【報告】市民公開講座「人生最期の居場所を考える~多様化する看取りの場~」12/3(土)

【報告】市民公開講座「人生最期の居場所を考える~多様化する看取りの場~」
12/3(土)

市民公開講座の趣旨

1995年より開催している市民公開講座では、時流に沿ったテーマで外部講師をお招きし、医療・介護の情報提供をしてきました。
近年は「健康長寿」「フレイル予防」「認知症」などを扱い、高齢化率の高まる多摩ニュータウンの地域住民の方にとって、共に考える場の提供を目指してきました。

3年ぶりの開催

コロナ禍のため、2020年はフレイル予防をテーマにした録画製作、2021年は在宅医療をテーマにしたドラマ製作とYouTubeによる配信が続きました。
3年ぶりのリアル開催となった12月3日(土)の市民公開講座は、リニューアルしたパルテノン多摩を会場に、「人生最期の居場所を考える~多様化する看取りの場~」と題し、自宅や施設、病院など代表的な5つの選択肢をご紹介しました。

 
冒頭では、当財団理事長相談役の天本宏が 「人生100年時代への準備 ~老い方・逝き方~」と題し、講話をしました。多くの方が加齢によって徐々に虚弱になり、病とともに生きる時間が増えているということ、そしてその時間をどのように自分らしく生きるのか、最終段階の医療の受け方も含め、事前に情報収集を行い考え、自己決定することの重要性を力強いメッセージとして発信しました。

 

① 自宅(在宅医療)

次に、当財団内外の5名の登壇者による「人生最期の居場所」の紹介を行いました。

当財団多摩事業部在宅医療部長の明石のぞみは、長年在宅医療に携っている体験から、自宅での看取りについて実例を挙げて紹介。在宅医療はチームケアによる支援が充実していること、また、小規模多機能型居宅介護などの介護サービスを利用することで、在宅療養の安心感が広がることを説明しました。また、外部機関のアンケート結果から、最期の迎え方について親と子の間では意識にギャップがあり、親(本人)は子より、ひとりでもいいから自宅で最期を迎えられることを望んでいることを例示し、在宅での看取りにニーズがあることを示唆しました。明石は、早いうちから自分の希望を家族に伝えておくことの重要性も強調しました。

② サービス付き高齢者向け住宅

ゆいま~るを運営する(株)コミュニティネットの冨安征司様は、ゆいま~る中沢の例を挙げながら、施設ではない「住まい」としての自由度の高さと、見守りによる自宅以上の安心感のある「サービス付き高齢者向け住宅」を紹介。実際の間取りや金額なども具体的に表示しながら分かりやすくご説明くださいました。また同一建物内には介護付きのグループハウスもあり、医療機関との緊密な連携があれば、看取りが可能なこともご説明くださいました。

③ 介護老人保健施設

当財団あい介護老人保健施設の看護科長、藤田栄輔は、死という人生の終着点を実際の旅程に例えながら、目的地までどのようなルートを通るかは本人が決めることであると説明。自分らしい道のりを楽しむためのサービス選びのひとつとして、介護老人保健施設を紹介しました。介護老人保健施設は在宅復帰のリハビリ施設でもあり、看取りの場としての機能も持っています。あい介護老人保健施設は、全国平均からみても高い看取り件数の実績があることも話しました。

④ 特別養護老人ホーム

社会福祉法人蓬莱会の中東正光様は、自身が施設長を務められているケアプラザ多摩の歴史や理念について、そして介護保険制度に則ったサービス提供について丁寧にご説明くださいました。ケアプラザ多摩には特別養護老人ホームの他に介護型ケアハウスやショートステイもあり、それぞれのサービス対象者などを説明くださいました。また人生最期の迎え方に関する外部機関の全国調査のデータも例に挙げ、プロの介護を提供する介護施設としてその期待に応えるべく、職員教育や連携機関との連携に力を入れている旨をお話くださいました。

⑤ 病院

天本病院院長の及能克宏は、高齢者医療における病院の役割について説明しました。多摩市は、高度急性期から慢性期まで機能ごとの病院が揃っており、医療・介護が地域内で完結できる好環境であること、またその中で特に高齢者の在宅療養を支える天本病院について紹介しました。そして高齢期の医療を考える上で欠かせないACP(アドバンス・ケア・プランニング/人生会議)についても解説。人生の最終段階においては病気の治療や延命だけでなく、患者さんの希望する生活を支える医療が求められること、それをあいセーフティネット全体で推進していきたいと話しました。

今回は、冒頭に阿部裕行市長にもごあいさつをいただき、コロナ禍での当法人の業務に対する激励のお言葉を頂戴しました。閉会の辞では当財団理事長の河北博文が来場者への感謝の言葉で締めくくりました。

  

来場者アンケートでは、「死生観の変化、死に場所の選択について改めて確認できた」「長い高齢期をどのように過ごすか、考える契機となった」「自分のためにも家族のためにもなる講座であったため、話したいと思う」「様々な機関の看取りへの関わりがわかってよかった」など多くの感想をいただきました。今後も、地域の皆様のお役に立てるような情報発信を大切にしていきたいと思います。ご来場いただき、誠にありがとうございました。

【後援】多摩市、多摩市医師会、東京都八南歯科医師会、多摩市社会福祉協議会、多摩市老人クラブ連合会

【来場者】
・予約者186名、来場者実績140名

 


2022年12月12日 カテゴリー(財団): イベント・講座

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