文字サイズ変更

h1タイトル

新人広報と学ぶ
帯状疱疹 ~ワクチン接種で予防~

広報課の新人が、創立94周年の歴史ある河北医療財団や、杉並区のプチ情報をご案内いたします。
 
こんにちは、阿佐美です。
テレビCMなどでよく見かけるようになった帯状疱疹ワクチン。自分が医療や疾患を意識するようになったからかな?と思っていましたが、2022年から「帯状疱疹啓発週間」が立ち上がったことが大きく影響していたようです。いったいどういうものなのでしょうか?

 

帯状疱疹ワクチンとは

帯状疱疹を予防することができるワクチンです。ワクチンは帯状疱疹を完全に防ぐものではありませんが、発症しても症状が軽く済むという報告があります。2016年から、日本でも高齢者を対象に使用が可能になりました。
 

帯状疱疹が起こる仕組み

帯状疱疹は、子どもの頃に感染した水ぼうそうと同じウイルス「水痘・帯状疱疹ウイルス」が体の中で再活性化することで発症します。日本人では、15歳以上の9割以上が水痘・帯状疱疹ウイルスに対する抗体を持っています。抗体があるということはそのウイルスが体の中に入ったことがあると考えられるので、多くの人が帯状疱疹を発症する可能性があります。
※多屋 馨子 他:病原微生物検出情報(IASR). 39(8), 133-135, 2018(水痘抗体保有状況:2014~2017年度感染症流行予測調査事業より)
 

帯状疱疹の原因

加齢、疲労、ストレスなどで免疫力が低下すると、体の中に潜んでいたウイルスが活動を再開し、帯状疱疹になります。
 

なぜ50歳以上が対象?

帯状疱疹ワクチンは、50歳以上の年齢の方が接種対象となります。帯状疱疹は高齢になると発症しやすく、50歳以上で発症率が上がることが調査でわかっています。高齢になると発症しやすくなるのは加齢による免疫力の低下が原因と考えられており、日本では80歳までに約3人に1人が帯状疱疹になるといわれています
 
グラフは、宮崎県でおこなわれた調査研究(2009~2015年)による帯状疱疹の年代別の発症率です。

Kimiyasu Shiraki, Nozomu Toyama, Tohru Daikoku, Misako Yajima, for the Miyazaki Dermatologist Society, Herpes Zoster and Recurrent Herpes Zoster, Open Forum Infectious Diseases, Volume 4, Issue 1, Winter 2017, ofx007, https://doi.org/10.1093/ofid/ofx007 より作成
 

帯状疱疹ワクチンの予防効果

帯状疱疹ワクチンによる発症予防効果は、生ワクチンで51.3%、不活化ワクチンで90%台との研究結果があります。価格や接種回数、持続効果等それぞれに特徴がありますので、どちらを接種するかは医師と相談のうえ決めてください。
※ワクチンによる帯状疱疹予防,渡辺大輔,現代医学 68(2): 37-41 2021
 
私も小さい頃、水ぼうそうにかかったことがあります。人にうつすからと、学校も出席停止になりました。同じウイルスということは、帯状疱疹も人にうつるのでしょうか?
 

帯状疱疹は人にうつるの?

帯状疱疹は、他の人に帯状疱疹としてうつることはありません。しかし、帯状疱疹を発症した人の水ぶくれの中には、その原因となるウイルスが存在しています。水ぼうそうになったことのない人には水ぼうそうとしてうつる可能性がありますので、十分注意してください。すでに水ぼうそうになったことのある人は、感染の心配はいりません。

 
なるほど! すでに水ぼうそうにかかっている私には、帯状疱疹がうつることはないとわかって安心しました。でも、もし自分が帯状疱疹にかかったら、水ぼうそうになったことのない子どもとの接触は気をつけないといけませんね。水ぼうそうは発熱と痛かゆい水ぶくれがあったけど、帯状疱疹はどのような症状なのでしょう。
 

帯状疱疹の症状

体の左右どちらかの神経に沿って、痛みをともなう赤い斑点と水ぶくれが帯状に生じます。このウイルスは神経を傷つけながら皮膚に向かうため、多くの場合は皮膚症状が現れる数日前に痛みが生じます。
症状の多くは上半身に現れ、顔や、目の周りに現れることもあります。
 

合併症

通常は皮膚症状が治まると痛みも消えますが、知覚神経が傷つけられたことによって、皮膚症状が治まった後も長期間にわたって痛みが続く場合があります。これを帯状疱疹後神経痛(PHN)といいます。免疫機能の衰えた高齢者ほど、PHNに移行する方が多くなる傾向があります。
 
痛いのも嫌だし、顔に斑点や水ぶくれができるのは困る! やはり発症しないことがなによりですね…
 

帯状疱疹は予防が大事

帯状疱疹は免疫力の低下によって発症するため、予防には日頃の体調管理が重要です。
・食事や睡眠をしっかりとる
・適度な運動
・適度な休息
・ストレスを減らす
などを心がけ、免疫力を低下させないようにしましょう。
発症や重症化を予防するために、50歳以上の方はワクチン接種も検討してください。
 
ワクチンは子どもの頃に打つもので、大人になって打つのは子どもの頃に打つ機会を逃したものか、効果が長続きしないものに対して…と思っていたこともありましたが、大人だからこそ必要になるものもあると学びました。今の自分には何が必要なのか、考えながら暮らしたいと思います。
 
河北ファミリークリニック南阿佐谷では、日常的に起こる健康問題に対する医療をおこなっています。小児や成人の予防接種、年に1度の健康診断などの予防医学や、禁煙外来などの健康増進に関わる医療・ケアなども、お気軽にご相談ください。

監修:河北ファミリークリニック南阿佐谷 院長 塩田 正喜

河北ファミリークリニック南阿佐谷

■診察内容:<外来診療>急性疾患への初期対応(発熱、腹痛、頭痛など)/生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病など)に対する標準的な治療/小児から高齢者まで、全年齢を対象とした医療の提供/複数の診療科にまたがる状態に対する統合的なケア/診断・治療のみではなく、保健・福祉・介護などへの懸け橋としての機能/睡眠時無呼吸症候群に対する検査・治療(一部他院とも連携して治療をおこないます)/禁煙外来/特定検診
<訪問診療>老衰や認知症、脳梗塞後遺症などの患者への訪問診療に加え、小児、神経難病、在宅緩和ケアなど、広範な訪問診療のニーズに対応します。/訪問診療の範囲は、当院から半径2km以内を目安としております。
■医師数:常勤医師:6名(内、専攻医2名)/非常勤医師:12名
■主要機器設備:レントゲン/心電図/超音波画像診断装置(腹部のみ対応)/採血検査、採尿検査

河北ファミリークリニック南阿佐谷について詳しくはこちら

 

2022.7.6

 


 

関連記事

vol.65 新人広報と学ぶ「おとなのワクチン ~かかりつけ医を持ちましょう~」(2021.9.22)
vol.17 新人広報と学ぶ「プライマリ・ケア」(2020.11.11)
 


 

阿佐美

プロフィール
広報課に2020年中途入社。前職はITベンチャーの企画など。医療業界は初めての28才。趣味は舞台鑑賞・食べること・ヨガ。
 


 

  • 本記事は、社会医療法人 河北医療財団 広報課の企画編集により制作し、医師など医療従事者の監修を経た上で掲載しています。
  • 本記事は診療科に関する情報の提供を目的としているものであり、診療・治療行為を目的としたものではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当財団は責任を負いかねます。
  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。また、記事の内容はすべての医療機関に共通するとは限りません。あらかじめご了承ください。
  • 「阿佐美」は、読者の皆さまにわかりやすくお伝えするためのフィクションです。実在しておりません。


 
 
 

TOP