河北医療財団の看護組織
常務理事(看護担当役員)からのメッセージ
河北総合病院の新病院への移設大事業も2025年7月1日の患者搬送を無事終了し、7月3日からの外来診療を開始することができました。関係者の皆様には心よりお礼を申し上げます。現在、河北総合病院看護部では慣れない場所やモノが設置された新たな職場環境において戸惑いながらも安定運営に向けて職員一同頑張っています。また新たに配属された部署では新メンバーにも慣れることも必要ですし、加えて心機一転、新たな看護の提供方式「河北看護BASEモデル」の導入がありました。こうした色々な「新、新、新、、、」の現状ですが、出発点にしっかりと立ち、これまで以上に地域医療の貢献に努めてまいります。
新卒新人の自立の時期は通常ですと7月ですが、今年度は特例として1か月間延長し「8月からの自立」として研修プログラムを進めています。今は、日勤帯でおおむね患者さん4人を担当し、1カウントの勤務者として先輩の指導を受けながらOJTを続けています。
今回は、〝Kawakita Nursing Production System“(以下、KNPS)と「河北看護を支える人財の成長と組織貢献(以下、成長と貢献の矢)」をご紹介させていただきます。河北医療財団は組織運営において社会文化や環境を大切にしています。そこで組織理念の具現化と恕の美しい看護実践の推進には、環境をより良く理解する必要があると考え、環境を4つの視点(療養環境・職場環境・教育環境・地域環境)から整理し、より生産的に組織の成果を生み出す組織活動の仕組みとしてKNPSを提示しました。詳細な説明は、「3.河北看護生産システム」をご参照ください。また成長と貢献の矢は、河北医療財団をキャリア形成の舞台と捉えた一人の看護専門職の成長と組織貢献の観点から描いた概念図となります。詳細は「4.河北看護を支える人財の成長と組織貢献」をご参照ください。
(2025.08.22)
河北医療財団 永池 京子
1.看護の理念
恕(おもいやり)の美しい看護の探究
恕の美しい看護を実践する者には、「凛として活き活きと動く様子・姿」の表情や所作(ふるまいや身のこなし)があります。この外面から見える「きりりと引きしまっている凛々しい姿・態度」の所以は、内面にある「看護専門職としての思考や姿勢の美しさ」と言えます。
恕の美しい看護の実践には、看護の専門性を発揮した力強さ、すなわち科学的看護実践(専門的知識をもって状況を判断し、専門的技術を選択、活用した看護の行為)があります。そして専門性を発揮した力強さには「頼りがい」と「温かさ」があります。
頼りがいとは
- 科学的看護の実践者の姿からは安心感を与え頼れる相手としての認知が生まれます。
- 恕の美しい看護実践の過程で生まれた頼りがいは、患者さんの安心と納得へとつながります。
温かさとは
- 恕が根底となった看護専門職としての受容・傾聴・共感の態度・姿勢は美しく目に見える・心で感じるものとなります。
- 目に見える・心で感じた恕の美しい看護の実践には、実践者の内面のぬくもり、すなわち温かさを感じていただけると考えます。
河北看護を届ける探究のこころ
私たちが実践した看護が「恕の美しい看護」であったか、またそれは魅力ある看護であったか否かを看護の受け手が判断します。
私たちは、看護の受け手の一人ひとりの健康ニーズに対する恕の美しい看護とは何かを考え実践しながら各自の看護専門職の成長段階に応じて探し究める姿勢も持ち続けたいと思います。その結果において見えてくる世界観を体感しやりがいを感じることで生きがいの実現へとつながっていくことと思います。
自然界にある山や木々あるいは花々等は、多くの場合、長い時間をかけてその美しさを形作り、私たちに届けてくれます。恕の美しい看護も同様です。日々の看護実践において恕の美しい看護を探究しながら自身のキャリアを形成し看護の美しさを形作っていく職員の能力開発を組織的に支援します。
採用サイトの「看護職/教育・研修について」に掲載している「恕の美しい看護の実践」もご参照ください。
2.看護の価値共創
4つの価値
共創とは、関係者で決めた「望ましい・良い」と認めたものを、目に見える・感じるかたちや姿として実現するよう努力することを指します。財団看護職員の共通価値としての「ここでよかった」を日々の諸活動を通じて関係者と実現したい「こうありたい」「これを大切にしたい」と思うことを4つの領域から整理しました。
共通価値「ここでよかった」
価値1: ここに入院してよかった(療養環境)
価値2: ここで働けてよかった(職場環境)
価値3: ここで成長できてよかった(学習環境)
価値4: ここに河北総合病院があってよかった(地域環境)
3.河北看護生産システム
〝Kawakita Nursing Production System“(以下、KNPS)は、河北総合病院看護部の理念と目的そして4つの価値を具現化するための組織活動における生産性向上と価値共創の観点から考案されました。

上記の概念図が示すKNPSには、組織の生産性向上にとって重要な活動を生み出す2つのサブシステムが描かれています。その1つ目が良質な看護サービスを生み出すシステムとしての「河北看護BASEモデル」(KNS看護サービス)です。2つ目は、そのサービスを提供する有能な看護職員を生み出すための人財育成のシステムとしての「KNS能力開発体系」(KNS人財育成)です。
組織の財産となる「人財」の育成を行い、その人財が看護サービスの提供において協働し相乗効果を引き出しながら4つの環境の視点(療養・職場・教育・地域)から4つの価値を共創します。
2つのサブシステムがそれぞれに単独で存在し機能するものではなく、むしろ相互に関係し合って機能を高めると考えます。
- 自律した実践能力を獲得した看護職員が看護サービスを提供することで看護の質を高めます。
- 自律した看護実践能力を獲得したロールモデルがOJTに関与することで看護専門職としての人財育成の効果・効率性を高めます。
河北総合病院 看護部「河北看護BASEモデル」についてはこちらをご参照ください。
4.河北看護を支える人財の成長と組織貢献
人は環境の一部として、また環境と影響しあう関係で地球に存在していることから、環境との調和があってこそ人は生きがいを実現すると言えます。看護部には、この考えを一人の看護職の成長と組織貢献の観点から描いた「河北看護を支える人財の成長と組織貢献」(以下、成長と貢献の矢)があります。

上記の概念図「成長と貢献の矢」が描く矢は、河北医療財団を舞台としてキャリアを形成しながら「恕の美しい看護」の実践を探究し、生きがいを実現する一人の看護職員を表しています。その矢の的は「環境と調和する組織」へと向かっています。当財団は環境と調和する組織です。環境との調和は、職場環境・地域環境・自然環境へと段階的に広がりをみせると同時にそれぞれが関連しあっています。
社会人にとっての生きがいは、多くの場合「所属する組織や社会に貢献すること」が前提として成立すると考えます。保健師助産師看護師法によると、「保健師、助産師及び看護師等の資質を向上し、もって医療及び公衆衛生の普及向上を図ることを目的とする」とあります。そこで私たち看護職はキャリア開発を通して資質を向上し、良質な看護サービスを提供することで所属する組織そして社会に貢献し、看護専門職としての社会的使命を果たすことができると考えます。
河北総合病院 看護部についてはこちらをご参照ください。