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新人広報と学ぶ
耳管開放症・耳管狭窄症

広報課の新人が、創立93周年の歴史ある河北医療財団や、杉並区のプチ情報をご案内いたします。
 
こんにちは、新人広報 阿佐美です。
皆さんは、山登りや高層ビルのエレベーターに乗ったときに、突然耳が詰まったり音が聞こえにくくなるなど、違和感を感じたことはありませんか?あくびやつばを飲み込むと元に戻る、あの現象。私も最近紅葉を見に行くため、山登りをした時に経験しました。本日は、あの耳が詰まったような違和感が、病気につながる可能性があることをご紹介します。

 

耳の詰まりはどうして起こるの?

耳には、耳管という管があり、中耳腔(鼓膜の内側)と上咽頭(鼻の奥)をつなぎ約3.5cmあります。この耳管は通常閉じていますが、開閉し空気が通ることにより、外部の気圧と中耳の気圧を一定に保ってバランスを取る働きをしています。山登りや高層階のエレベーターに乗ると気圧の変化が起こるため、耳管が閉じたままになり、鼓膜の内側と外側で圧力の差が生じて耳が詰まり、痛くなることもあります。あくびや物を飲み込む時にはこの耳管が開くため、中耳が換気され外界と圧が平衡状態になり、元に戻ります。

 
私は、山の中を車で走るときや山登りをするときによく耳が詰まるのですが、そういう理由だったんですね。何度経験しても、あの気持ち悪さは慣れません…
 

耳管開放症・耳管狭窄症

上記でお話をした、開閉することで空気が通ることにより、外部の気圧と中耳の気圧を一定に保ってバランスを取る働きをしている耳管が何らかの原因で、ふさがったままの状態、あるいは耳が詰まったままの状態を耳管狭窄症といいます。耳管開放症は、反対に耳と鼻の奥をつなぐ耳管が開きすぎる(必要な時にうまく閉鎖できなくなる)病気です。上記の耳管狭窄症とは逆の現象が起こる病気ですが、症状は耳管狭窄症と似ています。自分の声がひびいて聴こえる、自分の呼吸の音が耳にひびく、耳がつまった感じがするといった症状が起こります。季節的には、暑い夏場にこの症状の患者さんが増える傾向にあります。耳管開放症そのものでひどい難聴が起こることはありませんが、自分の声がひびいて聴こえるため、声量の調節が難しい場合もあります。
 
耳管の開閉…状況的には反対なのに、似たような症状が出るなんて不思議ですね。私は、雨や台風の日など、気圧が極端に変わる日にもよくなります。
 

原因

耳管狭窄症の原因の多くは、風邪にともなう急性鼻炎、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、上咽頭炎(鼻とのどの間の炎症)など、鼻の炎症です。耳管狭窄症の患者さんの鼻の奥をみると、粘膜の赤みや、後鼻漏(鼻汁がのどに下りる症状)の症状が多くあります。鼻の奥に炎症があり、耳管の鼻側の開口部がふさがってしまうと、耳管狭窄症となってしまいます。

耳管開放症の症状の特徴として、発症前にダイエットなどの急激な体重の減少を経験されている方が多いです。耳管を囲む脂肪組織が燃焼し、それまであった適度な圧力が失われ、耳管が常に開放された状態になってしまうためです。もう一つの大きな原因がストレスです。自律神経の緊張が耳管周囲の血流循環を悪化させ発症します。また、同時に肩こり、頭痛、耳の痛みなどの症状を併発することもあります。
 
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎がある方は注意が必要ですね。花粉の季節でもそうですが、鼻や耳などに異常があると生活に支障が出てきますよね。それにダイエットなどの体重減少も原因になるとは、驚きました。
 

症状

時間帯、天気などの気圧、体調や心理的な状況によって症状の現れ方が異なります。耳管開放症・耳管狭窄症の症状は、横になる、頭を下にさげるなどの動作で、症状が軽くなる場合があります。
・自分の発した声がひびき大きく感じる
・二重に反響してきこえる
・自分の呼吸音がきこえる(「ごー、ごー」ときこえる)
・耳が塞がった感じ、めまい・ふらつき、難聴
 
なるほど。横になったり頭を下げたりしても、症状が緩和するんですね。ちなみに、もし症状が緩和しない場合には、耳鼻いんこう科を受診した方がいいそうです。当院でおこなえる治療について耳鼻いんこう科部長 清水医師にうかがいました。
 

河北総合病院 耳鼻いんこう科での治療方法

耳管狭窄症に対しては、原因となる疾患を治療することが重要です。耳管粘膜に炎症があり耳管粘膜がはれて耳管が狭くなっているときには、炎症を減らす薬を処方します。中耳や耳管に鼻水のような液が溜まっているときは、粘液溶解剤も併用します。

耳管開放症に対しては、原因となっている誘因を突き止め、その回避に努めます。生理食塩水点鼻、鼓膜チューブ留置、鼓膜の部分的な振動を抑制するためのテープによる鼓膜へのパッチ、漢方薬による治療を組み合わせておこないます。
 
薬やテープ、漢方など、いろいろな治療方法があるんですね。また、風邪や副鼻腔炎が長引くと、起こることが多いそうです。頻繁に耳が詰まる違和感のある方は、耳鼻いんこう科を受診しましょう!
 

耳鼻いんこう科

■診察内容:中耳手術:鼓室形成術、鼓膜形成術、顔面神経減荷術、内耳窓閉鎖術/鼻副鼻腔手術:内視鏡下鼻副鼻腔手術、鼻中隔矯正術、下鼻甲介切除術・粘膜下下鼻甲介骨切除術、眼窩壁骨折整復術/咽喉頭・頭頸部手術:アデノイド・扁桃腺手術、喉頭微細手術、気管切開、頭頸部良性腫瘍手術/早急な入院治療が必要な疾患:突発性難聴、外リンパろう、顔面神経麻痺、めまい、急性扁桃炎、扁桃周囲膿瘍、咽喉頭浮腫、急性喉頭蓋炎/めまい治療:メニエール病、良性発作性頭位めまい症、前庭神経炎/日帰り手術:鼓膜形成術、鼓膜ドレーン留置術、鼻茸切除、鼻骨骨折整復術、口腔内腫瘤切除、頸部リンパ節生検、鼻レーザー手術
■特色:地域からの紹介患者を断ることなく積極的に受け入れ実施/緊急の入院治療や手術の必要な疾患に柔軟に対応/小回りの利く城西地区の中核病院としての役割
■医師数:常勤5名、非常勤医師4名
■主要機器・設備:経外耳道内視鏡下耳科手術機器/OLYMPUSエンドアーム/ZEISS手術用顕微鏡/内視鏡下鼻副鼻腔手術機器/KARL STORZナビゲーションシステム/CO2レーザー/赤外線眼振画像TV装置

耳鼻いんこう科について詳しくはこちら

 

2021.11.4

 

阿佐美

プロフィール
広報課に2020年中途入社。前職はITベンチャーの企画など。医療業界は初めての28才。趣味は舞台鑑賞・食べること・ヨガ。
 


 
※本記事は、社会医療法人 河北医療財団 広報課の企画編集により制作し、医師など医療従事者の監修を経た上で掲載しています。
※本記事は診療科に関する情報の提供を目的としているものであり、診療・治療行為を目的としたものではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当財団は責任を負いかねます。
※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。また、記事の内容はすべての医療機関に共通するとは限りません。あらかじめご了承ください。
※「阿佐美」は、読者の皆さまにわかりやすくお伝えするためのフィクションです。実在しておりません。

 
 
 

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