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新人広報と学ぶ
産業医ってどんな医師?
~働きやすい環境作り~

広報課の新人が、創立94周年の歴史ある河北医療財団や、杉並区のプチ情報をご案内いたします。
 
こんにちは、阿佐美です。
近年、働き方改革と題し、様々な取り組みがおこなわれているかと思います。その中で、病気にかかってしまったときに仕事とどう向き合うか、これもとても大切なことです。そこで今回は、病気にかかってしまった時などの働き方の相談に関わっている「産業医」について紹介します。

 

産業医とは

写真:産業医産業医とは、労働者が50人以上の事業場において、選任することが義務付けられており、労働者の健康管理をおこなう役割を担っている医師です。労働者が50人未満の事業場でも医師や臨床心理師などにその役割を担わせることを努力義務とし、1,000人以上の大規模事業場では、専属産業医を選任することが必要とされています。
 

産業医の職務は、法律上9つに分類されています。

産業医の職務(安衛則第14条第1項)

  1. 健康診断の実施とその結果に基づく措置
  2. 長時間労働者に対する面接指導・その結果に基づく措置
  3. ストレスチェックとストレスチェックにおける高ストレス者への面接指導その結果に基づく措置
  4. 作業環境の維持管理
  5. 作業管理
  6. 上記以外の労働者の健康管理
  7. 健康教育、健康相談、労働者の健康の保持増進のための措置
  8. 衛生教育
  9. 労働者の健康障害の原因の調査、再発防止のための措置

 
数年前に、産業医にフォーカスをあてたドラマもあったかと思います。学生時代までは先生や保健室にいる保健師さんなど、気軽に相談をできる場がありました。ですが就職後、そういう場はあるのかな…と考えたことが、社会人1年目のときにありました。大人になっても悩むことはありますので、仕事を円滑におこなうため、そして健康に仕事を続けられるために、産業医との面談を活用することは大切ですね。
 

産業医の役割

1.健康診断とその結果に基づく措置

事業場での健康診断は、実施すること自体が目的ではなく、その結果から就労ができる健康状態かを確認することを主な目的としています。健康診断の結果を元に、これまでの働き方で問題がないかの確認を産業医がおこないます。就業する上で健康に問題が起きてしまう場合は、治療をおこないながら産業医の就業に関する意見を踏まえ、労働者の働き方の改善に取り組みます。また、生活習慣病の予防・治療を早期に対応するため、現時点の病気改善だけではなく、将来病気にならないよう医療機関への受診をすすめたり、保健指導をします。
 

2.治療と仕事の両立支援

以前は病気の治療は仕事を休んで自宅療養・入院治療と考えがちでしたが、現在は治療をおこないながら就業することが増加傾向にあります。治療の必要な労働者がいる場合、産業医と面談し、専門的な観点から就業の可否や適正な配慮の必要性などをアドバイスします。産業医に適切な意見を求めることで、適切な治療を受けながら就労を継続することができます。
 

3.ストレスチェック制度や長時間労働者への対応

事業場では、メンタルヘルス対策の一次予防を促進する目的で、ストレスチェック制度が定められています。産業医はストレスチェック制度における実施者の役割を担うことが望ましいとされており、ストレスが高いと判断された労働者がいた場合、産業医による面談が必要となります。
長時間労働は脳や心臓、精神疾患のリスクになるといわれており、労災認定の要件に含まれているため、過重労働による健康障害を防止する観点からも、一定の要件の下で産業医との面談が定められています。
 

4.情報管理

職員の健康情報は機微な情報であり、取り扱いには注意が必要です。職場で病気が悪化しないよう配慮する場合は、職場への説明と理解が必要ですが、同時にプライバシー保護に配慮することも大切です。
産業医は、本人の同意を取り、健康情報の開示について医療情報を適切な形で加工し、職員の健康状態を分かりやすく人事部や上長などへ説明し、職場環境の改善を適切おこないます。
 
病気の治療は、仕事を休み自宅療養・入院治療という考えから、治療をおこないながら就業をするという働き方に変わってきているのはとてもよいことですね。休む療養が必要な方もいらっしゃるかと思いますので、治療だけじゃなく生活のことも不安ですから、治療に専念できる配慮があると安心です。
 

産業医の条件

1996年の労働安全衛生法の改正により、産業医は【労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識について厚生労働省令で定める一定の要件を備えた者でなければならない】と規定されました。ここで定められている一定の要件とは、以下になります。

安衛則第14条第2項

  1. 厚生労動大臣が定める産業医研修の修了者。
  2. 労働衛生コンサルタント試験(試験区分保健衛生)に合格した者。
  3. 大学において労働衛生を担当する教授、助教授、常勤講師の職にあり、またはあった者。
  4. 産業医の養成課程を設置している産業医科大学その他の大学で、厚生労働大臣が指定するものにおいて当該過程を修めて卒業し、その大学がおこなう実習を履修した者。

 
河北医療財団にも3名の産業医がおり、職員の働きやすい環境を整えるために活躍しています。患者さんの治療をすることが医師の主な役割ですが、産業医は私たちが働きやすいよう従業員の健康管理もおこなってくれています。
 

監修:消化器内視鏡診断・治療科部長 山下浩子医師

 

2022.8.17

 


 

阿佐美

プロフィール
広報課に2020年中途入社。前職はITベンチャーの企画など。医療業界は初めての28才。趣味は舞台鑑賞・食べること・ヨガ。
 


 

  • 本記事は、社会医療法人 河北医療財団 広報課の企画編集により制作し、医師など医療従事者の監修を経た上で掲載しています。
  • 本記事は診療科に関する情報の提供を目的としているものであり、診療・治療行為を目的としたものではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当財団は責任を負いかねます。
  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。また、記事の内容はすべての医療機関に共通するとは限りません。あらかじめご了承ください。
  • 「阿佐美」は、読者の皆さまにわかりやすくお伝えするためのフィクションです。実在しておりません。


 
 
 

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