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新人広報と学ぶ
麻酔

広報課の新人が、創立93周年の歴史ある河北医療財団や、杉並区のプチ情報をご案内いたします。
 
こんにちは、新人広報 阿佐美です。
阿佐美の上司は注射が苦手で、予防接種の時期になると「注射を打つための麻酔が欲しい」とつぶやきます。そもそもその麻酔が注射になるのでは…?と思うのですが、自分自身が麻酔についてよく知らないことにも気付きました。今回は、そんな「麻酔」についてです。

 

麻酔とは

病気やケガを治すための手術ですが、体にメスを入れることにより痛みとストレスをともないます。それらの痛みとストレスは、手術後の回復にも影響を与えることがあります。そこで、痛みを感じなくさせ、ストレスから患者さんを守るために麻酔が必要となります。麻酔は、薬物などを用いて人為的に意識や痛みなどの感覚をなくすことです。手術を安全におこなうため、患者さんの全身状態を維持することを最大の目的とした医療行為が麻酔なのです。
 

麻酔の種類

麻酔は全身麻酔と区域麻酔に大別されます。
 

全身麻酔

全身麻酔は、脳に作用して、意識や痛みを感じなくさせます。
麻酔がかかっている間は、自分で呼吸をする力が弱くなるため、口から気管まで呼吸を助けるためのチューブを入れ、それを通して呼吸を補助します。
手術中は麻酔科医が様々なモニターを用いて患者さんの状態を監視し、手術の進行に合わせた適切な麻酔深度を保ちます。
 

区域麻酔

原則として意識が保たれます。
区域麻酔にはいくつかの種類があります。
 
表面・局所浸潤麻酔
手術する部位に局所麻酔薬を注射します。歯の治療や、体表の小手術などに使われます。
 
脊髄くも膜下麻酔(下半身麻酔)
腰から細い針を刺して、脊髄の近く(くも膜下腔)に局所麻酔薬を投与し、麻痺させます。3~6時間、下腹部や足の感覚がなくなります。
 
硬膜外麻酔

背中から針を刺して、脊髄の近く(硬膜外腔というスペース)に細い管を入れて、局所麻酔薬を投与することで、手術部位の痛みを軽減させます。全身麻酔と併用されることもあります。術後の痛み止めにも使用することができます。
 

末梢神経ブロック(伝達麻酔)
手術部位に関わる神経に沿って局所麻酔薬を注射し、その領域の痛みをとります。全身麻酔と併用されることもあります。
 
局所麻酔は、歯科治療で経験あります。確かに痛みはないけれど、一時的に、その周囲に腫れているような感覚や違和感が残ります。人工的に意識がなくなるって、あらためて考えるとすごい状態ですよね。
 

麻酔の仕組み

局所麻酔は神経に作用し、皮膚や内臓からの痛みを伝える神経をブロック(遮断)することで、痛みを感じなくさせます。意識を失うことはありません。
一方で脳に作用する全身麻酔のメカニズムは、実はいまだに解明されていません。
 

麻酔と睡眠の違い

「睡眠」と「全身麻酔で意識がない」のは違います。
意識がなくなること・痛みを感じないこと・筋肉をゆるめること、この3つが「全身麻酔の三要素」です。手術の刺激によって体に受けるストレスが最小限になるよう、脳波の状態も参考にしながら、麻酔の深さを調節しています。
 

麻酔科医という存在

局所麻酔だけで手術をおこなえる場合には手術をする診療科の医師が麻酔をおこないますが、全身麻酔が必要な場合、また全身麻酔以外であっても手術中に患者さんの全身状態を監視した方がよい場合には、麻酔科医が関わります。
 

術前診察

麻酔と手術を安全におこなうために、患者さんがどのような病歴を持ち、術前にどのような状態にあるかを確認します。
 

手術中

手術の進行状況や、患者さんの状態に応じて適切な量の麻酔薬を投与します。手術が終わる時間に合わせ、スムーズに目が覚めるよう薬の調整をします。また、患者さんの血圧や心拍数、体温、血中の酸素の量、体の中の水分量などをきちんと維持できるよう、常に目を光らせています。
 

術後診察

麻酔の影響が最小限で済むための対応、術後の痛みに関するサポートをします。
 
手術の際に麻酔薬を投与するだけではなく、執刀する診療科の医師が手術に全集中できるよう、患者さんの全身状態を管理するのも麻酔科医の仕事。診療科を問わず様々な手術で、縁の下の力持ちとして活躍しているのですね。
 
河北総合病院 麻酔科では、手術の不安を少しでも軽減し最高の手術結果が得られるよう、手術をおこなう医師や手術室のスタッフと協力して、質の高い安全な麻酔を提供しています。
 

麻酔科

■診察内容:当院でおこなわれるすべての手術に対して、執刀医からの依頼に応じて麻酔管理をおこなっています。/夜間や休日の緊急手術にも、オンコール体制で24時間365日対応。/小児から、100歳を超える高齢者の手術麻酔まで幅広く対応。
■特色:重い合併症(特に心・肺・脳血管合併症)をお持ちの方も、安心安全に手術を受けられるよう、適切な麻酔を選び、術前・術中・術後を通して全身管理をおこないます。/モニターや気道確保の方法など、最新の機器や知見を取り入れて、よりよい麻酔管理をめざして努力しています。/硬膜外麻酔、超音波ガイド下の末梢神経ブロック、経静脈的自己調節鎮痛法(IV-PCA)を使用して術後疼痛の軽減に努めています。/東京慈恵会医科大学附属病院麻酔部からの派遣医師など、毎日5-6名程度の麻酔科医を確保し、患者さんに寄り添った安全な麻酔がおこなえるよう環境を整えています。
■医師数:常勤医師2名/非常勤医師のべ20名
■主要機器設備:手術室7室、標準バイタルモニター、パルスオキシメータ、カプノメータ、換気量モニター、筋弛緩モニター、脳波モニター、カフ圧モニター/超音波装置、神経刺激装置、気管支鏡/経食道心エコー、体外式連続心拍出量測定用センサー、血行動態モニター
■実績(2020年度):年間麻酔科管理症例数(全身麻酔、区域麻酔など)2,286件/全手術件数2,973件/定時手術2,545件/緊急手術428件/全身麻酔件数1,647件

麻酔科について詳しくはこちら

 

2022.1.19

 


 

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阿佐美

プロフィール
広報課に2020年中途入社。前職はITベンチャーの企画など。医療業界は初めての28才。趣味は舞台鑑賞・食べること・ヨガ。
 


 

  • 本記事は、社会医療法人 河北医療財団 広報課の企画編集により制作し、医師など医療従事者の監修を経た上で掲載しています。
  • 本記事は診療科に関する情報の提供を目的としているものであり、診療・治療行為を目的としたものではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当財団は責任を負いかねます。
  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。また、記事の内容はすべての医療機関に共通するとは限りません。あらかじめご了承ください。
  • 「阿佐美」は、読者の皆さまにわかりやすくお伝えするためのフィクションです。実在しておりません。


 
 
 

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