新人広報と学ぶ
便秘
広報課の新人が、創立95年の歴史ある河北医療財団や、杉並区のプチ情報をご案内いたします。
「河北健康教室」で大腸がんについてのお話を伺った際、「怖い便秘がある」と知りました。便秘は、特に若い女性には身近な現象ですし、あまり深く考えたことがなかったことに気づきましたので、あらためて「便秘」について学んできました!
目次
・便秘の定義
・便秘の人はどのくらいいるの?
・便秘の種類
・大きな病気が隠れていることも
便秘の定義
日本消化器病学会による「慢性便秘症診療ガイドライン」では、便秘とは「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。
また、以下の6項目のうち、2項目以上をみたすことが「便秘症」の診断基準となります。
- 排便の4分の1超の頻度で、兎糞状便または硬便である
- 自発的な排便回数が、週に3回未満である
- 排便の4分の1超の頻度で、強くいきむ必要がある
- 排便の4分の1超の頻度で、残便感を感じる
- 排便の4分の1超の頻度で、直腸肛門の閉塞感や排便困難感がある
- 排便の4分の1超の頻度で、用手的な排便介助が必要である
小学生の長期休暇中にあった「健康チェック表」という宿題によって「毎日朝食後に出さないといけない」と思い込んでいたけれど、「毎日」というのは必須条件ではないのですね。
便秘の人はどのくらいいるの?
2022年、厚生労働省の国民生活基礎調査によれば、男性は2.8%、女性では4.4%の方が便秘を感じていると報告されています。60歳以下では女性に多くみられますが、男女ともに加齢に従い増加し、70歳以降になると男女差がなくなります。便秘に悩む方は若い女性に多いイメージがあるかもしれませんが、人口の高齢化に伴い急増していることがわかります。
15~60歳くらいまでは圧倒的に女性の方が多いのに、そこからは男女ともにどんどん増えて、80歳からは男性の方が多くなっていますね。それぞれの年代で、原因は違うのかな?
便秘の種類
便秘の原因は、大腸の異常の原因によって、器質性便秘と機能性便秘の2つのタイプに分類されます。
器質性便秘:何らかの原因で、大腸の形自体が変化してしまうことで便秘になります。
機能性便秘:大腸の形態は正常でも、腸の機能が低下することによって便秘になります。
機能性便秘は、さらに症状や病態で分類されます。
排便回数減少型: 大腸の動きが低下し、排便回数や排便量が減少。腹部膨満感や腹痛などの症状を生じます。便の停滞時間が長いため硬くなることも。 |
大腸通過遅延型 大腸の便を輸送する能力が低下し、排便回数や排便量が減少するタイプ |
大腸通過正常型 大腸の便を輸送する能力には問題ないけれど、排便量や排便回数が減少するタイプ |
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排便困難型: 便意の低下や便を出す力が弱くなったりし、十分量かつ快適に排便できなくなります。 |
大腸通過正常型(硬便) 大腸の便を輸送する能力には問題ないけれど、便が硬いため排便困難や過度のいきみを生じるタイプ |
機能性便排出障害 機能的な病態によって直腸の便が十分量かつ快適に排出できず、排便困難や残便感などを生じるタイプ |
どのタイプの便秘なのかを知ることで、原因を予測でき解消に繋がる場合も少なくありません。食生活の改善や運動など、根本的な原因の解消に努めましょう。
なるほど、ダイエット中になる便秘は「排便回数減少型・大腸通過正常型」になるのかな? 食べる量を戻したら、解消されそうだけど…。でも大腸の形自体が変わってしまっていたら、自分では対処できなさそう。
大きな病気が隠れていることも
大腸がんやクローン病、潰瘍性大腸炎などの大きな病気が原因で大腸の形が変わり、器質性便秘になることがあります。
また、便秘は腸以外の病気の初期症状ということもあります。
子宮筋腫や卵巣嚢腫など近くの臓器が腸に影響したり、パーキンソン病、レビー小体型認知症、うつ病、糖尿病などが便秘を引き起こすこともあります。
その他にも、腎臓疾患、甲状腺機能低下症、自律神経障害、膠原病など、多くの疾患で便秘を併発することがあります。
急に便秘になるなど排便習慣が変化したのは、もしかしたら他の病気にかかっているサインかもしれません。
いつもと体調が違うことはないか注意するようにし、気になることがあれば、すぐに医師に相談するようにしましょう。
自分の体調の変化には敏感でいたいですね。まずは食事や運動などに気を付けて「十分量かつ快適」を心がけます!
監修:消化器内科部長 五十嵐 裕章 医師消化器内科■診療内容
消化器外科■診療内容 |
阿佐美
プロフィール
広報課に2020年中途入社。前職はITベンチャーの企画など。医療業界は初めての28才。趣味は舞台鑑賞・食べること・ヨガ。
- 本記事は、社会医療法人 河北医療財団 広報課の企画編集により制作し、医師など医療従事者の監修を経た上で掲載しています。
- 本記事は診療科に関する情報の提供を目的としているものであり、診療・治療行為を目的としたものではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当財団は責任を負いかねます。
- 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。また、記事の内容はすべての医療機関に共通するとは限りません。あらかじめご了承ください。
- 「阿佐美」は、読者の皆さまにわかりやすくお伝えするためのフィクションです。実在しておりません。