新人広報と学ぶ
ピルで生理の悩みが解決するって本当?
広報課の新人が、創立93周年の歴史ある河北医療財団や、杉並区のプチ情報をご案内いたします。
こんにちは、新人広報 阿佐美です。
最近、snsで日本でのピルの使用率についての投稿を見ました。日本のピルの使用率は2.9%で、他国と比べ、とても低いといわれています。以下のグラフで見ると、欧米の使用率が高いという結果が分かりますね。ピルといっても低用量や中用量など、用量と種類がいくつかあるようです。用途や体に合わせて処方されます。今回は、低用量ピルで解決できる生理(月経)についてお話します。
生理(月経)の仕組み
約1ヵ月に1回、卵巣から卵子の排出をおこなう排卵がおこり、子宮では内膜を厚くし、受精卵の受け入れ態勢を整えます。しかし、卵子が受精しなかった場合、準備した子宮内膜は不要となるため、剥がされ体外に排出されます。この現象が生理(月経)です。排卵と生理のサイクルは、2種類の女性ホルモンの影響を受けます。
卵胞ホルモン(エストロゲン)
生理が終わってから排卵までの排卵期に多く、たくさん分泌されることで子宮内膜が厚くなる。
黄体ホルモン(プロゲステロン)
排卵後から生理までの黄体期に多く、子宮内膜を妊娠に適した状態に変化させる。
正常な生理(月経)の目安
開始年齢 | 12歳頃 |
---|---|
月経血量 | 20~140g |
凝血(体の外から出て固まった血液) | なし |
周期 | 25日~38日(変動が6日以内) |
持続日数 | 3~7日以内 |
排卵 | あり |
月経障害 | なし~軽度 |
月経の開始年齢、血量、周期、持続期間、排卵の有無、月経障害の程度から正常と異常を判断します。
参考:公益社団法人 日本産婦人科医会による正常な生理(月経)の目安
今まではなんとなく月に1回やってくるものという認識でしたが、生理の仕組みはホルモンが影響しているということを知りました。140gってどれくらいだろう?と調べたら、チンゲン菜一袋分とでてきました(笑)チンゲン菜といわれても、分かりにくいですよね。ちなみに12歳からはじまった場合、閉経の平均年齢である50歳までの38年間で合計すると、なんと63,840g!約63kgもの出血を、生理だけで起こしているってことです。びっくりです!これだけ出ていれば、体調や心の変化があるのは納得です。ただし63kgは正常な量なので、月経不順で量が多い方はさらに出血をしているということですね。
低用量ピルの効果
低用量ピルには、上記で説明したエストロゲンとプロゲステロンが合成されています。そのため、内服することで体内に2つのホルモンが入り、脳がホルモンの分泌は必要ないと判断し、排卵を休止することで避妊や生理、生理に関する症状に変化が起こります。低用量ピルは、1シート内の女性ホルモンの配合で分けられます。
効果その1 出血量が少なくなる
低用量ピルを服用すると、生理を止めることができると勘違いされることがありますが、生理が止まるというわけではありません。生理の血液が出なくなる薬ではないということを知っていただきたいです。服用終了後、お休み期間(偽薬服用期間)に出血が起こります。そして、出血量を減らすことができます。最初の1~2ヶ月は量の変化が感じられないこともありますが、ホルモンの効果で子宮内膜の厚さを制御しているため、全体的には少なくなっていきます。
効果その2 生理不順や生理痛を解決する
生理不順や生理痛の原因は、排卵が関係しているといわれています。そのため、低用量ピルの作用で排卵を抑制すれば、生理不順や生理痛などの悩みが解消することができます。生理痛が起こる原因は、血液を排出する際に必要以上に子宮が収縮してしまうため痛みが起こります。そのためピル内服で出血量が安定し、子宮が痛むほどの収縮を抑制してくれます。
効果その3 ライフイベントに合わせて
ホルモンバランスが崩れることで、周期の乱れ、生理の遅れ・こないなどの生理不順が起こります。こちらも、ピル内服で生理周期を整えることができます。つまり生理の日程を調節することができるということになります。受験日、就職活動、結婚式、旅行などライフイベントから生理日程をずらすことができます!ただし、生理不順が起こる原因はホルモンバランスの乱れだけではなく、子宮や卵巣の病気が関係しているケースもありますのでかならず婦人科医に相談しましょう。
その他にも、ピルの服用で卵巣がんや子宮体がんの予防にもなります。
低用量ピルの服用をしている方も服用するだけでなぜ改善されるのか知らない方もいらっしゃるでしょう。この記事を読んで納得していただけたらうれしいです。また、ライフイベントに合わせて調節できるのは、助かりますね。受験日や就職活動など頑張らないといけない場面で、生理が理由で本調子がだせないのは悔しいです。
ピルの服用で注意すること
低用量ピルの注意点として、不正出血、嘔気、体重増加、気分変調、頭痛、胸がはる、血栓症などの副作用があります。この中で、最も注意が必要なのは血栓症であるエコノミークラス症候群(肺血栓塞栓症)です。服用した方が必ずなるというわけではありませんが、低用量ピルを服用することでリスクを上昇させてしまう可能性がありますので定期的にかかりつけの婦人科で診察を受けましょう。尚、入院・手術を受ける際には、服用を止める場合がありますので必ずピルを服用していることを医師へ伝えましょう。
最近、新型コロナウイルスのワクチンで血栓という言葉を聞いたことがあります。私も気になり医師に聞いたところ、低用量ピルを服用している方が新型コロナウイルスのワクチンを接種しても問題はないとのこと。ホルモンバランスや出産のことを考えると生理は必要な人間のメカニズムだと思いますが、やはり月に1回出血をすることや定期的な期間で生理がこないことへの不安や生理痛などの不調で悩むことはストレスですよね。低用量ピルを服用することで女性のQOLの向上ができると思います。河北総合病院 産婦人科でも処方することが可能ですので、服用を考えている方は、婦人科外来へご相談ください。詳細は、ホームページをご確認ください。
産婦人科■診察内容:妊娠34週まで分娩予約を受付/当院の基本分娩スタイルは「自然分娩」※里帰り出産受け入れも可能(応相談)/赤ちゃんに対する医療は当院小児科にておこなう。(必要時には小児科医も分娩に立会い)/妊娠から出産まで助産師と一緒に「バースプラン」作成や、「産前産後のパパ・ママ支援教室」を実施/妊婦さんの入院負担を考えた「手ぶらでお産セット」をご用意/入院中には「ティータイムサービス」、「お祝い膳」もあり/産後ケア入院可能 |
関連記事
・vol.16 新人広報と学ぶ「婦人科 ~自分の月経(生理)の悩みを解決しましょう~」(2020.11.4)
・vol.13 新人広報が学ぶ「産科と産後ケア」(2020.10.21)
阿佐美
プロフィール
広報課に2020年中途入社。前職はITベンチャーの企画など。医療業界は初めての28才。趣味は舞台鑑賞・食べること・ヨガ。
- 本記事は、社会医療法人 河北医療財団 広報課の企画編集により制作し、医師など医療従事者の監修を経た上で掲載しています。
- 本記事は診療科に関する情報の提供を目的としているものであり、診療・治療行為を目的としたものではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当財団は責任を負いかねます。
- 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。また、記事の内容はすべての医療機関に共通するとは限りません。あらかじめご了承ください。
- 「阿佐美」は、読者の皆さまにわかりやすくお伝えするためのフィクションです。実在しておりません。