教育・研修について

About Training

河北医療財団看護部の生きがい
KAWAKITA NURSING STYLE(KNS)

「恕(おもいやり)の美しい看護」

恕の美しい看護の実践

「恕の美しい看護」にある「恕の美しい」の言葉は、「恕」と「美しい」で切るものではなく1つの言葉ですが、あえて「恕」と「美しい」の2つの言葉を段階的分けて職員研修等の場で説明し、理解を促しています。

1.「恕の美しい看護」の実践にある「おもいやり」

恕の言葉の由来(論語)は孔子の教えである「夫子(ふうし)の道は忠恕(ちゅうじょ)のみ「人間にとって一番大切なのは、まごころ(忠)と思いやり(恕)である」にあります。恕とは、自分がされて嫌なことは他人も嫌であろう、自分がされて嬉しいことは他人も嬉しいであろうと、わが身をもって考え、誠のこころから他人をおもいやる」ことを意味します。

2.「恕の美しい看護」の実践にある「美しさ」

(恕の)美しい看護には、看護の専門性が発揮された力強さがあります。専門性の力強さには「頼りがい」と「温かさ」があります。
頼りがいは、科学的看護実践(=知識をもって状況を判断し、専門的技術を選択、活用した看護)から生まれ、また頼りがいは患者の安心と納得へとつながります。温かさは、看護の専門性を発揮した受容・傾聴・共感の恕をもって実践する看護から生まれます。
最終的な美しさとは、ふるまいや身のこなしが、「凛として活き活きと動く様子・姿」などの表情や所作にある「看護専門職のりりしい姿・態度」を意味します。この看護専門職としての実践態度の美しさが、内面から外面へと自然に現れた時に、他者の目に見える・こころで感じられるものになると思います。

KNS能力開発体系

教育理念に基づき、病院や看護部が組織として看護専門職の成長を支援するための仕組みです。

KNS能力開発体系の構成

  1. 看護部の教育理念・指針
  2. KNS能力の構図
  3. 看護部・部門の研修体制
  4. 看護実践能力認証制度
  5. KNSキャリアパス
  6. KNSポートフォリオ作成ガイド
  7. KNS成長と貢献の矢

 

看護統括部教育の理念・指針

教育理念 魅力と生きがい
教育指針 環境と調和する組織に貢献する看護人財の輩出
※人財とは、組織財産としての人材を意味します。
活動方針 主体的に学び共に成長しあう環境を育む

 

KNS能力の構図

KNS能力の構図とは自律した専門職業人が成長する姿を地面に根を張る大木と果実で表現した概念図です。この構図は、看護統括部が考える看護専門職業人が獲得する能力の構成要素と、成長段階に対する考えを描いています。

KNS 能力の構図

またKNS能力の構図で描いた考えを人材育成や各種研修プログラム等に反映させています。例えば、看護統括部主催の研修制度やクリニカルラダーレベルを認証する「KNS実践能力認証制度」等があります。
 

KNSキャリアパス

看護統括部は、財団の人事制度に基づきKNSキャリアパスを作成しています。これにより看護統括部傘下組織を各自の成長の舞台として、各自のキャリアのステップアップに必要な情報(役割発揮や認証等)が理解できます。
 

KNS成長と貢献の矢

人は環境の一部として、また環境と影響しあう関係で地球に存在していることから、環境との調和があってこそ人は生きがいを実現すると言えます。看護統括部には、この考えを一人の看護師の成長と組織貢献の観点から描いた「河北看護を支える人財の成長と組織貢献」があります。
看護専門職にとって重要な環境は、職場環境・地域環境・自然環境です。これらの環境は段階的に広がりをみせると同時に、それぞれに関連しあっています。看護職一人ひとりが環境の各段階に関心をよせ、環境と調和しながら配置された場所で自律した恕の美しい看護を実践し、専門職業人として、また河北医療財団の組織人として成長し組織貢献を可能にすると考えます。その結果において職員は「生きがいを実現」できると思います。

KNS 成長と貢献の矢

 

キャリア形成の組織的支援(財団組織内異動)

部門/部署の人事異動に加えて、財団内の人事異動や看護専門実践研修等に参加することで、「興味ある看護の領域で働きたい」、あるいは「新たな看護の専門性を体験したい」などのキャリアニーズが実現します。看護専門職者の結婚や子育てなどのライフイベントに応じた「長く働ける職場環境」があります。

充実した研修体制

自然界にある山や木々あるいは花々などは、多くの場合、長い時間をかけてその美しさを形作り、私たちに届けてくれます。恕の美しい看護も同様です。看護統括部は、日々の看護実践において恕の美しい看護を探究しながら自身のキャリアを形成し看護の美しさを形作っていく職員の能力開発を組織的に支援します。
能力開発とは、「ただ単に必要な知識・判断・技術・態度の豊かさの習得だけでなく、同じ目標を共有した多種多様な人々と協働しながら業務を円滑に遂行し、目標を達成するとともに、組織・社会に貢献するために必要な能力(行動様式)を獲得すること」と考えます。

1.KNS-CL(クリニカルラダー)チャレンジ研修

本研修は、KNS-CL(クリニカルラダー)のレベル認証をめざす人(チャレンジ者)が受講する必須研修です。新人看護職員臨床研修終了がCLレベル1のチャレンジ研修に該当します。
CLレベルⅢを「恕の美しい看護」を自律して実践するレベル、すなわち「ひとり立ちしたレベル」とします。
常勤職員にはCLレベルⅢまでの認証を推奨しています。本研修はチャレンジしない人でも、自己研鑽として希望する研修の受講は可能です。

2.財団内施設間研修

研修のねらいは「恕の美しい看護・看護補助・介護のさらなる実践力の獲得と組織力向上に向けて、自らが成長課題を見出し、その後のキャリア形成と組織貢献につなげる」各自が設定した個別目標に対する研修プログラムを策定し、指導者からの支援を受けながら実行する最長5日間の研修。
受講に際して、看護部長の承認が必要。将来どのような分野に進みたいのか、それぞれのキャリアプランに合わせて、希望施設での研修が受講できます。

3.財団職員研修

財団の教育理念である“ 自立した自己として職員が成長することを支援する“に基づいて、財団全職員を対象とした研修です。教育方針「社会的資源としての人材を育成する」に基づき、
➀組織理念の浸透
➁専門職としての質の向上(知識・技術・態度)
➂自ら考えて行動する個人の育成
上記を目的としています。一般職員に対する研修と管理職の任命の際に受講する研修などがあります。

資格取得支援制度

地域医療に貢献する有能な人材を配置する必要性から、計画的に看護スペシャリストの育成をおこなっています。CL認証レベルなどをもとに受講資格要件を確認し、上長が推薦・看護部長が承認する制度です。

KNS 新人看護職員臨床研修

基本指針・教育方針

看護統括部における教育の理念と指針および活動方針の下に、KNS新人看護職員研修に対する基本指針と教育方針を掲げ、組織的に本研修を推進しています。

基本指針

恕の美しい看護の基盤を形成する

教育方針

みて学び、まねて学んだ後に、見守りで確認してから、独りでやってみる
 

特徴

研修の3区分と指導体制

本研修は大きく3つの区分からなる1年間の研修です。研修各期の目標達成に向けて研修プログラムを展開します。指導体制は厚生労働省が示すガイドラインに準拠して策定された組織的支援を整備しています。指導者(実地指導者・教育担当者)は看護部長より任命され、指導者自身も指導者研修を受けながら新人指導に対する役割を果たします。

新人研修進度表2024版
新人研修進度表2024版
新人研修進度表PDF版はこちら
・前期研修:KNSプリセプターシップ(4月~6月)

新人看護職員(以下、新人)1人に対して決められた実地指導者がプリセプターとなり、マンツーマン体制(同じ勤務を一緒におこなう)で新人指導を担当します。またプリセプターとプリセプターサポーター(プリ・サポ)からなる指導チームを編成し、実地指導者が不在の場合は、代わってプリ・サポが指導します。

・中期研修:チーム支援型(7月~12月)

新人1人に1人の特定した指導者を配置するのではなく、日々の看護チーム体制の中で新人を教育・支援します。

・後期研修:チーム支援型 + メンターシップ(1月~3月)

中期研修と同様に、チーム支援型を継続し、そこにメンターシップが加わります。メンターは新人の良き理解者・味方(メンター)として、看護専門職としてのキャリア形成や仕事と私生活の調和や生活・精神面の支援・助言をおこないます。
 

研修プログラム

新人が主体的に研修に取り組むことを組織全体で支援しながら研修を進めます。そのためのプログラムを準備しています。その結果において新人は、生涯学習者として、また看護専門職としての基本姿勢と態度そして看護実践に必要なスキルを習得し、1年後にはKNSクリニカルラダーレベルⅠの認定を目指します。

主なプログラムは次のとおりです。
・シャドウイングによる学習方法の理解促進
・リフレクティブ・サイクルによる学習効果の向上
・OJT強化型プログラムによる看護実践の展開
・各種研修シートや評価ツールの活用
・集合研修とOJTの連動性         など