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新人広報と学ぶ
消化器外科
~食道のはたらきについて~

広報課の新人が、創立92周年の歴史ある河北医療財団や、杉並区のプチ情報をご案内いたします。
 
こんにちは!2020年度中途入社の新人広報 阿佐美です。
河北総合病院には、消化器内科と外科があります。今回は手術をおこなう消化器外科について紹介します。消化器って聞くとたくさんの臓器が浮かびますよね。そんな中でも食道について調べたことと、4月1日より消化器外科主任部長に就任された阿美 克典医師についてご紹介もしていきます。

 

消化器外科はどんな科?

消化器は、食道、胃・十二指腸、小腸・大腸、肛門、肝臓、脾臓、胆道、膵臓という領域に分けられます。消化器外科は、人間が必要なエネルギーを得るために食べ物を消化して栄養を吸収する、不要物を排泄して栄養分の処理をおこなう消化器に病気がおきた際に手術によって治療をする診療科です。

 
消化器ってあらためて調べると、たくさん臓器がありますね。胃や大腸はよく胃カメラや大腸カメラなど検診でよく聞く臓器ですね。そういえば、食道って名前は知ってはいるけど、どんな働きをしているのかな?
 

食道ってなあに?

食道とは、のど(咽頭)と胃を結ぶ筒状の臓器です。食道そのものには消化や吸収の機能はなく、口から入った食べ物や飲料を胃まで運ぶ役割を果たしています。のどに近いほうから頚部(けいぶ)食道、胸部食道、腹部食道と呼ばれる3つに分類され、全体の長さは平均で25cmほどになります。食道には食べ物を胃まで送る蠕動(ぜんどう)運動という働きがあり、横になったまま食べ物を口に入れてもスムーズに胃まで送り届けることができます。また、食道の上端と下端にはそれぞれ上部食道括約筋、下部食道括約筋と呼ばれる括約筋があり、食物が逆流することを防いでいます。

食道は食べ物や飲みものを胃まで運ぶ役割をしていて、上下部食道括約筋のおかげで逆流を防いでくれているのですね。参考までに、小児期~30代までは上下部食道括約筋は発達をするけど、40代に入ると弱まっていくと聞いたことがありますよ。
 

食道がんの症状となりやすい人の特徴

食道がんは、食道の内面を覆う粘膜から発生したがんが大きくなるとその下にある粘膜下層、筋層にも入り込みます。また、食道の壁を貫いて気管や肺など食道の周りの組織に広がってしまうこともあります。食道の周りにはリンパ管や血管が豊富にあるため、がん細胞はこれらの流れにのって離れた臓器に流れ着き増殖することがあります。

●症状
食道がんの初期症状は、無症状であることも。食道がんに限らずがんの初期症状は無症状ということがあります。人によっては、初期症状で熱いものや酸っぱいものが喉にしみる、のみ込むときに違和感があるといった症状がでることもまた、偶然胃カメラで発見することもあります。そして、食道がんが進行するにつれて、食べ物がつかえる、声が枯れる、背中や胸が痛むなどの症状が出ることがあります。

●なりやすい人の特徴
お酒を大量に飲む、お酒を飲むと顔が赤くなる、喫煙者、肉が好き、野菜や果物は嫌い、熱いものや辛い物が好き。

無症状の事が多いのか…。検診を受けることが大切ってあらためて思いました。私も学生時代逆流性食道炎になったことがあります。慢性ではなかったから今は治ったけど、当時はお医者さんに辛い物食べないでくださいと言われたことがあったのを思い出しました。あの時は、激辛ラーメンを週3回は食べていたからなぁ(笑)早期発見する方法を消化器外科主任部長 阿美医師に聞いてみました!
 

Q.食道がんを早期発見するには

食道がんは食道粘膜に機械的刺激や化学的刺激(筋肉の中のエネルギーを枯渇状態にし、筋肉の中の環境を悪化させることによる刺激)が長期間、慢性的・持続的にかかることで発生します。そのような刺激が加わるものはすべて原因となりえます。胃がんのように9割以上の方がピロリ菌という細菌を持っている方に発生するわけではありません。もっともそれも、ピロリ菌による慢性炎症が胃粘膜に長期間加わることで起きるのですが、食道がんでは、その人が持っている遺伝子のタイプでなりやすい方がある程度推察されます。それは、お酒(アルコール)を分解していく2種類の酵素の働きが強いか弱いかによります。アルコールは体内に入ると、肝臓でアルコール脱水素酵素(ADH)という酵素でアセトアルデヒドに分解されます。このアセトアルデヒドが発がん物質です。アセトアルデヒドは次にアルデヒド脱水素酵素(ALDH)で無害な酢酸に分解されます。この二つの酵素のタイプで、お酒がおいしいと思うか思わないか、飲めるか飲めないか、強いか強くないか、顔が赤くなるかならないかが決まります。お酒は好きで以前はあまり飲めなかったけど飲めるようになり、顔が赤くなる人が食道がんになりやすい方です。また、タバコにもアセトアルデヒドが代謝産物として含まれています。お酒はいくらでも飲めるタイプなのにまったくお酒を飲まず煙草も吸わない方に比べて、危険な遺伝子を有していてお酒もたばこもやる方は約190倍食道がんになりやすいと報告されています。食道がんも胃がんも大腸がんも早期ではほとんど無症状です。検診のバリウムや便潜血で早期がんを発見することはかなり難しいです。ご自身が上記のようなタイプに当てはまる方は、できれば2、3年に1回は胃カメラの検査を受けられることをお勧めします。なお、食道と胃の境目にできる食道胃接合部がんについてはほかの要因も関与しています。
遺伝子については、YouTube 河北チャンネルでやっているweb河北健康教室でも掲載していますので、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

河北チャンネルはこちら

阿美医師のお話の中で登場した胃がんについても、Web河北健康教室でアップしています。ぜひ、ご覧ください。
 

New Faceのご紹介

4月より河北総合病院 消化器外科に着任された医師を紹介します。

消化器外科主任部長兼消化器疾患センター長 阿美 克典医師

Q.医師をめざしたきっかけ

母方の祖父が内科医で地域医療(戦後間もない頃、その地域5市町村で医師が祖父しかいなかった)をしていたことと、人に接する仕事がしたいと思ったからです。

Q.消化器外科 主任部長に就任されて、今後めざす診療体制、目標を

効率化を重視した疾患ごとに、画一的な診療をおこなうセンター病院ではできない、病状や生活環境など、患者さん個々に合ったオーダーメイドの診療を提供できる診療体制をめざしています。無理なく、安全に、満足できる診療を心がけます。

Q.患者さんへのメッセージをください

およそ100年の歴史がある河北総合病院は、地域の方々にとっては3世代、4世代に渡って係わらせていただいている歴史ある病院です。「遠くの大病院に行かなくても、近くの河北でも同等の診療が受けられる。だから無理して遠くまで通わなくても大丈夫」と、言われるように設備や人員をさらに充実させていきます。特に消化器疾患は検査から診断、内視鏡治療、腹腔鏡手術、開腹高難度手術まで。また消化器がんではさらに化学療法(抗がん剤)、緩和ケアまでトータルにケアできるようにしてまいります。地域に根差した、地域の人達に安心と安らぎを提供できる、敷居の低い病院をめざしています。

Q.マイブーム

2週間に1回程度の夕飯作りとクラフトビールがマイブームです。

【消化器外科】ページはこちら
■診察内容:消化器全般(食道・胃・十二指腸・小腸・大腸・肝臓・膵臓・胆嚢・胆管など)の良性・悪性疾患の手術および内視鏡治療/大腸がんに関しては治療件数も多く、東京都がん診療連携協力病院に認定/救急外科診療(虫垂炎・胆嚢炎・消化管穿孔・腹膜炎・消化管出血など)/肛門疾患(痔核・肛門周囲膿瘍・痔瘻・直腸脱など)/消化器悪性腫瘍に対する抗がん剤治療/がん終末期の緩和ケア
■特色:低侵襲手術である腹腔鏡下手術を、胃・大腸・肝臓・膵臓の切除や胆嚢摘出・鼠径ヘルニア根治術・虫垂切除・直腸脱根治術など、様々な消化器疾患手術に積極的に取り入れている。特に、胆嚢摘出手術や虫垂炎手術のほぼ全例、大腸がんにおいても80%以上に腹腔鏡下手術をおこなっている/24時間365日、消化器センター医師が院内に常駐しており、専門的な診断と緊急手術・内視鏡治療に常に対応できる体制/総合病院としての特徴を生かし、高齢や併存疾患のある患者さんに対しても専門医が協力して治療/悪性腫瘍はガイドラインに準拠して治療。早期がんには内視鏡的切除を導入しており、常に患者さんの負担を少なく根治の得られる方法を選択/術前・術後および転移再発に対する入院および外来での抗がん剤治療を安全におこなっている/終末期に対しては、がん看護専門看護師を含むサポートチームにより専門知識と、きめ細やかな配慮のある緩和医療に力を入れている/麻酔科と協力して術後の痛みができるだけ少なくなる工夫をしている。また、術後早期回復を目的としたERAS(Enhanced Recovery After Surgery; 術後回復の強化)のプロトコルを導入/肛門疾患に対し、直腸肛門専門外来を開設。特に直腸脱の根治療法として、低侵襲で再発のない腹腔鏡下直腸吊り上げ固定術を導入/大腸がん手術の増加に伴い、人工肛門造設(ストーマ)が必要な患者さんも増加。ストーマ外来を開設し専門的なケアを提供。
■医師数:常勤10名・非常勤2名
■主要機器・設備:腹腔鏡手術装置/超音波診断装置/上下部消化器内視鏡

 

2020.12.9

 

阿佐美

プロフィール
広報課に2020年中途入社。前職はITベンチャーの企画など。医療業界は初めての28才。趣味は舞台鑑賞・食べること・ヨガ。
 


 
※本記事は、社会医療法人 河北医療財団 広報課の企画編集により制作し、医師など医療従事者の監修を経た上で掲載しています。
※本記事は診療科に関する情報の提供を目的としているものであり、診療・治療行為を目的としたものではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当財団は責任を負いかねます。
※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。また、記事の内容はすべての医療機関に共通するとは限りません。予めご了承ください。
※「阿佐美」は、読者の皆さまにわかりやすくお伝えするためのフィクションです。実在しておりません。

 
 

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