臨床研修
「組織人」、「社会人」、そして「専門人」としての成長
河北家庭医療学センターでは、地域医療を支える分野における専門職の教育・研修に力を注いでいます。
医療・看護・相談の各分野で、プロフェッショナルとして活躍できる人材の育成をめざし、入職後よりスタッフとともに学びを得る現場づくりに努めています。
私たちは、豊かな人間性、柔軟な社会性、そして高い専門性を身につけることが、プロフェッショナルであるための要素と考えます。
そして、真の意味での研修とは、日々の診療や看護などの活動を通じて、体系化された知識を「品位や人格をともなった行い」へと変換し、そこから得られるフィードバックをさらなる知識の体系化に結びつける力を養うことです。
また、当センターの特徴の一つとして、「家族ケアの教育・実践」を掲げており、スタッフ一人ひとりが、これを各現場で適切に展開できるように教育をおこなっています。
診療部門
家庭医初期研修プログラム
河北家庭医療学センターでは、家庭医として地域医療に携わりたいと希望する初期研修医のために、初期臨床研修プログラムを2013年度より開設しました。
3年間の研修では、1、2年次は、河北総合病院で総合内科の基礎力をじっくり養う内科臨床研修を中心に、家庭医に必要な選択科目(外科、小児科、産婦人科、精神科、麻酔科、救急)のローテーション研修を組み合わせ、そして3年次には、地域医療に必要な基礎力を養うために、診療所での家庭医研修をおこないます。
初期研修を修了し、後期研修プログラムに進む場合、4年目に内科認定医、5年目に家庭医療専門医の学会受験資格を取得するキャリアパスが開かれます。将来、家庭医として活躍したい方のご応募お待ちしております。
また、学生の見学実習を随時、お受けしておりますので、ぜひお問い合わせください。
家庭医後期研修プログラム
「揺りかごから、墓場まで」を支える家庭医養成
河北総合病院は、創立80年と古い歴史をもち、1988年に臨床研修病院の指定を受けて以来、数多くの研修医を養成してきました。この豊富な臨床研修の経験と環境を活かし、「地域で求められる医師」としての「家庭医」を教育・養成をおこなっています。
家庭医とは、Generalistとして幅広い知識と技術を修得し、年齢・性別・疾患を問わずに、患者の相談に乗り、適切で全人的なプライマリ・ケア(初期診療や継続診療)を実践する医師です。また、患者だけでなく、その家族、地域を巻き込んだ医療・ケアのあり方を考え、適切な介入をする能力を備えています。
後期研修は3年間で、急性期総合病院(河北総合病院)、診療所、外部研修(僻地医療研修)でおこなわれます。
看護部門
リハビリステーションの新人研修は、河北家庭医療学センター各部署の実地研修から始まります。
この目的は、河北家庭医療学センターの機能・役割りを理解し、一日も早く河北家庭医療学センターの家族の一員になることにあります。
職種に偏らない多面的な視点を育て、多職種協働により生まれるサービスのすばらしさを実体験してもらいたいと考えています。
一方、訪問看護新人研修は、スタッフとの同行訪問から始まります。この期間を充分に取っているのが特徴です。施設ケアと在宅ケアの大きな違いは、「一人で訪問し医療・ケアを実践する」、「生活の延長線上にある人に必要な医療を生活していくための医療として組み立てる創意工夫が求められる」。そして、「患者家族を主体に医療者のみならず多職種とチーム協働をおこなう」です。
これら在宅の特徴を理解し実践していくためには、この同行訪問がとても大切で有効だと考えています。なぜなら、その日のケアや対話には、その日に必要とする意味があるからです。流れだけを観て聞きケアを継承し実践したのでは、「その利用者家族に必要なケア」を理解することは難しいのです。関係性を視る(解析)作業を意図的に行うこと、つまりケアのあり方や捉え方を考えることは、こうした客観的立ち位置で捉える作業が最も有効なのです。在宅は密室のケアです。他者の意見や評価を得るためにも、同行訪問は成長の機会になるのです。
週三回実施しているカンファレンスでは、看護師・理学療法士、時には医師もケアマネジャーも交えてケアの検討・考察をおこないます。これらによりアセスメント力や援助方法を高め、他者の役割りや機能を理解することにつながります。ケアの方針も関係者間でコンセンサスを得るため、自信と根拠をもって実践することができます。 同行訪問の期間は、概ね1ヶ月です。利用者の全体を大まかに理解でき、利用者家族の思いや考えを知る機会を増やし、スタッフと共にケアを実践することで早く組織に馴染めます。ひいては、安心して自らのケアを展開していこうと思う気持ちが生まれるのです。
期待するスタッフ像
1. 「人の生きる力」と、生活体験から培われた「生きる知恵」を最大限に引き出せるよう援助するとともに、療養生活に意味を見出し、新たな健康の価値を築き、地域での暮らしをより豊かにできるよう支援する
2. 社会人・組織人・専門職としての意志をもち、主体的に責任ある実践をおこなうとともに、互いに助け合い、共に成長する関係を築く
3. 社会の動向や医療の進歩に対応するための自己研鑽を惜しまず、組織機能の発展に寄与する