新人広報と学ぶ
放射線科
~放射線って、なに?~
広報課の新人が、創立92周年の歴史ある河北医療財団や、杉並区のプチ情報をご案内いたします。
こんにちは!新人広報 阿佐美です。
みなさん「放射線科」をご存知ですか。そう問われてピンとくる方は多くないと思います。患者さんが医師と直接会うことは滅多にないけれど、あらゆる科の診断に大きな影響を与える科、それが放射線科なのです。
放射線科とは
河北総合病院の放射線科では、CT、MRI、超音波検査、核医学検査などを中心に画像診断をおこなっております。院内の各科からの依頼が中心ですが、地域の医療機関からの依頼もお受けしています。専門医が報告書を作成し、臨床サイドでの診療の方針の決定に役立っています。
河北総合病院の放射線科の2019年の検査数は、CT 22,369件、MRI 7,131件!一年365日として、一日あたり61件以上のCT検査をしている計算になる…え、すごい…
放射線とは
放射線というと「怖い」というイメージもあるかと思います。目に見えないものや分からないものに対しては不安になりますよね。そもそも「放射線」とはどういうものなのでしょうか。放射線は放射性物質から放出される粒子や電磁波のことです。「いろいろな物を通り抜ける」「いろいろな物の性質や状態を変える」といった特徴を持っています。放射線検査では、身体を通り抜ける性質を利用して画像を作成します。通常の放射線検査での被ばくは少なく、健康に影響を及ぼすことはほとんどありません。また、医療における放射線診断は検査を受ける利益とリスクを比較し、利益が大きいと判断された場合におこないます。
健診での胸のX線撮影より、飛行機で東京―ニューヨークを往復する方が被ばく量が大きいんですって。でも塵も積もれば山となる…だから、自分がどういう検査を受けてきたかなどは、しっかり把握していたほうが安心だね。
参考:環境庁 被ばく線量の比較(早見図)
放射線診断の流れ
河北総合病院では、次のような流れになります。
(1)主治医が、画像診断が必要との判断をし、放射線科に検査の依頼をします。
(2)放射線科医師が立ち会いのもと、CT、MRI、核医学検査などをおこないます。
(3)画像を放射線診断専門医、放射線科専門医が読影し、報告書を作成します。
(4)報告書などを元に、主治医が診療の方針を決定します。
検査そのものは、画像診断部の技師がおこないます。河北総合病院には女性技師も多いので、同性検査を希望する女性に応えることができますよ。ひとつの検査に、実に多くの専門職が関わっているんですね。
CTとMRI
画像診断というと、「CT」と「MRI」という言葉を耳にした、あるいは実際に検査をしたという方も多いと思います。この2つの検査は、ともに「丸い機械の中に入って、体を輪切りにして詳しく調べる」という似たようなイメージがありますが、その原理は全く異なります。
英語名 | CT(Computed Tomography) | MRI(Magnetic Resonance Imaging) |
---|---|---|
日本語名 | コンピューター断層撮影法 | 磁気共鳴画像 |
原理 | X線検査の立体版で、レントゲン照射した後にコンピュータで画像を作り出す | 磁力と電磁波の力を使って、体内にある水分に作用して断層を撮影する |
断層撮影 | 横断面 | 縦・横・斜めの断面 |
検査範囲 | 広くて正確 | 目的に合わせて狭い |
適している部位と画像 | 肺・気管支・心臓・大動脈などの胸部、肝臓や腎臓の腹部の検査。頭蓋骨骨折出血などの救急時の検査。骨は白・空気は黒く写る。 | 脳、肝臓や腎臓の腹部、骨盤領域など骨に囲まれた場所や関節、血管や神経などの細かい検査。肺野の検査には適さない。 |
時間 | 短い (2~30秒) | 長い (20~40分) |
長所 | ・音が静か ・ペースメーカーや手術で体内に金属が入っていても大丈夫 |
・被ばくしない ・見たいものにあわせた特殊な画像が得られる |
短所 | ・放射線を利用しているため被ばくする ・造影剤が必要な場合がある ・内蔵の診断をする際など、骨が一緒に写ってしまうため、見えない部分が出てくる |
・音がうるさい ・閉所恐怖症の人には不向き ・体内に金属が入っている場合は検査できない |
病状や撮影箇所、目的などによって医師が適切な選択をしてくれるから、自分でどちらかを選ぶ状況になることはないけれど、注意すべき点がわかっていれば、金属が入っていたり、妊娠の可能性がある時などに、医師に伝えなきゃって、自覚がもてますね。河北総合病院では、CTにも、超低線量のマルチスライスCTの導入もしています。
部長からのメッセージ
よりよい治療の第一歩は正しく病態を診断することからだと考えています。そのためできるだけ速やかに診断につながることを目標にしています。また検査による弊害は、最小限にすべきと考えています。使用しているCT装置は被爆の低減に優れており、MRI装置もバージョンアップにより検査時間が短縮しました。速やかに、楽に、安全に検査が受けられるという状態をめざしたいと思っています。
【放射線科】ページはこちら ■診療内容:CT検査、MRI検査、核医学を中心に画像診断をおこなっています。/IVRはおこなっておりません。 ■外来診療:常勤医師3名/非常勤医師7名 ■主要機器設備: 64列CT 1台/32列CT 1台/1.5TMRI 1台/0.4TMRI 1台 ■実績(2019年度):CT検査数22,369件/MRI検査数7,131件/RI検査数610件 |
阿佐美
プロフィール
広報課に2020年中途入社。前職はITベンチャーの企画など。医療業界は初めての28才。趣味は舞台鑑賞・食べること・ヨガ。
※本記事は、社会医療法人 河北医療財団 広報課の企画編集により制作し、医師など医療従事者の監修を経た上で掲載しています。
※本記事は診療科に関する情報の提供を目的としているものであり、診療・治療行為を目的としたものではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当財団は責任を負いかねます。
※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。また、記事の内容はすべての医療機関に共通するとは限りません。予めご了承ください。
※「阿佐美」は、読者の皆さまにわかりやすくお伝えするためのフィクションです。実在しておりません。