として、病気の自覚はなくなります。しかし、心の奥では、「これまでと何かが違う」とか「何か失敗をしたんじゃないかしら?」と不安に思っていると言われています。常に不安感があるということは、とてもつらいことだと思います。病気のせいで、わからなくなったり、できなくなったりしたことを責めるようなことは、この不安を大きくしてしまうので、してはいけないことです。肺炎という「病気」で咳をしている人に「どうして咳をするの!」と怒る人はいません。しかし、認知症という「病気」で話したことを忘れてしまったり、何かができなくなった人に、「さっきも言ったでしょ!」とか「どうしてこんなこともできないの!」と言ってしまう人はいます。そうなると、「自分は何も悪いことをしていないのに、どうして怒られるのかしら?」と悲しくなるでしょう。認知症の方は、細かい出来事は覚えていませんが、感情はとても繊細で、残像のように残ると言われています。安心で居心地が良いと感じれば、とても穏やかに過ごせます。不安を助長させられたり、居心地が悪いと、行動・心理症状につながることもあります。例えば、鍵をどこに置いたか忘れてしまった場合、しばらく探して見つからないと、心の奥では「何かおかしい」と感じつつも、「また鍵をなくして!」などと責められると、「自分はしっかりしているんだから、自分がなくしたはずがない」→「ということは、誰かに盗られたんだわ」という風に思考が進んでいき、行動・心理症状の一つの「もの盗られ妄想」となります。こうなると、こだわってしまいます。このような場合の良い対応の例としては、身近な方は「今、鍵を借りているから、あとで返しておきますね」などと、事実とは異なっても、ご本人が安心できるような対応をします。安心すると、その出来事は忘れてしまうことが多いです。
認知症は病気だと考えれば、怒りたくなるところを一歩立ち止まって、ご本人は何を不安に思っているのか考えが及び、どのように対応したらよいか、自然とわかってくるのではないでしょうか。

もの忘れ外来のご案内

診察場所 :河北総合病院 分院 内科外来
診察日時 :月曜日 午前(担当医:片山 真樹子)、火曜日 午前(担当医:荒木 学)
お問合わせ:分院受付