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新人広報と学ぶ
小児科とアレルギー

広報課の新人が、創立92年の歴史ある河北医療財団や、杉並区のプチ情報などをご案内いたします。
 
こんにちは!2020年度中途入社の新人広報 阿佐美です。今回は、小児科について学んだことをお伝えします!
 

小児科ってどんな科?

小児科は中学生までを対象とし、お子さんの色々な疾患に対応しています。また、当院では下記の専門的な外来診療も実施しています。

発達・子どものこころ関連
自閉スペクトラム症、学習障害、言葉の遅れ、場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)、情緒障害、心身症、神経症、チック障害、トゥレット障害、不登校など

アレルギー関連
気管支喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、アレルギー性鼻炎、花粉症

神経
てんかん、運動発達遅延

内分泌・糖尿病・生活習慣病
糖尿病、生活習慣病、低身長症、甲状腺疾患など

検尿異常・夜尿症・便秘症
学校検尿での異常、夜尿症、小児の便秘症

腎臓
ネフローゼ症候群・糸球体腎炎・尿路感染症・膀胱尿管逆流・水腎症など

その他の疾患
体重増加不良、乳児健診(6-7健診)など
 
ひとくちに”小児科”と言っても、たくさんあるんですね。こんなに色々あるなら、子どものことで不安があった時はママも安心して受診できますね。
私の友達にも、ママになった人がいます。毎日分からないことだらけで、特に食べ物は大変だって言ってました。やっぱり食べ物のアレルギーは怖いですよね。今回はそんな”食物アレルギー”についてご紹介しますね。

 

食物アレルギーについて

食物アレルギーの定義は、「食物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象」、簡単に説明しますと、本来は体に害を与えない特定の食べ物を食べた時だけ有害な症状がでるということです。有害な症状の例としては、蕁麻疹(じんましん)やかゆみ、咳などです。時に、アナフィラキシーという重い症状が出ることがあるため、注意が必要です。アナフィラキシーとは、発症後、極めて短い時間のうちに全身性のアレルギー症状が出る反応のことです。血圧の低下や意識障害などを引き起こし、場合によっては生命を脅かす危険な状態になることもあります。このような生命に危険な状態を”アナフィラキシーショック”といいます。
出典:食物アレルギー研究会
 
小学校生の頃、アナフィラキシーショックを起こして救急車で運ばれた同級生がいたことを思い出しました。私も小さい頃からりんごを食べると、喉がかゆくなって呼吸が苦しくなることがあったけど、あれはアレルギーだったのかな?
 

食物アレルギーを確かめる方法は?

食物アレルギーは、基本的には血液検査や皮膚検査だけでは診断ができません。診断するためには、食物経口負荷試験(以下:不可試験)を受けていただく必要があります。食物経口負荷試験は、1.確定診断、2.安全摂取可能量の決定、3.耐性獲得の確認を目的におこないます。

1.確定診断
食物アレルギーが疑われる食品を摂取することで、その食品が本当に原因かどうかを確認します。例としては、血液検査で陽性となったが、摂取はしていないため、本当に症状がでるのかを確認する場合などです。

2.安全摂取可能量の決定
必要最小限(食べると症状が誘発される食物)の除去のために、段階的に摂取量を設定して負荷試験を施行することで、安全に摂取できる量を確認することができます。例えば、原因がある食物でも、症状が誘発されない「食べられる範囲」までは食べ、少量摂取を可能か確認します。

3.耐性獲得の確認
年齢に応じた日常で摂取できる量の負荷試験を施行することで、日常生活で通常摂取する量が食べられるようになっているかどうかを確認することができます。当院での摂取する目標量は、年齢によって変わりますが、卵1個・牛乳100~200ml・うどん100~200g・ナッツ類とゴマ10gを目安にしております。
 
どんな検査をおこなうのか気になりますよね。この記事を読んで知ってもらえたらいいな。
 

当院の食物経口負荷試験の方法は?

Q:入院はしますか?
A:1泊2日です。症状がなければ、外泊が可能です。

Q:どんな方法でおこないますか?
A:オープン法です。アレルギーが確定している、もしくは疑われる食品そのものとわかる状態で摂取する方法です。

Q:費用はどれくらいですか?
A:お子さまの1食分の食事代(460円、税込み)とお部屋代などです。
詳しくは、河北総合病院ホームページをご覧ください。
 

負荷試験は増えているの?

当院で実施した負荷試験の件数は、年々増加しています。

2019年度は、462件あり、都内でも有数の実績です。当院では、3大アレルゲンである卵、牛乳、小麦の件数が多く、またピーナッツやナッツ類の負荷試験も多く施行しているのが特徴です。ピーナッツは名前にナッツと入っていますが、実はナッツではありません。しかしピーナッツアレルギーがあると血液検査でナッツ類も数値がでてしまうことが多くあります。ピーナッツやナッツ類は症状が強くでやすいため、ピーナッツやナッツ類のどれかにアレルギーがあると、まとめて除去されているケースがみられます。しかし、実際には他のナッツ類は食べられることもあるため、積極的に負荷試験をおこなっています。不要な除去をしている子どもたちの力になりたいと思っています。

当院では、土曜日に負荷試験を実施しています。土曜日に施行している施設は多くありませんので、ぜひ、ご利用ください。
 
検査数が増加していることは、とてもいいことですね。小さい頃から自分が食べられるものを知っておくことは大切!
 

地域の園や学校との連携

当院では、2015年から杉並区の委託で、杉並区立のこども園、小学校、中学校、特別支援学校でアレルギー症状が出現した場合に、教員と当院小児科医が直接連絡のとれるアレルギー対応ホットライン(以下:HL)を導入しています。HLへの連絡は年間30件前後あり、服薬の指示や、必要に応じて医療機関の受診を勧めています。さらに、2017年11月からは、連絡を受けた当院小児科医が、アレルギー症状が重症だと判断した場合は、医師と救急救命士が病院救急車で直接園や学校へ出動し、初期治療を開始したうえで搬送するという新たな取り組みをおこなっています。現在までに6回出動しました。この取り組みは、直接現場に向かうことで治療開始までの時間を短縮できる有用な試みです。先生方や保護者の方々からの評判もよく、今後は杉並区立の施設だけでなく、近隣の私立学校や保育園などにも対応していきたいと考えています。アレルギーを持つ子どもが増えてきていますが、HLを有効活用し地域の子どもたちの生命、健康を守っていきたいと思います。

河北総合病院の小児科

河北総合病院の小児科には、常勤10名、非常勤2名の計12名の医師が務めています。基本的な考え方として、子どもが病気にかかった際に身体的疾病の対応だけではなく、心理社会的にも子どもの健全な発育を総合支援することを心がけています。身体の診療に加えて、こころの診療や子どもたちの置かれた環境改善も大切です。適切に苦痛を訴えることが難しい子どもの代表者も兼ね備えた、“子どもの総合診療医”をめざしています。

 

【小児科】ページはこちら
■診察内容:アレルギー:気管支喘息、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、食物依存性運動誘発アナフィラキシー/発達心療:自閉スペクトラム症、注意欠如多動症、不登校、愛着障害など/内分泌・糖尿病・生活習慣病:低身長症、甲状腺疾患、思春期遅発症/早発症、肥満症/検尿異常・夜尿症・便秘症/神経:てんかん、運動発達遅滞など/その他:体重増加不良、起立性調節障害、ダウン症など/乳幼児健診:6-7ヶ月健診
■特色:小児入院相談専用ライン/一般診療:午前中のみ対応/専門外来:全て予約制であり、主に午後診療
■医師数:常勤10名、非常勤2名

 

2020.8.26

 

阿佐美

プロフィール
広報課に2020年中途入社。前職はITベンチャーの企画など。医療業界は初めての28才。趣味は舞台鑑賞・食べること・ヨガ。
 


 
※本記事は、社会医療法人 河北医療財団 広報課の企画編集により制作し、医師など医療従事者の監修を経た上で掲載しています。
※本記事は診療科に関する情報の提供を目的としているものであり、診療・治療行為を目的としたものではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当財団は責任を負いかねます。
※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。また、記事の内容はすべての医療機関に共通するとは限りません。予めご了承ください。
※「阿佐美」は、読者の皆さまにわかりやすくお伝えするためのフィクションです。実在しておりません。

 
 

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