
【報告】市民公開講座
「医療機関が伝えたい本当に必要な終活」
10/19(土)パルテノン多摩
1995年より開催している市民公開講座では、毎回、超高齢社会の重要テーマについて市民のみなさまと共に考えてまいりました。第24回となる今年は、「医療機関が伝えたい本当に必要な終活」と題し、人生を自分らしく全うするために、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の重要性とその判断材料になる医療や介護サービスについて、当財団の専門職からお話いたしました。
第1部 講演①
「急増する老々介護、独居、認知症 ~多摩市の現状と支援体制~」
講師:澁谷香代(多摩市中部地域包括支援センター センター長/看護師)
日々、地域の高齢者のリアルな問題に向き合い続けているのが地域包括支援センターです。澁谷氏は、多摩市の高齢者実態調査の分析をもとに、介護が必要になる原因には骨折や高齢による衰弱が上位ということ、そして在宅介護の疾病では認知症の割合が最も高いことなどを解説。フレイル予防や認知症に対する正しい知識を得ておくことが高齢期の備えとして重要であることを述べました。また、認知症が進行すると意思決定の支援が必要になることが多いため、事前に家族や身近な方と話し合い共有しておくのが有効です。独居の方の増加に伴い、成年後見制度などの公的支援体制についても言及し、地域包括支援センターなどの相談窓口等もパンフレットとともに紹介しました。
講演②
「自分にあった医療と介護サービスの見つけ方、気になる費用」
講師:岩﨑嘉信(天本病院 医療ソーシャルワーカー)
石橋奈々(ケアプランセンターあいクリニック中沢 介護支援専門員)
歳を重ねると、避けては通れないのが医療と介護の問題です。天本病院で入退院等の支援を行う医療ソーシャルワーカーの岩﨑からは、病院の機能の紹介や、気になる入院費の目安、活用したい助成制度などについて解説しました。ケアマネジャーの石橋からも、介護サービスの種類や利用方法などをご紹介し、おひとりおひとりの希望に沿った暮らしを支える伴走者としての想いを伝えました。病院のソーシャルワーカーもケアマネジャーも、専門的な知識を駆使し、困りごとや不安を一緒に解決するのが役割です。いざという時に活躍してくれる心強い存在として知っておきたい職種です。
講演③
「人生の岐路における医療の選択 ~高齢者病院と在宅医療の現場から~」
講師:及能克宏(天本病院 院長 医師)
栗林泰子(あいクリニック 医師)
医師は2名登壇し、高齢者病院と在宅医療の立場からそれぞれ話しました。天本病院の院長である及能医師は、人生の最終段階の医療について判断が迫られるタイミング等について説明。また人工呼吸器や栄養ルートの種類についても図解を用いて説明し、自分が受けたい医療について考える選択肢として提示しました。
あいクリニックで日々訪問診療に従事している栗林医師は、多くの方が人生の最期の居場所として自宅を希望しているというニーズを背景に、自宅で受けられる医療処置等について解説。在宅医療や緩和ケアにまつわる誤解についても言及し、患者さんが安心して自宅で過ごせる在宅医療の充実ぶりや魅力について、症例を挙げながらお話しました。
第2部 パネルディスカッション
第2部は「どんな時も自分らしくあるためのACP」と題し、当財団理事長相談役の天本宏も加えて会場のみなさまからの質問にお答えしました。
天本病院の開設者であり、40年以上に渡って高齢者医療に従事してきた天本宏は、自身も80歳を超え、自分事として終活を意識するようになったとのこと。日々老いと向き合うひとりの人間として、そして医療者としての専門的知見から、高齢期の心構えについてユーモアを交えて語りました。散歩などの日々の小さな実践から、社会と関わり続けることの大切さ、そして延命治療への自身の考えも明快に語りました。
開会の辞は当財団多摩事業部長の明石のぞみ、来賓のごあいさつは多摩市保健医療政策担当部長の本多剛史様より頂戴いたしました。ファシリテーターはあいクリニックの淵野純子、閉会の辞は理事長の河北博文が務めました。参加後のアンケートでは満足度も高く、多くの方にご感想をいただきました。
参加者アンケートより
「素晴らしかった。ACPについては初めて聞いたが、実践していきたい」
「ACPの考え方やその必要性についてよく理解できた。また終末期における選択肢や決定内容について知識を深めることができた」
「今後の生活に心配を感じていましたが、お話を聞いて安心しました」
「具体的な治療内容の説明が勉強になりました。認知症に関する情報が得られた」
「自分と向き合ういい機会になった。エンディングノート、在宅医療のことも詳しく分かって良かった」
「死について話すこと、考えることは避ける傾向がありますが、大切なことなので今後もこのような講座を開いていただだきますようお願い致します。本日は誠にありがとうございました」
「一人暮らしの私にとっては本当に参考になりました」他多数
この度は、定員の200名を上回る多くの方にお申し込みを頂き、市民のみなさんの関心の高さを感じました。ご支援・ご参加いただいた皆様に心より感謝申し上げます。今後も、みなさまが充実した高齢期を過ごしていけるよう、多摩地域の医療・介護の発展に尽力してまいります。どうもありがとうございました。
【後援】多摩市、一般社団法人多摩市医師会
【助成】公益財団法人 在宅医療助 勇美記念財団
当日お配りしたACP普及啓発小冊子「わたしの思い手帳」について下記より内容のご確認をいただけます。
ACP普及啓発小冊子「わたしの思い手帳」(東京都保健医療局へリンク)
2024年10月28日 カテゴリー(財団): イベント・講座。
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