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新人広報と学ぶ
「網膜裂孔・網膜剥離」

広報課の新人が、創立94年の歴史ある河北医療財団や、杉並区のプチ情報をご案内いたします。
 
こんにちは、新人広報 阿佐美です。
昨年、同僚が眼の手術をしました。眼科を受診した際におこなった眼底検査で、網膜の異常が見つかったそうです。別件による受診のことで、網膜に関しては自覚症状がなかったという本人は「穴があいていたらしい」とケロッと報告していましたが、その時に見つからず進行していたら大変だったのでは? 網膜とそこにできる穴について、学んできました。

 

目次

像を写すスクリーン、網膜
網膜裂孔
網膜剥離
 

像を写すスクリーン、網膜

網膜は、眼の奥にある光を感じる透明な膜です。カメラに例えると、フィルムに当たる組織です。角膜と水晶体をとおった光は、眼球の内壁(眼底)に広がる網膜上で焦点を結びます。ちょうど網膜の上に外の映像を写しているイメージになります。10層からできているとても薄い膜で、光に反応して色や形を感じ取る「視細胞」が1億個以上も存在しており、光の刺激を信号に変えて脳に映像を伝えています。

目の構造

 
眼球は小さい部位なのに、構造は本当に複雑ですね。そしてハイテク! 同じ機能をもつ機械を作ったとしたらどのくらいの大きさになるのか、考えもつきません。
 

網膜裂孔

その網膜にできた亀裂や穴を網膜裂孔(もうまくれっこう)といいます。網膜裂孔をきっかけに網膜剥離が生じることがあります。
 

自覚症状

網膜には痛覚がないので、痛みはありません。裂孔が開くだけでは自覚症状はほとんどありません。何もないはずなのに目の前に黒い点や糸くずのようなものが見える「飛蚊症」や、光が当たっていないのに、視野の中心や端に光が飛んで見えたり、チカチカした光を感じる「光視症」が現れることもあります。
 

原因

加齢にともなうものが最も多いです。眼球の内部は無色透明のゼリー状の組織「硝子体」に満たされており、網膜はその硝子体の表面と接しています。硝子体が年とともに収縮していくと、硝子体と網膜が離れてすき間ができます。この現象が生じる時に光視症や飛蚊症を自覚することがあります。また、収縮する硝子体に引っ張られるかたちで網膜が引き裂かれ、亀裂や穴ができることがあります。
中等度以上の近視の方は網膜が薄く変性していることが多く、裂孔が起こりやすいです。目を直接ぶつけたり、頭に強い衝撃が加わった時に起こることもあります。
 

治療法

レーザーで裂孔周囲の網膜を焼き固め、網膜剥離が生じるのを防ぎます。網膜光凝固術という、外来でおこなう手術です。
 
自覚症状がないというのは、気づかないまま病気が進行してしまうこともあるので本当に怖いですよね。網膜裂孔がきっかけとなることもある網膜剥離は、どのような病気なのでしょうか。
 

網膜剥離

網膜剥離とは、文字通り、網膜が剥がれてしまう状態です。
 

自覚症状

剥離した網膜は感度が低下するため、剥離部分に対応する視野が見えなくなる「視野欠損」という症状が現れます。眼は左右2つあるため、欠損のない目が補ってしまい軽度では気づかないことも多いです。気になる症状があったら片目ずつ手でふさいで確認すると、視野の異常に気づきやすくなります。細かいものを識別したり色を見分ける働きをもった、網膜の中心である黄斑部が剥離してしまうと、視力低下が起きます。
 

原因

網膜剥離網膜剥離は裂孔が原因の「裂孔原性(れっこうげんせい)」と、穴が開かない「非裂孔原性」というタイプに分けられます。非裂孔原性の網膜剥離はいろいろな病気にともなっておこりえますが、糖尿病が原因となることもあります。
今回は最も多い、裂孔が原因となる網膜剥離(裂孔原性網膜剥離)についてお話します。裂孔をそのまま放置しておくと、この小さな穴から網膜とその下の層との間に水分(液化硝子体)が入り込み、最終的に網膜が剥がれてしまいます。

 

治療法

裂孔原性網膜剥離の手術は大きく分けて2つの方法があります。

 
黄斑が剥がれてしまった場合には、手術をしてももとどおりの視力に戻ることは難しくなってしまいます。発生から間がなく、剥がれている範囲も小さい場合には、手術前と同程度にまで回復する可能性も高くなります。飛蚊症や光視症のような症状を自覚した場合には、早めの受診が大切です。
 
網膜剥離は、ボクサーや格闘家がなるイメージがあったので、強い衝撃によって発症するものだと思い込んでいるところがありました。加齢が危険因子なら、誰でも罹患する可能性がありますよね。気になる症状を自覚したら、早めに検査をうけようと思います。
 

監修:河北総合病院 眼科 竹宮 信子 医師

眼科

■特色:医師4名、視能訓練士名4名体制/外来-月~土曜日/手術-月・水・木曜日/硝子体手術の設備があり、難治性白内障や眼底疾患にも対応/正常眼圧緑内障に対する眼圧10以下を目標とした線維柱帯切除術
■主要機器・設備:白内障手術装置 インフィニティビジョンシステム/硝子体手術装置 コンステレーションビジョンシステム/手術用顕微鏡 OPMI VISU 200/広角眼底観察システム Resight/マルチカラーレーザー光凝固装置 MC-500/YAGレーザー手術装置 YC-1800/超広角走査型レーザー検眼鏡 California/ハイデルベルグ スペクトラリスOCT/ゴールドマン視野計/ハンフリーフィールドアナライザー(自動視野計)/眼軸長測定装置 IOL Master500/シノプトスコープ/無散瞳眼底カメラ/網膜電図測定装置/ヘスチャート/アイケアプロ 手持ち眼圧計/超音波画像診断装置 UD-6000/半導体レーザー装置cycloG6

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2023.4.6

 


 

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阿佐美

プロフィール
広報課に2020年中途入社。前職はITベンチャーの企画など。医療業界は初めての28才。趣味は舞台鑑賞・食べること・ヨガ。
 


 

  • 本記事は、社会医療法人 河北医療財団 広報課の企画編集により制作し、医師など医療従事者の監修を経た上で掲載しています。
  • 本記事は診療科に関する情報の提供を目的としているものであり、診療・治療行為を目的としたものではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当財団は責任を負いかねます。
  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。また、記事の内容はすべての医療機関に共通するとは限りません。あらかじめご了承ください。
  • 「阿佐美」は、読者の皆さまにわかりやすくお伝えするためのフィクションです。実在しておりません。


 
 
 

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