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新人広報と学ぶ
夜尿症
~子どものおねしょ~

広報課の新人が、創立94年の歴史ある河北医療財団や、杉並区のプチ情報をご案内いたします。
 
こんにちは、新人広報 阿佐美です。
新型コロナウイルスの影響で全然会えていなかった親戚の子どもが、いつの間にかおねしょをしなくなっていて。今はトイレトレーニングを頑張っていると聞き、かわいいパンツをプレゼントしなくては!と張り切っています。赤ちゃんだったのに、もうそんなに成長しているのか…と少し寂しい気持ちも。そんなときに、おねしょってどのタイミングで治るのかな…と調べたら、夜尿症という言葉を発見したので紹介します。

 

夜尿症とは

生まれたときから続く、夜間寝ている間のおねしょのことで、5歳を過ぎても月1回以上夜間の睡眠中のおねしょが3ヶ月以上続いてしまうことを定義としています。
時々おねしょをしてしまう子どもの比率は、5~6歳で約20%、小学校低学年になると約10%と減少しますが、10歳でも約5%にみられ、ごくまれに成人まで続くケースもあります。

おねしょと夜尿症の違いは、年齢です。

おねしょ 排尿に関わるメカニズムが未熟である幼児期に、夜寝ている間におもらしをすること
夜尿症 5歳以降で月1回以上のおねしょが3か月以上続くこと

 
おねしょは子どもの頃に必ず治るものだと思っていたので、夜尿症という病気の一つと考えられていることを知り、驚きました。大人になっても治らなかったら、確かに大変だな…と思います。
 

原因

夜尿症の原因としては

  1. 眠りが深く尿意があっても起きることがほとんどない覚醒障害
  2. 夜間、睡眠中に多く分泌して尿量を少なくするホルモンである、抗利尿ホルモンの分泌が不足
  3. 尿量の増加や、尿を膀胱に溜める機能の未熟性による膀胱容量の低下
  4. その他の因子(環境や遺伝など)

以上のような理由が、1~2つ以上合わさって起きると考えられています。
 
つまり、夜間の尿量が多くても、尿意で目を覚ましてトイレで排尿したり、膀胱の容量が夜間尿量を上回る、あるいは膀胱の容量が小さくても夜間尿量がそれ以下であれば、夜尿症は認めません。この考え方に基づき、下図のように小児の夜尿症を夜間尿量と膀胱容量のバランスから、夜間尿量の多い多尿型、膀胱容量の少ない膀胱型、両者がみられる混合型の3つのタイプに分類されます。

夜尿症の分類

 
さらに、精神的なストレスも原因としてよくいわれますが、小さいときから続いている夜尿症の場合には、明らかな因果関係はあまり認めません。しかし夜尿症が治って半年以上経ってから再発するケースもあり、このような場合は生活環境の変化やストレスが引き金になっていることがあります。食事からのアレルギーの関与もありますが、頻度は高くありません。また、両親に夜尿症があった場合、子どもに遺伝する可能性は高いですが、明らかな原因遺伝子は見つかっていません。
 
私も、おねしょが続く原因はストレスと聞いたことがありましたが、あまり因果関係はないのですね。しかし、環境の変化やストレスで再発する可能性はあるのだと、ゆっくりと治療していくことが大切ですね。
 

診断

まず、保護者の方から夜尿症の状況を確認します。加えて、尿の検査で尿が濃縮されているかどうか、超音波検査で腎臓や膀胱を調べます。さらに、必要に応じて尿の出具合を調べる検査や、排尿後に残尿が残っているかどうかの検査もおこないます。

以下に当てはまるようであれば、かかりつけの小児科にご相談ください。

  1. 昼間におしっこを漏らしたり、ちびったりすることがないか
  2. おしっこをするときは、勢いよく一気に出ているか
  3. おしっこがくさくないか
  4. 尿路感染を以前に起こしたことがないか
  5. 毎日ウンチがでているか
  6. カフェインを含んでいるお茶、紅茶、コーラなどを習慣的に飲んでいないか
  7. ご両親にもお子さんと同年齢のころに夜尿症がなかったか
  8. 夕方から寝る前までの飲水量が多くないか

 
小さい子どもはうまく伝えることができないからこそ、一番身近にいる保護者の方が注意して見てあげることが大切ですね。
 

治療法

まずは、現状を知るために日誌を付け、それに合わせて生活習慣の見直しを始めます。きちんと毎日できるようになることが、治療の第一歩です。その後、本人に合わせた治療に進みますので、治療には長い時間がかかります。焦らず、ゆっくり治療をすすめることが大事です。
 

監修:河北総合病院 小児科副医長 周戸(しゅうど) 優作

小児科

■診察内容:アレルギー:気管支喘息、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、食物依存性運動誘発アナフィラキシー/発達心療:自閉スペクトラム症、注意欠如多動症、不登校、愛着障害など/内分泌・糖尿病・生活習慣病:低身長症、甲状腺疾患、思春期遅発症/早発症、肥満症/検尿異常・夜尿症・便秘症/神経:てんかん、運動発達遅滞など/その他:体重増加不良、起立性調節障害、ダウン症など/乳幼児健診:6-7ヶ月健診

河北総合病院 小児科について詳しくはこちら

 

2022.10.12

 


 

参考

日本小児科泌尿器科学会 夜尿症
日本泌尿器科学会 『おねしょ』(夜尿症)が治らない
おねしょ卒業プロジェクト
 


 

阿佐美

プロフィール
広報課に2020年中途入社。前職はITベンチャーの企画など。医療業界は初めての28才。趣味は舞台鑑賞・食べること・ヨガ。
 


 

  • 本記事は、社会医療法人 河北医療財団 広報課の企画編集により制作し、医師など医療従事者の監修を経た上で掲載しています。
  • 本記事は診療科に関する情報の提供を目的としているものであり、診療・治療行為を目的としたものではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当財団は責任を負いかねます。
  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。また、記事の内容はすべての医療機関に共通するとは限りません。あらかじめご了承ください。
  • 「阿佐美」は、読者の皆さまにわかりやすくお伝えするためのフィクションです。実在しておりません。


 
 
 

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