成人股関節疾患の病態と治療
(人工関節センター)
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成人股関節疾患の病態
変形性股関節症とは
変形性関節症は関節軟骨が摩耗していき、股関節が変形していき、痛みや機能障害を引き起こす疾患です。
股関節は、大腿骨の上端の丸い骨頭が骨盤のくぼみ(寛骨臼)にはまり込むような形をしています。骨頭のおよそ2/3 が寛骨臼に包み込まれていて安定性があり、しっかりと体を支えています。関節の表面はなめらかな軟骨に覆われていて、関節周囲の筋肉によって自在に動かすことができます。変形性股関節症では、この関節軟骨がすり減って変性したり、脆くなって剥がれた軟骨の断片が周辺組織を刺激し、炎症を起こして痛みを生じて、骨頭や寛骨臼が変形してしまいます。
変形性股関節症は女性に比較的多く、発症年齢は40~50歳が多いとされており、その原因は体重、運動負荷、遺伝的素因などが考えられています。2000年以降になって股関節唇損傷が変形性関節症の原因であることが報告されました。また骨格の問題で寛骨臼形成不全といって、骨成長後に骨頭に対して寛骨臼が狭い方は、20代以下の若年でも痛みが出る場合があります。これは特にアジア系人種で多いことがわかっています。
成人股関節疾患の治療
股関節唇損傷に対する治療
股関節唇は骨盤側の股関節の屋根の部分のまわりを取り囲む柔らかい軟骨で、大腿骨頭を包み込んでいます。大腿骨頭を安定化させ、衝撃吸収の役割を担っています。関節唇が損傷すると大腿骨頭が安定しなくなり、次第に軟骨が破壊され、軟骨がすり減って変形性股関節症になると考えられています。ほとんどの場合、保存的加療で治るといわれていますが、軟骨がすり減ってしまうと変形性股関節症になってしまいます。必要に応じて関節注射をおこない、PRP(Platelet Rich Plasma)の再生医療をおこなうこともあります。保存加療で症状が改善しない場合は手術が必要になることもあります。
寛骨臼形成不全に対する治療
寛骨臼形成不全の股関節では体重を支える荷重面が少なく関節が不安定で骨盤側の屋根が浅い分、股関節唇に負担がかかります。股関節唇は柔らかい軟骨組織のため、長年の負担が股関節唇損傷の原因となります。徐々に軟骨の摩耗や変性が進み長期経過で変形性股関節症になることが明らかになっています。軟骨変性が生じる前の適切な時期に手術をおこない関節症の進行を防止することが必要です。手術は低侵襲な前方アプローチでの寛骨臼移動術をおこなっています。術後は約6~7週で全体重をかけて歩くことが可能です。

変形性股関節症に対する治療
保存療法(手術をおこなわない方法)と手術療法があります。保存療法には、消炎鎮痛剤などの薬物療法や、股関節周辺の筋力トレーニングなどの運動療法、体重の減量や杖の使用による股関節への負担軽減などがあります。関節症が進行していない患者さんにはPRP(Platelet Rich Plasma)の再生医療をおこなうこともあります。関節症変化が進行し、疼痛や機能障害により日常生活の制限が多くなった場合は人工股関節全置換術をおこないます。手術の利点は痛みがほとんどなくなること、関節の動きが改善することです。当院では筋切離をおこなわない前方アプローチでおこなう低侵襲手術をおこなっています。この方法では術後の痛みが少なく、人工関節の脱臼が抑制でき、術後約2週で杖歩行可能となり自宅退院できます。

成人股関節疾患 担当医師
診察日時:月・金曜日 午前
診察場所:河北総合病院(本院東館) 整形外科外来
担当医師:湯浅 崇仁
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