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新人広報と学ぶ
心臓血管外科
~自覚症状なく大きくなる大動脈瘤~

広報課の新人が、創立93周年の歴史ある河北医療財団や、杉並区のプチ情報をご案内いたします。
 
こんにちは、新人広報 阿佐美です。
痛みや発熱などがあれば、体の中で何か変化が起こっているのかな?と気付くことができますが、臓器や疾患によっては自覚なく進行するものも多くあります。病気の可能性を指摘されても、自覚症状がないと「今困っていないから…」と後回しにしてしまいたくなりますが、事前に見つかってよかったと捉えて、ぜひ受診してください。今回はそんな病気のひとつ、大動脈瘤について調べてみました。

 

血管にできる「こぶ」、大動脈瘤

大動脈は、全身をめぐる血管の中で最も太く、体の中心に位置しています。樹木のように枝分かれしながら、体のすみずみまで血液を運んでいます。その大動脈の一部がこぶ状に膨らんだ状態を大動脈瘤といいます。無症状の方がほとんどですが、大きなこぶの場合、発生した場所によって下記のような症状が表れることもあります。

胸部のこぶが大きくなった場合 腹部のこぶが大きくなった場合
声がかれる:声帯を支配している神経を圧迫した場合
咳や呼吸困難:気管を圧迫した場合
飲み込みにくい:食道を圧迫した場合
喀血
胸の痛み
背中の痛み   など
お腹の奥がドクドクと拍動する
腹部膨満感
腹痛
腰痛    など

無症状でも、放置しているとこぶが破裂する危険性があります。破裂すると血管外に血液が放出され、命を落とす場合があります。大動脈瘤は痛くもかゆくもないのですが、破裂した場合に命を落とすことのある非常に恐ろしい病気のひとつです。
 
突然破裂するなんて大変!健康診断などで見つかるといいけれど、そもそもどうしてこぶができてしまうのでしょうか。
 

大動脈瘤の原因「動脈硬化」と「危険因子」

大動脈瘤ができる主な原因は、動脈硬化です。まれに、外傷、生まれつきの疾患、血管の炎症・感染が原因となることもあります。
 

動脈硬化

動脈の内側にコレステロールなどが付着して血管が狭く硬くなり、本来の構造が壊れ、血液の流れが悪くなった状態をいいます。
原因はひとつではなく、いくつかの危険因子があります。「高血圧」「高脂血症」「喫煙」は3大危険因子といわれ、特に重要です。他に「肥満」「糖尿病」などが危険因子としてあげられます。
 
大動脈瘤を「元通り」にする薬はありません。大動脈瘤を作らないために、また破裂させないためには予防が大切です。生活習慣を見直し、危険因子を減らしましょう。
 
動脈硬化の危険因子は、いろいろな疾患の原因としてよく見かけるものばかりですね。規則正しい生活をして、それでも大動脈瘤ができてしまったら、どのような治療があるのでしょうか。
 

治療

治療の原則は破裂をさせないことです。
 

大動脈瘤が小さい場合

破裂しないように予防するしかありません。
こぶを完全に治すことは内科治療では難しく、破裂する危険性が高くなるまで大きくならないようにうまく付き合っていくことが肝心です。動脈硬化の危険因子となる病気や生活習慣を改善するなどの対応をおこない、定期的に大きさが変化していないかチェックする必要があります。
 

大動脈瘤が大きい場合

大きさやこぶができた場所によって、手術やカテーテル治療が検討されます。
 
(1)手術:人工血管置換術
大動脈瘤の部分を人工血管に置き換える手術です。こぶの前後で動脈を遮断し、出血しないようにしてから、人工血管を縫合します。
 
(2)カテーテル治療:ステントグラフト挿入術
細い管(カテーテル)を血管に挿入して、こぶのできた場所にステントグラフトという人工血管を留置します。人工血管を留置することによって大動脈瘤に血液が流れ込まなくなり、破裂を予防することができます。
 
どちらにもメリット・デメリットがあります。不安がある場合は、治療の前に医師とよく相談してください。
 
できてしまったこぶは、手術で取る以外になくすことはできないのですね。大きくならないように、そもそも作らないように、心掛けていないとならないですね。大動脈瘤は怖い病気だけれども、破裂する前に見つけることができたら幸運と思って、専門の医師に相談してベストな治療を受けましょう!
 

心臓や血管の外科手術をおこなう 心臓血管外科

CT、MRI検査等で⼤動脈瘤が発⾒されたら河北総合病院 心臓血管外科にご相談ください。循環器内科との密接な連携を図り、術前から術後まで最良の医療を提供するよう努めています。
 

【心臓血管外科】ページはこちら
■診察内容:虚血性心疾患(狭心症)、弁膜症(大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、僧帽弁閉鎖不全症)、大動脈疾患(大動脈瘤、大動脈解離)にたいしての外科的治療/循環器疾患における緊急手術への対応/末梢血管疾患(急性動脈閉塞など)の外科的治療
■特色:循環器内科との連携を図り、術前から術後まで最良の医療を提供/開心術全般に対応しており複数の心疾患合併症例も柔軟に対応が可能/帝京大学医学部付属病院や榊原記念病院と連携を図り万全な体制での手術を実施/ステントグラフト治療
■医師数:常勤2名・非常勤3名
■主要機器・設備:人工心肺装置/PCPS、IABPなどの補助循環装置

 
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vol.3 新人広報と学ぶ「心臓血管外科」(2020.8.12)
 

2021.6.30

 

阿佐美

プロフィール
広報課に2020年中途入社。前職はITベンチャーの企画など。医療業界は初めての28才。趣味は舞台鑑賞・食べること・ヨガ。
 


 
※本記事は、社会医療法人 河北医療財団 広報課の企画編集により制作し、医師など医療従事者の監修を経た上で掲載しています。
※本記事は診療科に関する情報の提供を目的としているものであり、診療・治療行為を目的としたものではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当財団は責任を負いかねます。
※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。また、記事の内容はすべての医療機関に共通するとは限りません。予めご了承ください。
※「阿佐美」は、読者の皆さまにわかりやすくお伝えするためのフィクションです。実在しておりません。

 
 
 

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