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新人広報と学ぶ
薬剤部
~病院の薬剤師のお仕事~

広報課の新人が、創立92周年の歴史ある河北医療財団や、杉並区のプチ情報をご案内いたします。
 
こんにちは、新人広報 阿佐美です。
薬剤師というとまず、薬局で薬を調剤してくれたり、ドラッグストアで相談にのってくれる人を連想します。利用する機会が多い場所だからでしょう。直接会う機会は少ないけれど、病院にも多くの薬剤師が在籍しています。どのようなお仕事をしているのでしょうか。

 

薬剤師の2割が病院勤務

病院には、どのくらいの薬剤師が勤務しているのでしょうか。厚生労働省が発表している「平成30年(2018年)医師・歯科医師・薬剤師統計」によると、下記のように日本の薬剤師の約2割は、病院に勤務していることになります。河北医療財団には、河北総合病院および分院と河北リハビリテーション病院、合わせて35人の薬剤師が在籍しています。

主に従事している施設・業務 人数 総数に対する割合
薬局の従事者 180,415人 58.0%
医療施設の従事者 59,956人 19.3%
  うち病院の従事者 54,150人 17.4%
  うち診療所の従事者 5,806人 1.9%
医薬品関係企業の従事者 41,303人 13.3%
衛生行政機関又は保健衛生施設の従事者 6,661人 2.1%
大学の従事者 5,263人 1.7%
介護保険施設の従事者 832人 0.3%
その他 16,856人 5.4%

確かに薬局勤務の方がダントツに多いけど、病院勤務が2割とは、もっと多いと思っていました。薬局では処方せんを確認してお薬を出してくれるけど、病院ではその他にどんなお仕事があるのでしょうか。
 

病院薬剤師の業務

病院でのお仕事は多岐にわたります。
 

調剤業務

病院では主に入院患者さんが使用する薬の調剤をおこないます。医師の処方せんの内容を確認し、薬の種類や投与量が適切かどうか、また、処方された薬だけでなく入院時の持参薬も含めて飲み合わせの問題はないかなどをチェックします。調剤業務は24時間体制で、時間外の救急外来にも対応して調剤をおこなっています。
 

がん化学療法業務

病院内で使用される抗がん薬については、患者さんごとに細かい量の調節が必要なため、医師が処方したものを全て薬剤師がダブルチェックします。そして、抗がん薬の調製では、ガウンや手袋、マスクなどを着けて、清潔に保たれた専用の部屋で菌が入らないよう実施します。さらに、外来で治療される患者さんへは、専門・認定資格を持った薬剤師が、抗がん薬の説明やかかりつけ薬局への情報提供などをおこない、安全に治療が継続できるよう努めています。

 

製剤業務

院内製剤とは薬剤師により病院内で調製され、その病院内で使用される製剤のことです。市販されている薬では効果が得られない場合、市販されている薬の形そのままでは治療に使用できない場合など、個々の患者さんに合わせて薬を調製します。製剤の種類は内服薬から注射剤まで、非常に多岐にわたります。

着用するのは、白衣だけじゃないのですね! 確かに、体内に直接入れるお薬はかなり厳重に扱わないといけないのでしょうね。
 

病棟薬剤業務

入院患者さんに、治療に用いる薬の作用や副作用、使い方などを説明、指導します。患者さんが入院前からのんでいる処方薬や市販薬、健康食品などを確認し、病院での治療に影響があるようならば医師に提案することもあります。薬が効いているか、副作用がないかモニタリングし、より効果的な薬物療法がおこなわれるように取り組みます。

病棟の入院患者さんへの対応は、病院ならではですね。一般の方が病院の薬剤師と接する機会があるとしたら、この時でしょうか。
 

医薬品情報業務

医薬品情報業務とは、医薬品を安全かつ適正に使用するために、投与方法、投与量、副作用、相互作用などの情報を収集し、その情報が適切かどうか評価していく業務です。収集した医薬品情報は、書籍や文献などのアナログ情報、コンピューターデータのようなデジタル情報として管理し、医師、看護師などの医療従事者や、患者さんへ提供します。
院内で発生した副作用情報の収集・報告も大切な仕事です。新たに見つかった副作用を厚生労働省に報告することにより、厚生労働省から安全性情報が発信され、様々な医療機関や製薬企業の間で情報共有することになります。こうして医薬品の安全性がより高まるのです。
 

薬品管理業務

薬品管理業務は疾病の治療に必要な薬が不足しないよう、薬の在庫管理をおこなう業務です。在庫管理以外にも、薬の期限や保管状況(保管温度等)の確認をおこなっている点も本業務の特徴です。薬局だけでなく、病棟のナースステーションや外来の診察室などにも薬が配置されていることから、薬剤師は病院内の様々な所で薬品管理業務に携わっています。
そのほか、災害時に使用するための薬の備蓄・管理も薬剤師がおこなっています。
 

治験業務

治験業務は、新しい薬を開発する際に「臨床研究」「臨床試験」をおこない、そのプロセスを経て厚生労働省へ申請をおこなうための業務です。新しく発売された薬の市販後調査にも積極的に参画しています。スタッフと協力し、治験や調査が適切におこなわれるようにサポートするだけでなく、被験者となる患者さんの相談に応じることも大切な業務です。医療従事者や患者さんの他、CRA (臨床開発モニター)など製薬会社の担当者とやり取りをすることもあります。

他にも、薬のプロとして「チーム医療」の一員に加わり治療方針に意見を述べる、薬学部の学生が薬剤師の仕事を体験学習する実習指導など、病院薬剤師がになう大切な仕事は多岐にわたります。
 
患者さんの薬を用意して説明をするというところまでは想像していたけれど、救急の対応や情報収集、新しい薬の開発への協力など、本当にたくさんの業務があるのですね。やりがいありそう!
入職して3年目の薬剤師に、病院勤務のやりがいを聞いてみました。

 

病院薬剤師のやりがい

私は、循環器内科・心臓血管外科の病棟を担当しています。患者さんの薬物治療経過の確認や副作用モニタリングを中心に、最適な薬物治療ができるよう患者さんだけでなく医師、看護師、その他の医療スタッフのサポートをしています。お薬の説明をする際はお薬の情報だけでなく、お薬を服用、使用する意義まで説明することは、患者さんが自ら薬物治療に参加することにつながると信じ、日々奮闘しています。日々の業務の中で、患者さんから直接「ありがとう」や「丁寧でわかりやすい」と言葉をいただいた時や、声をかけていただき薬剤師が必要とされた時はとても嬉しいです。また、医師や看護師から質問を受け、私の回答が治療に活かされ役立った時にやりがいを感じます。(入職3年目薬剤師)

必要とされるのって、とても嬉しいですよね。私も頑張ろう!
 
お薬は正しい使い方により、その効果を発揮して、適正な薬物治療ができます。その反面、副作用などの思わぬことも生じます。新しいお薬も治療の現場に次々に出ています。新薬についても、診療する医師への助言をしています。最適な薬物療法を提供するためにはどうしたら良いか、河北医療財団薬剤部では患者さんの治療のお役に立てるよう、日々の業務に励んでいます。

■河北チャンネル「薬剤師のお仕事」■
YouTube河北チャンネルにて、動画で薬剤師のお仕事をご紹介しています。ぜひ、こちらもご覧ください。

 

【薬剤部】ページはこちら
薬剤部は病院の使命をふまえ、社会、医療の進歩にともない、患者さん本位のチーム医療に貢献すべく、多様化したニーズに応える質の高い薬剤業務の展開を図ることをめざしております。
■個々の患者さんに対する最適な薬物療法の推進のための業務をおこないます。
■医師、看護師、および他職種と協力し円滑なチーム医療を推進します。
■薬学の専門性を活かし医療水準の向上に努めます。
■地域の薬局薬剤師と連携し、継続的な患者サービスを提供します。
■医療過誤防止のための医薬品の使用・管理に関して、より積極的な役割を果たします。

 

2021.4.7

 

阿佐美

プロフィール
広報課に2020年中途入社。前職はITベンチャーの企画など。医療業界は初めての28才。趣味は舞台鑑賞・食べること・ヨガ。
 


 
※本記事は、社会医療法人 河北医療財団 広報課の企画編集により制作し、医師など医療従事者の監修を経た上で掲載しています。
※本記事は診療科に関する情報の提供を目的としているものであり、診療・治療行為を目的としたものではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当財団は責任を負いかねます。
※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。また、記事の内容はすべての医療機関に共通するとは限りません。予めご了承ください。
※「阿佐美」は、読者の皆さまにわかりやすくお伝えするためのフィクションです。実在しておりません。

 
 
 

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