新人広報と学ぶ
気胸
~呼吸器外科~
広報課の新人が、創立93周年の歴史ある河北医療財団や、杉並区のプチ情報をご案内いたします。
こんにちは、新人広報 阿佐美です。
コロナ禍で「肺の炎症」を気に掛ける人が増えたように感じます。若い男性に多いという「気胸」をご存知でしょうか?格好いいアイドルや俳優の罹患が話題になることもあり、「イケメン病」などとも呼ばれています。どんな病気なのか、学んできました。
気胸とは
何らかの原因によって肺の空気が胸腔内にもれて、その空気が肺を圧迫し、肺がしぼんでしまう病気です。気胸はいくつかのタイプに分類されますが、多くは「原発性自然気胸」になります。
原発性自然気胸の主な原因は、ブラ・ブレブと呼ばれる嚢胞(のうほう。袋の中に、液体あるいは固体が溜まった状態)が肺にでき、それが破れることによります。風船に針を刺した時や車のタイヤがパンクするイメージです。
好発年齢は10歳代後半から20歳代と60歳以降の2つのピークがあります。若い患者さんの特徴は男性・長身・やせ型です。高齢の患者さんの場合は喫煙者で栄養状態のよくない方に多く起きます。
気胸の分類
- 自然気胸
├原発性自然気胸:肺嚢胞ブラ・ブレブの破裂によって発生したもの
└続発性自然気胸:肺気腫や異所性子宮内膜などによって発生したもの - 外傷性気胸:交通事故や転落などの外傷に伴って生じたもの
- 人工気胸:診断・治療の目的で胸腔内に空気を注入することによって起きたもの
- 医原性気胸:治療や診断のためにおこなった作業で偶発的に起きたもの
臓器に穴が開くというのも痛そうだし、肺から空気が抜ける状態って、相当苦しいのではないかと思うのだけど、どんな症状がみられるのだろう?
気胸の症状
気胸の症状は、突然の胸の痛み、息苦しさ、咳などです。症状の強さは肺のしぼんでいる程度や、患者さんにより様々です。診断は胸部レントゲンやCT検査をおこないます。
こちらが、気胸の胸部レントゲン写真です。
矢印で示しているのが、肺がしぼんでしまって白く映っている部分です。その外側の黒い部分が、肺からもれて胸腔内に溜まった空気です。
しぼんでかたまりになってしまっているから、このように白くはっきり写るのかな。そして本来肺がある部分には空気しかないので、反対側に比べて黒く写るのですね。肺が1つこんなにしぼんで使えなくなってしまったら、絶対に息苦しい…
気胸の治療法
気胸の治療法はその重症度(虚脱の度合い)や経過により以下のような治療方法があります。
- 経過観察:安静にして様子を見る
- 脱気:針で空気を抜く
- 胸腔ドレーン留置:胸にチューブを入れ持続吸引する
- 手術
- 胸膜癒着術
以下のような状態の場合、手術が適応されます。
- ドレナージによっても肺の膨張が得られないか虚脱を繰り返すもの(肺からの空気漏れが続くもの)
- 著明な血胸をともなうもの
- 両側気胸の場合
- 再発の場合
- はっきりとブラが確認される症例
気胸の原因や再発するメカニズムは明確にはわかっておらず、こうしたら再発しない、この食事で治る、などといったことはありません。ただ喫煙は肺にダメージを与えますので、禁煙は重要です。また、気圧の関係でスカイダイビングやスキューバダイビングは許可されないことがほとんどです。飛行機にも注意が必要です。気胸に限らず、肺に疾患がある方は、利用する航空会社に問い合わせた方がよいでしょう。
気圧って、普段そんなに意識していないけれど、確かに空気が詰まっている袋である肺には大きな影響ありそうですよね。心配な時は、主治医や、その道のプロにきちんと確認するのがなによりだと思います。
河北医療財団 呼吸器外科は、原発性肺がんを中心とした腫瘍性疾患(転移性肺腫瘍、良性肺腫瘍、未確診肺腫瘍など)、嚢胞性肺疾患(気胸、巨大肺嚢胞など)、胸壁・胸膜腫瘍(胸膜中皮腫など)、外傷(肺損傷、血気胸など)、感染性肺疾患(膿胸など)で、外科的治療が必要な場合に対応する診療科です。気胸に関しては、手術、癒着療法、気管支鏡下塞栓術など、患者さんの状況に応じて対応いたします。
呼吸器外科■診察内容:肺腫瘍に対する気管支鏡検査、CTガイド下生検、胸腔鏡下生検などによる診断/呼吸器疾患に対する手術治療(肺がん、転移性肺腫瘍、縦隔腫瘍、気胸、膿胸など)/自然気胸、外傷性血気胸、膿胸に対する胸腔ドレナージ/肺がんの化学療法 |
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・vol.8 新人広報が伝える「呼吸器外科」(2020.9.18)
阿佐美
プロフィール
広報課に2020年中途入社。前職はITベンチャーの企画など。医療業界は初めての28才。趣味は舞台鑑賞・食べること・ヨガ。
※本記事は、社会医療法人 河北医療財団 広報課の企画編集により制作し、医師など医療従事者の監修を経た上で掲載しています。
※本記事は診療科に関する情報の提供を目的としているものであり、診療・治療行為を目的としたものではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当財団は責任を負いかねます。
※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。また、記事の内容はすべての医療機関に共通するとは限りません。あらかじめご了承ください。
※「阿佐美」は、読者の皆さまにわかりやすくお伝えするためのフィクションです。実在しておりません。