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新人広報と学ぶ
「緩和ケア」

広報課の新人が、創立95年の歴史ある河北医療財団や、杉並区のプチ情報をご案内いたします。
 
こんにちは、新人広報 阿佐美です。
河北医療財団では、お隣の杉並第一小学校の「いのちの授業」という、命に関して学ぶプログラムのお手伝いをしています。その中で「緩和ケア」について触れた回がありました。その時のお話がとても興味深かったので、改めて、学んできました。

 

目次

緩和ケアとは
緩和ケアが支援する「つらさ」
幅の広い緩和ケア
支えるチーム
 

緩和ケアとは

がんによる心と体の苦痛を和らげ、自分らしい生活を送れるようにするためのケアが「緩和ケア」です。
がんに罹患すると、がん自体の症状のほかに、痛み、倦怠感などの様々な身体的症状や、落ち込み、悲しみなどの心理的苦痛を経験します。それら身体的・心理的な苦痛を和らげるためのケアです。
 
WHO(世界保健機関)では、緩和ケアをこのように定義づけています。

緩和ケアとは、生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者とその家族のQOLを、痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題を早期に見出し的確に評価をおこない対応することで、苦痛を予防し和らげることを通して向上させるアプローチである。

 
わたしの身近にもがん罹患者の方は数人おられますが、発症した場所、程度、また自身の立ち位置などで、それぞれに、それぞれの苦悩があったように見受けられました。体だけの痛みやつらさじゃないのですよね…
 

緩和ケアが支援する「つらさ」

写真:緩和ケア イメージがんによる痛みには、4つの側面があるとされています。
 

身体的苦痛

がんそのものや、がんの治療によって生じる副作用による、痛み、息苦しさ、だるさといった身体症状や日常生活動作の低下など
 

精神的な苦痛

ネガティブなことを想像してしまい不安になる、イライラしてしまう、気分が落ち込んで憂鬱になる、孤独を感じるといった精神的な負担
 

社会的苦痛

ご家族や家庭内の問題、収入が途絶えることや医療費による経済的な不安、病気の治療や症状が仕事に与える影響など、周囲の人たち(社会)へ与える影響による苦痛
 

スピリチュアルペイン

人生の意味や苦しみの意味、自分の存在意義、死の恐怖を考えてしまうつらさなど

これら4つの側面の苦痛は、相互に影響し合っています。ひとつの痛みが様々な痛みを引き起こします。このような考え方を、トータルペイン(全人的苦痛)と呼びます。
 
体や精神などの一側面からのみ診るのではなく、人格や社会的立場なども含めた総合的な観点から診る必要があるんですね。それだけ、がんの「痛み」は複雑なんだと思いました。
 

幅の広い緩和ケア

終末期(ターミナルケア)との違い

よく誤解されるのですが、緩和ケアは「終末期(ターミナルケア)」とは異なります。終末期ケアはがんの終末期におこなわれる、治癒や延命ではなく、身体的・精神的苦痛を取り除くことを目的としたケアをさします。
緩和ケアは、終末期だけではなく、がんと診断されたときから始まります。診断時、治療中(外来・入院)、在宅医療などの様々な場面において切れ目なく提供されます。緩和ケアの一部に、終末期ケアがあるといえます。
 

患者さん・ご家族の様々な面をサポート

緩和ケアは、患者さん本人だけではなく、そのご家族も対象としています。患者さんの闘病中や死別後の生活に適応できるように支えることも、緩和ケアになります。
 

どこでも受けられます

緩和ケアは「緩和ケア病棟」や「緩和ケア外来」だけでおこなわれるものではありません。かかりつけの医療機関で受けられることもありますし、また、在宅でも受けられます。より専門的な緩和ケアには、緩和ケアチームによるサポートが受けられます。
 
対象となる期間、人物、場所、どれも幅広いですね。ケアの種類も多岐にわたりそう。どんな人がおこなってくれるのでしょう?
 

支えるチーム

写真:緩和ケア イメージ緩和ケアはがんの診断時から、がん患者さんに関わるすべての医療者によって提供されるものです。しかし担当の医師・看護師らによる通常の診療・ケアだけでは苦痛の緩和が困難な場合があります。そのような場合は、専門的緩和ケアとして緩和ケアチームが対応します。
河北総合病院では、医師、薬剤師、看護師(がん性疼痛看護認定看護師)、公認心理師/臨床心理士、医療ソーシャルワーカー、理学療法士、作業療法士からなる緩和ケアチームが、多角的に支援いたします。
 
苦痛を和らげるケアは「これが緩和ケアだ」と意識して始まるものではないのかもしれませんが、様々な分野の専門家がチームを組んで対応してくれるのは心強いですね。
 

監修:河北総合病院 消化器内視鏡診断・治療科部長、消化器内科副部長 山下 浩子 医師

がん診療部

■がん診療部は、がん(固形腫瘍・血液腫瘍)の迅速かつ正確な診断、最適な治療計画の策定、診療科の枠を超えた包括的ながん医療を提供します。
治療にあたっては、科学的根拠に基づき、がんの集学的治療、個別化治療、低侵襲治療を提供します。進行度に応じて、医師・専門看護師・薬剤師などからなるチームで緩和医療も提供します。がんの進行や治療によって身体的な障害が発生したり、それにともなって運動療法や生活機能の低下する場合には、生活の質向上のためがんのリハビリテーションもおこないます。

河北総合病院 がん診療部について詳しくはこちら

 

緩和ケア外来

■診察日時:火曜日 14:00~16:00(要予約、30分/回)
原則として、当院に通院されている患者さんを対象としています。ご希望の方は主治医にご相談いただくか、外来窓口でご予約ください。

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2023.6.7

 


 

阿佐美

プロフィール
広報課に2020年中途入社。前職はITベンチャーの企画など。医療業界は初めての28才。趣味は舞台鑑賞・食べること・ヨガ。
 


 

  • 本記事は、社会医療法人 河北医療財団 広報課の企画編集により制作し、医師など医療従事者の監修を経た上で掲載しています。
  • 本記事は診療科に関する情報の提供を目的としているものであり、診療・治療行為を目的としたものではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当財団は責任を負いかねます。
  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。また、記事の内容はすべての医療機関に共通するとは限りません。あらかじめご了承ください。
  • 「阿佐美」は、読者の皆さまにわかりやすくお伝えするためのフィクションです。実在しておりません。


 
 
 

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