新人広報と学ぶ
全身性エリテマトーデス
~若い女性に多い病気~
広報課の新人が、創立93周年の歴史ある河北医療財団や、杉並区のプチ情報をご案内いたします。
こんにちは、新人広報 阿佐美です。
先日久しぶりに親戚に会い、昔からお世話になっているおばさんの鼻から頬にかけて赤い斑点がでていて驚きました。おばさんから病気のことについて少し聞きましたが、病院広報をやっている私はその病気がどのようなものか詳しく知りたいと思い、当院のリウマチ・膠原病科医師にうかがいました!
全身性エリテマトーデス(SLE)とは
SLEとはsystemic lupus erythematosusの略で、この病気が全身の様々な箇所や臓器に多彩な症状を引き起こすことからsystemic(全身)、皮膚にできる発疹が狼に噛まれた痕のような赤い紅斑であることからlupus erythematosus(lupus:ラテン語で狼の意味)と名前がついたそうです。自分の体を守るために働く免疫の誤作動により全身の様々な臓器に炎症が起こる膠原病の一つで、長期にわたる治療が必要な国の難病に指定されています。
症状
関節炎
関節の中で炎症が起こり、関節に痛みがでます。初期症状の中で、最も多く現れます。
発熱
38度を超える熱がでます。
レイノー現象
寒さや冷たいものに触れることで血流が低下し、指先が青白くなります。数分から10分ほどで元に戻ります。
蝶形紅班
鼻から両頬にかけ、赤い斑点が蝶のような形に表れます。かゆみや痛みはありません。患者さんの約20%が初期症状で現れます。
その他
だるい、疲れやすい、体重変動、光線過敏症、脱毛、口内炎、むくみ、筋肉の痛み、神経・精神症状、食欲不振
こんなに症状があると、普段の生活に支障が出てきそう。長期にわたる治療が必要とのことなので、病気をよく理解することがポイントになりそうですね。
原因やどんな人がなりやすいの?
男女比は平均すると、1:9ほどで、圧倒的に女性に多い病気といわれています。生理が始まってから終わるまでの期間(20~40歳代)に多く、子供や老人では、男女差は少なくなります。原因は解明されていませんが、自分自身の体を、免疫系が攻撃してしまう病気です。遺伝的な体質、紫外線、ウイルス感染、細菌感染、妊娠・出産など、何らかの環境要因がきっかけとなり発症すると考えられています。本来なら、免疫とは体内の細菌やウイルスなどから自分自身を守ってくれる大切な役割をしていますが、この病気は免疫系が自分の体を攻撃し、全身に様々な炎症を引き起こします。患者さん自身には細菌やウイルスに対する免疫はありますが、免疫に対する治療で免疫系全体が抑制されてしまうと、感染症にかかりやすくなります。
原因が不明というのは怖いですね。女性に多い病気とは…私もちょうど当てはまる年齢なので、勉強になりました。
どんな治療方法があるの?
完治することは難しいため、病気が落ち着いて安定を維持することが治療の目標となります。免疫異常が原因の病気ですので、治療には免疫の働きを抑える薬を使用していきます。ステロイド薬が基本ですが、ヒドロキシクロロキンという薬も使用します。これらに加えて、免疫抑制剤や生物学的製剤も使用します。
以前、膠原病の記事を紹介した際にもでてきた薬ですね。
日常で気を付けること
- ステロイド薬などの薬には、副作用がでることがあります。副作用がつらいからといってご自身の判断で薬を止めることや、少なくすることはしないでください。
- 膠原病は紫外線が原因となる場合があります。紫外線は365日、毎日出ていますので、必ず紫外線対策をおこなってください。
病気を治すために薬を飲んでいるのに、その薬で更につらくなるのは悲しいです。もし副作用がでたときは、すぐ主治医に相談することが大切ですね。
リウマチ・膠原病科■診察内容:区内唯一のリウマチ・膠原病科診療施設で、関節炎、膠原病、不明熱にいたるまで幅広く診療/腎臓内科、血液内科と同病棟で密な診療連携/関節リウマチは都内でも有数の患者数をほこり、治療成績を毎年公開/地域の先生方RA手帳を使った協働診療/整形外科、リハビリテーション科とコラボした、リウマチ・関節・膠原病センターで集学的医療 |
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・vol.29 新人広報が伝える「リウマチ・膠原病科 ~膠原病ってどんな病気?~」(2021.1.27)
阿佐美
プロフィール
広報課に2020年中途入社。前職はITベンチャーの企画など。医療業界は初めての28才。趣味は舞台鑑賞・食べること・ヨガ。
- 本記事は、社会医療法人 河北医療財団 広報課の企画編集により制作し、医師など医療従事者の監修を経た上で掲載しています。
- 本記事は診療科に関する情報の提供を目的としているものであり、診療・治療行為を目的としたものではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当財団は責任を負いかねます。
- 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。また、記事の内容はすべての医療機関に共通するとは限りません。あらかじめご了承ください。
- 「阿佐美」は、読者の皆さまにわかりやすくお伝えするためのフィクションです。実在しておりません。