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新人広報と学ぶ
脂肪肝

広報課の新人が、創立95年の歴史ある河北医療財団や、杉並区のプチ情報をご案内いたします。
 
世界三大珍味の1つフォアグラ。フランス語で「フォア(foie)」は肝臓、「グラ(gras)」は脂肪のことだそうです。直訳すると「脂肪肝」…人間の肝臓も脂肪肝になるとあんな真っ白になってしまうのでしょうか? 肝臓も内蔵のひとつですから、よくきく「内臓脂肪」とは違うのでしょうか? 脂肪肝について、調べてみました!
 

目次

脂肪肝とは
脂肪肝になるとどうなる
脂肪肝の原因は
診断・治療
 

脂肪肝とは

脂肪肝とは肝細胞の内部に中性脂肪(トリグリセリド)が過剰に蓄積した状態をいいます。
もともと肝臓の働きのひとつに、エネルギー源として中性脂肪を作り、貯蔵するというものがあります。使うエネルギーよりも作られる脂肪の方が多いと、中性脂肪は腸間膜(内臓脂肪)や皮下脂肪組織にたくわえられるほか、肝臓にも貯蔵されます。肝細胞の30%以上に中性脂肪がたまると脂肪肝と診断されます。
 
また、内臓脂肪とは胃や腸などの臓器のまわりにつく脂肪のことで、皮膚の下についた皮下脂肪と合わせて体脂肪と呼ばれます。肝臓にたまる脂肪そのものは内臓脂肪から区別されます。
 
脂肪はあらゆるところに蓄積されるのですね。皮下脂肪は付いていることを実感しやすいけれど、内臓のまわりや、内臓そのものに付いたものに、気づくことは難しそうです。

脂肪肝になるとどうなる

脂肪肝の初期にはほとんど自覚症状はありません。進行すると、血流が悪くなり、酸素や栄養素を全身に届ける働きが不十分になるため、倦怠感や、頭がボーっとするなどの症状があらわれることもあります。さらに肝炎や肝硬変、肝がんに進行する可能性があり、さまざまな生活習慣病のリスクも高めることがわかってきています。
肝臓にある過剰な脂肪自体は必ずしも深刻な問題ではありませんが、早期に発見し、原因となる生活習慣や肥満を改善することが重要です。
  
見た目でもわからないし、自覚症状もないのならば、脂肪肝に気づかず過ごしている人も多いのでしょうね。脂肪肝の人は日本に相当数いるのではないでしょうか。
 

脂肪肝の原因は

脂肪肝の原因はいくつかありますが、日本人に最も多いのは脂質や糖質の摂り過ぎによるものです。脂質や糖質を摂り過ぎていてさらに運動不足の場合には、使いきれなかった脂肪酸やブドウ糖が中性脂肪として肝臓に蓄えられます。

現在、国内での正確な患者数はわかっていませんが、「NASH・NAFLDの診療ガイド2020」によると、健康診断を受診した成人の30%前後にそのような非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)が認められたとあります。

他にも、原因となるものがあります。
過度な飲酒:アルコールが分解される時、中性脂肪が合成されやすい。
肥満:肝臓での脂肪酸の燃焼が悪くなり、中性脂肪がたまりやすくなる。
極端な食事制限:低栄養性脂肪肝。必要な栄養素を十分に摂取できていないことにより代謝異常が起こり、
過剰な脂質がたまりやすくなる。
※2023年6月に、欧州肝臓学会(EASL)は米国肝臓病学会(AASLD)、ラテンアメリカ肝疾患研究協会(ALEH)と合同で脂肪性肝疾患の病名を変更することを発表しました。これにより、従来の非アルコール性脂肪性肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease: NAFLD)はメタボリック症候群の基準の一部を満たす場合に限定して、metabolic dysfunction associated steatotic liver disease(MASLD)となりました。
 
肝臓の病気はお酒の影響が大きいと思っていましたが、脂肪肝は食べすぎが原因の人の方が多いのですね。逆に、極端に食べないことでも脂肪がたまるなんて…何事もバランスが大事ということでしょうか。
 

診断・治療

脂肪肝の診断は、血液検査、超音波検査などの画像検査、ときに肝生検でおこないます。
健康診断で血液検査をおこなったら、肝機能を表すALT(GPT)の数値が高いと脂肪肝になっている可能性が高いといわれています。健康な男性ならALT30以下、女性の場合なら20以下が適正値です。

脂肪肝に特効薬はありません。また、脂肪肝はその種類によって治療方法や生活で注意すべき点が異なります。
ALTの数値が高い方は、その他さまざまな病気を予防するためにも、食習慣や運動など生活習慣を見直してみるのがいいかもしれません。

 
「生活習慣病」という言葉は1996年頃から使われるようになったそうですが、本当に多くの病気が該当するのだろうなと思います。食生活や運動を意識して、健康に暮らしていきたいですね。

 
河北総合病院 消化器内科では消化管・肝臓・膵臓・胆道など多くの臓器の疾患を対象にしていますが、消化器病専門医・消化器内視鏡専門医・肝臓専門医などの専門医が在籍しており高度な検査、治療を迅速におこなっております。
 

監修:消化器内科部長 五十嵐 裕章 医師

消化器内科

■診察内容
消化器内科は消化管から肝胆膵まで広い範囲の臓器を扱う診療科で、内科系では最も患者数が多く、専門とする医師も最も多い科です。/腹部症状(痛み、吐き気、吐血、血便、下痢、腹部膨満感など)や食欲不振、黄疸などの症状に対して対応しております。/健診後の精査の胃内視鏡、便潜血陽性に対する二次検査としての大腸内視鏡も多数おこなっております。
■医師数
常勤6名、非常勤3名
■特色
OLYMPUS社製各種内視鏡/OLYMPUS社製EUS/小腸用カプセル内視鏡/SIEMENS社製血管造影装置/GE社製造影超音波装置

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2024.3.22

 
 


 

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阿佐美

プロフィール
広報課に2020年中途入社。前職はITベンチャーの企画など。医療業界は初めての28才。趣味は舞台鑑賞・食べること・ヨガ。
 


 

  • 本記事は、社会医療法人 河北医療財団 広報課の企画編集により制作し、医師など医療従事者の監修を経た上で掲載しています。
  • 本記事は診療科に関する情報の提供を目的としているものであり、診療・治療行為を目的としたものではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当財団は責任を負いかねます。
  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。また、記事の内容はすべての医療機関に共通するとは限りません。あらかじめご了承ください。
  • 「阿佐美」は、読者の皆さまにわかりやすくお伝えするためのフィクションです。実在しておりません。

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