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新人広報と学ぶ
肺がん
~早期発見が重要~

広報課の新人が、創立94年の歴史ある河北医療財団や、杉並区のプチ情報をご案内いたします。
 
こんにちは、新人広報 阿佐美です。
日本人の死因の第1位となっているがん。部位別に見ると、肺がんがもっとも多いそうです。
今回はそんな肺がんについて学んできました。

 

データで見る肺がん

まず厚生労働省や国立がん研究センターが公表している数字を確認してみましょう。
日本人の4人に1人ががんでなくなっていることがわかります。そして、そのなかでもっとも死亡数が多い臓器が肺です。
 

主な死因の死亡数割合

(2021年の日本人の死亡者数は143万9809人)

グラフ:主な死因の死亡数割合

厚生労働省 「令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況」より作図
 

がん罹患数の順位(2019年)

  1位 2位 3位 4位 5位
総数 大腸 乳房 前立腺
男性 前立腺 大腸 肝臓
女性 乳房 大腸 子宮

「国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)」より
 

がん死亡数の順位(2020年)

  1位 2位 3位 4位 5位
男女計 大腸 膵臓 肝臓
男性 大腸 膵臓 肝臓
女性 大腸 膵臓 乳房

「国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)」より
 
それぞれの性別の罹患数1位はその性ならではの臓器だから、男女合計すると、どちらにもある臓器の肺が上位になるのですね。肺がんとはどのような病気なのでしょうか。
 

肺がんの種類

肺は、体に酸素を取り入れ、また、体中から血液を介して集められた二酸化炭素を排出するという重要な役割を持っています。
肺を構成する空気の通り道である「気管支」やガス交換の場である「肺胞」の細胞が何らかの原因でがん化したものが「肺がん」です。
 
肺がんは10種類以上に分けられますが、頻度の高いものは4種類です。

  組織型分類 特徴
非小細胞肺がん 腺がん 肺がんの中でもっとも多い
自覚症状が出にくい
扁平上皮がん 喫煙との関係が深い
大細胞がん 増殖速度が速い
小細胞肺がん 小細胞がん 増殖速度が速く、転移や再発をしやすい
喫煙との関係が深い

 
病気のひろがりや症状の出方,治療の効果も,病理組織の種類によって少しずつ違います。
 
一言で「肺」といっても、そこにできるがんは様々なのですね。もっとも多いタイプの特徴が「自覚症状が出にくい」というのは心配です。そもそも肺がんにはどのような症状があるのでしょうか。
 

初期症状や自覚症状が乏しい肺がん

「この症状があれば必ず肺がん」という症状はありません。
咳や痰、発熱、動悸、胸の痛み(胸痛)、息苦しさ(呼吸困難)などがありますが、風邪や肺炎、気管支炎などの一般的な呼吸器の病気にもみられる症状です。また、肺がんのできた場所や大きさによっては、症状がないうちに進行していることもあります。
早期発見には肺がん検診を受けることが大切です。
 
気づかないうちに進行するのは怖いですね。定期的な検診はもちろん、咳や痰が長引いたり、いつもと様子が違うと感じたら受診するのが安心ですね。
 

肺がんの検査・診断・治療

症状や検診で「肺がんの疑い」があるとされたら、胸部エックス線検査や胸部CT検査などをおこない、病変の有無や場所を調べます。
がんかどうか、どのような種類のがんかについての診断を確定するために、がんが疑われる部位から細胞や組織を採取して顕微鏡で詳しく調べる「病理検査」をおこないます。
 
肺がんの治療は、組織型や病期によって、体の状態や年齢、患者本人の希望なども考慮しながらおこないます。手術による外科治療、放射線治療、薬物治療が主になります。

※病期(ステージ):病気の進行の程度を数値で示したもの。数字が大きくなるほど、がんが進行している状態を表します。
 

肺がんは早期発見が大事

ここであらためてデータを見てみましょう。病期別の5年生存率になります。

病期(ステージ) 5年生存率
小細胞肺がん 非小細胞肺がん
Ⅰ期(ステージ1) 44.7% 84.1%
Ⅱ期(ステージ2) 31.2% 54.4%
Ⅲ期(ステージ3) 17.9% 29.9%
Ⅳ期(ステージ4) 1.9% 8.1%

がん診療連携拠点病院等 院内がん登録 2013~2014年5年生存率集計 報告書
 
小細胞肺がん、非小細胞肺がんともに病期が進むと生存率も低くなるっており、より早期にがんを発見し、治療を開始した方が生存率も高いことがわかります。
がんは確かに日本人の死因第1位ですが、肺がんは早期発見であれば多くの方が手術療法で根治をめざすことが可能です。
 
どんな病気にも言えることですが、本当に「早く気づいて見つけること」というのは大事ですね。心配しすぎもよくないけれど、自分の体調の変化を常日頃から気にかけるようにしたいと思います。
 
河北総合病院呼吸器外科では、外科的治療のほかにも、肺がんが疑われるような胸部異常陰影に対し、気管支鏡検査、CTガイド下生検、胸腔鏡下生検などによる診断に積極的に対応しています。また、手術が困難な場合には呼吸器内科と連携し、化学療法や放射線治療など、柔軟な対応が可能です。
 

監修:河北総合病院 呼吸器外科部長 内田 修

呼吸器外科

■診察内容:肺腫瘍に対する気管支鏡検査、CTガイド下生検、胸腔鏡下生検などによる診断/呼吸器疾患に対する手術治療(肺がん、転移性肺腫瘍、縦隔腫瘍、気胸、膿胸など)/自然気胸、外傷性血気胸、膿胸に対する胸腔ドレナージ/肺がんの化学療法
■特色:呼吸器内科と密に連携をとり、肺がんの診断、治療に取り組みます。/肺がんを含めた呼吸器疾患の手術は胸腔鏡を用いた低侵襲治療を心がけます。/気胸や膿胸に対して外科的治療や内視鏡的治療を併用して取り組みます。/確定診断が困難な腫瘍性病変に対しては病理診断科と連携し、術中迅速診断をおこないます。
■医師数:常勤2名

河北総合病院 呼吸器外科について詳しくはこちら

 

2022.11.9

 


 

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阿佐美

プロフィール
広報課に2020年中途入社。前職はITベンチャーの企画など。医療業界は初めての28才。趣味は舞台鑑賞・食べること・ヨガ。
 


 

  • 本記事は、社会医療法人 河北医療財団 広報課の企画編集により制作し、医師など医療従事者の監修を経た上で掲載しています。
  • 本記事は診療科に関する情報の提供を目的としているものであり、診療・治療行為を目的としたものではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当財団は責任を負いかねます。
  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。また、記事の内容はすべての医療機関に共通するとは限りません。あらかじめご了承ください。
  • 「阿佐美」は、読者の皆さまにわかりやすくお伝えするためのフィクションです。実在しておりません。


 
 
 

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