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新人広報と学ぶ
一次救命処置

広報課の新人が、創立95年の歴史ある河北医療財団や、杉並区のプチ情報をご案内いたします。
 
こんにちは、新人広報 阿佐美です。
先日、職場で「BLS研修」がおこなわれました。略称だけだとピンときませんよね。「Basic Life Support」、一次救命処置のことを言います。一次ということは、二次、三次はあるの?…調べてきました。

 

目次

心肺蘇生法
救命の連鎖
一次救命処置(心肺蘇生とAED)
 

心肺蘇生法

病気やケガにより、呼吸および心臓が止まった状態「心肺停止」の人に対し、救命のために胸を強く圧迫するなどの行為を「心肺蘇生法(しんぱいそせいほう、CardioPulmonary Resuscitation; CPR)と言います。CPRは、次の2つに分けられます。

一次救命処置

Basic Life Support; BLS

専門的な器具や薬品などを使わずおこなえる
特別な資格は必要なく誰でもおこなえる
二次救命処置 Advanced Life Support; ALS 病院などの医療機関においておこなう医療行為で、医師や看護師、救急救命士がおこなう

病気やケガで心肺停止に陥った人を救命し、社会復帰させるために必要な一連の流れを「救命の連鎖」といいます。救命の連鎖を構成する4つの輪が素早くつながると救命率が高まります。

 
一次救命処置は、医療従事者ではない私たちにもできます。でも、研修を受けて痛感したことは、「なにも知らないと、慌てて右往左往するのが目に見えているな」ということでした。
 

救命の連鎖

連鎖の3つめまでは、医療従事者ではなくても、おこなえます。
 

1.心停止の予防

心肺停止に至る急性心筋梗塞では、初期症状に気づき少しでも早く病院で治療を受けることで予防が可能です。急性心筋梗塞や脳卒中は生活習慣病とも呼ばれていますので、日々の生活改善で発症のリスクを下げることも大切な予防のひとつといえます。
子どもの心停止の主な原因には、ケガ、溺水、窒息などがあります。その多くは、日常生活の中で十分に注意することにより予防ができます。
 

2.心停止の早期認識と通報

突然倒れた人や反応がない人をみたら、まず大声で応援を呼び、119番通報とAED の手配をおこないます。救急隊の到着を待つ間にどのような対応をすべきかわからなくても、119番通報の電話を通して助言を受けることができます。あせらずに、傷病者の状態を正確に伝えることが重要です。救助者が1名しかいない場合は、スマートフォンのスピーカー機能などを活用すると、両手が使えて作業がしやすくなります。
 

3.一次救命処置(心肺蘇生とAED)

心肺蘇生法とAED の使用は医療従事者でなくてもできる救命行為です。
 
連鎖が後になるにしたがって、難易度も高くなっていきますね。1の段階で留まっていられることがなによりです。病気について学ぶ時にもいつも出てくる言葉ですが「予防と早期発見」が本当に大事だということがわかります。
 

一次救命処置(心肺蘇生とAED)

心臓が止まると、15秒以内に意識がなくなり、3~4分以上そのままの状態が続くと脳の回復は困難になります。
 

胸骨圧迫

  1. 胸と腹部の動きを見て、普段通りの息があるかないかをみます。
  2. 正常な呼吸がない場合は、直ちに胸部圧迫(心臓マッサージ)をおこないます。

 
強く:胸が、少なくとも5cm沈むように
速く:1分間あたり、100~120回のテンポで。
絶え間なく:交代などによる中断は、最少に
 

AED

AEDは、日本語では「自動体外式除細動器」と呼ばれる医療機器です。心臓の状態を判断して、コンピューターが電気ショックが必要かどうかを教えてくれます。
A:Automated(自動化された)
E:External(体外式の)
D:Defibrillator(除細動器)
 
心臓がこまかくけいれんする「心室細動」と呼ばれる状態を電気ショックで「取り除く」機器ですので、電気ショックが適応しない心停止では使えません。AEDが「電気ショックは不要です」と判断しても、それは「心臓が動いている」「回復した」ということではありませんので、倒れている人に反応がなかったら、必ず胸骨圧迫をおこなってください。
 
AEDは音声や画像で指示を出してくれるので、その指示に従って行動します。誰でも簡単に扱えるようになっています。
①電源を入れる
②電極パットを素肌に直接貼り付ける
③安全確認をして除細動ボタンを入れる
④胸骨圧迫を再開する
 
傷病者が目をあけたり、あるいは普段通りの呼吸が戻ったら、心肺蘇生をいったん中止し、慎重に様子を観察しながら救急隊を待ちます。救急隊が到着したら、発見時の状況や到着までの様子の変化、AEDなど、おこなった応急手当の内容などをできるだけ詳しく伝えてください。
 
「一般市民が目撃した心原性心肺機能停止傷病者のうち、一般市民による心肺蘇生等実施の有無別の生存率・社会復帰率(令和4年版 救急救助の現況 総務省消防庁)」によると、実施した場合は実施しなかった場合と比較して、一か月後生存者数は約2倍、一か月後社会復帰者数は約3倍となっています。
 
私たちの行動が、誰かの命をつなぐことになるかもしれないですね。救急救命講習は、消防庁などで開催されているので、参加してみるのもいいかもしれません。
2023年4月27日に開催された河北健康教室【命をつなぐ心肺蘇生の方法】の動画を公開しています。クリティカルケア認定看護師が心肺蘇生についてわかりやすく説明していますので、ぜひご覧ください。

 

■河北健康教室「命をつなぐ心肺蘇生の方法」■

 

監修:救急集中治療科部長 内野 正人 医師

救急集中治療科

■診療内容
常勤の救急科専門医が救急に特化した診療をおこなっており、24時間シフト体制を採用し、救急車、近隣からの紹介を受け入れています。
■特色
常勤医師6名 非常勤医師2名
ER型救急診療に加え、6床の救急ICUの管理運営をおこなっています。
救急外来には小児から高齢者まで、独歩来院、救急搬送など、内科系、外科系を問わず様々な傷病の患者さんが来院しております。
5名の救急救命士がスタッフに加わっており、消防庁と同等の病院救急搬送車を有し、各医療機関に出張し救急患者搬送をおこない、また、当院からの転院にも対応しています。

河北総合病院 救急集中治療科について詳しくはこちら

2023.10.4

 


 

阿佐美

プロフィール
広報課に2020年中途入社。前職はITベンチャーの企画など。医療業界は初めての28才。趣味は舞台鑑賞・食べること・ヨガ。
 


 

  • 本記事は、社会医療法人 河北医療財団 広報課の企画編集により制作し、医師など医療従事者の監修を経た上で掲載しています。
  • 本記事は診療科に関する情報の提供を目的としているものであり、診療・治療行為を目的としたものではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当財団は責任を負いかねます。
  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。また、記事の内容はすべての医療機関に共通するとは限りません。あらかじめご了承ください。
  • 「阿佐美」は、読者の皆さまにわかりやすくお伝えするためのフィクションです。実在しておりません。

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