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新人広報と学ぶ
慢性腎臓病と熱中症対策

広報課の新人が、創立93周年の歴史ある河北医療財団や、杉並区のプチ情報をご案内いたします。
 
めまいや頭痛、吐き気などの症状が突然起こり、命に関わる可能性がある熱中症。熱中症対策の中で、適度なナトリウム(塩分)摂取とよくいわれていますが、腎臓病患者さんは、塩分を制限しなければいけません。今回は、腎臓病専門医に腎臓病患者さんの熱中症対策について伺いましたのでご紹介します。
 

どうして塩分制限をおこなうの?

人間の体の60%は電解質(塩分やカリウム)などを含んだ体液からできています。その体液量を調節しているのが塩分であり、その排泄を担っているのが腎臓です。腎機能が低下すると塩分の排泄機能が鈍り、塩分を摂りすぎると排泄できずに体に溜まります。体内で、塩分は水と一緒になるので、それが「体液(塩水)」として体に溜まり(体液過剰)、むくみ(浮腫)、高血圧をもたらし、さらに進めば、心不全、肺水腫にもなります。 具体的に成人の場合、塩分量は1日6g以下を目標にします。
 
成人の1日摂取可能な塩分量が6gって少なく感じますね。ラーメン(並)1杯が約6gといわれています。ラーメン1杯で1日分の塩分量なんてあっという間に摂れてしまいますね(汗)
 

塩分を摂取しない方がよいの?

汗をかくと体内の水分が失われ、特に血液の中の水分が減り、血液が濃縮してしまいます。最も大事なのは水分の補給です。普段は1日に1・5~2Lの水分補給が必要ですが、夏に外で体を動かした時はそれより多く、水やお茶を摂るよう心がけましょう。特に高齢の方は口渇中枢の機能が落ちていて、渇きを感じにくくなっているので、一日飲む水分目標量を決め、少しずつ摂るようにしましょう。汗はしょっぱいですが、汗に含まれる塩分量は0.3%といわれ、ほとんどは水分です。汗をかいたら塩分を摂った方がよいといわれますが、それは激しい運動をしたとき、長時間炎天下にいて大量に汗をかいた場合であり、普通に生活をしていたり、ちょっと運動するぐらいでは塩分をとる必要はありません。スポーツドリンクには500mlあたり0.5g程度の食塩が含まれますし、塩あめ ・塩タブレットなども塩分が多く含まれており、塩分の摂りすぎになるので注意が必要です。
 
塩分をよくとりましょうと警告されていますが、激しい運動や長時間炎天にいる際などに限られているのですね。塩分ではなく、水分補給を心がけましょう!
 

腎臓病患者さんの熱中症対策

腎臓病の方は塩分の排泄能力が落ちている場合が多いので、熱中症対策として塩分を多く摂ってしまうと塩分が体内に溜まって高血圧となり、心不全や脳卒中につながるので特に注意が必要です。熱中症の対策としては、やはり水やお茶が適切です。但しむくみが強い方、水分制限を指導されている方は、飲水量は主治医の先生に相談してください。
 
腎臓病の他に病気に罹らないように注意が必要ですね。夏を乗り越え、元気に過ごすために気を付けましょう!
 

腎臓内科

■診察内容:慢性腎臓病保存期の治療/末期腎不全に対するスムーズな透析導入(血液・腹膜透析対応可)/糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、糖尿病や膠原病など全身性疾患に伴う腎障害、急性腎障害、維持透析中の合併症の診断・治療/高血圧症、電解質異常、浮腫の精査、治療/急性血液浄化法、各種アフェレーシス療法、IgA腎症扁摘パルス療法、多発性嚢胞腎(ADPKD)に対するトルプタン療法/バスキュラーアクセスの作成(手術・カテーテル治療)
■特色:腎疾患診療基幹病院として、年に5~6回程度、地域の先生方を対象に腎疾患を中心としたテーマにて、研究会や病身連携会を開催/一般向け公開講座(年2~3回)(コロナ禍期間中止)
■医師数:常勤7名・非常勤1名
■主要機器・整備:血液透析および血液濾過透析用監視装置/血液浄化用装置/逆浸透精製水製造装置/シャント血管用超音波

腎臓内科について詳しくはこちら

 

2021.8.11

 

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vol.2 新人広報と学ぶ「腎臓内科」(2020.7.30)
 


 

阿佐美

プロフィール
広報課に2020年中途入社。前職はITベンチャーの企画など。医療業界は初めての28才。趣味は舞台鑑賞・食べること・ヨガ。
 


 
※本記事は、社会医療法人 河北医療財団 広報課の企画編集により制作し、医師など医療従事者の監修を経た上で掲載しています。
※本記事は診療科に関する情報の提供を目的としているものであり、診療・治療行為を目的としたものではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当財団は責任を負いかねます。
※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。また、記事の内容はすべての医療機関に共通するとは限りません。予めご了承ください。
※「阿佐美」は、読者の皆さまにわかりやすくお伝えするためのフィクションです。実在しておりません。

 
 
 

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