新人広報と学ぶ
群集事故を避けるためには
広報課の新人が、創立94年の歴史ある河北医療財団や、杉並区のプチ情報をご案内いたします。
こんにちは、新人広報 阿佐美です。
誰もが予想していなかった韓国の群集事故。楽しいイベントだったはずなのに、悲しい事故になってしまいました。様々な支援イベントや旅行がおこなわれている中、いつ起こるか予測が難しい不慮の事故。今回はそんな緊急の事態にも強い救急の医師に、自分の身を守るための心構えを聞いてみました。
目次
・群集事故に巻き込まれるとどうなるのか
・事故に巻き込まれないためには
・危険の判断方法
・被害にあいやすい人や行動
群集事故に巻き込まれるとどうなるのか
人が密着することで空間がなくなると、胸やおなかが強く圧迫され呼吸がしにくくなったり、また心臓から全身へ送り出された血液が心臓に戻りにくくなり、循環不全による外傷性窒息が起こります。呼吸と血液の循環不全になると、低酸素血症や低血圧(ショック)が発生し、命を失う可能性があります。立ったままでも胸と背中の両方から力が加わることで意識をなくしたり、血圧が下がることも十分考えられます。倒れる場所がないくらい狭い空間で意識を失った場合、立ったままの状態で長い時間圧迫を受け続けることになります。体重約60kgの方の場合、体重の3分の2くらいの力が30分~1時間かかると、呼吸や血液の循環不全がでてくるという研究もあります。密集した現場では救助が入りにくいので、すぐに救命処置をおこなうことも難しくなります。
イベントをおこなう際に、動線の確保が大切と聞いたことがあります。楽しい集まりのはずが、死人がでてしまうほどの事故に巻き込まれるのはとても悲しいことです。では、群集事故に巻き込まれないようにするには、どうしたらよいのでしょうか。
事故に巻き込まれないためには
事故の危険を回避するには、人が密集している狭い危険な場所には近づかないことです。ただ、気づかぬうちに危険な場所や状況に巻き込まれる場合もあります。広い道路と交わる小道では自分の行く先が把握しにくく、気づかぬうちに巻き込まれれば戻ることも難しいため、注意が必要です。群集事故に巻き込まれる人は、その直前まで、ただ「人が多く、混んでいるな」と感じるだけで、リスクには気づいていないことが多いようです。身動きが取れなくなってからでは遅く、混み方が普段と違う、あるいは人の流れが止まった感じを察知したら、できるだけ早くにその場から離れることが大切です。
確かに観光地などに行くと、いつの間にか混んでいるということがありますね。危険性がなさそうな状況でも何が起こるかは分かりませんので、私もできるだけこまめに、周囲の状況に気を配るようにします。
危険の判断方法
例えば、エレベーターの中をイメージして考えてみましょう。エレベーターは、一般的に1平方メートルあたり4~5人が定員で、それを超えるとブザーがなります。ブザーが鳴るような密度では、自分の足元が見えなくなります。このエレベーターだと定員ブザーが鳴りそうな密度が、ひとつの目安になります。もし通常の空間で同じくらいの密度になっていたら危険ですので、すぐにその場から退避することが肝要です。特に子どもと一緒にいる時や、荷物を持っている時は、早めにその場を離れてください。
確かに、満員電車でも足の踏み場がないため体勢を整えることが難しいときがあります。自分の足元が見えなくなるような密度…判断基準としては、わかりやすいですね。
被害にあいやすい人や行動
周囲より身長が低い場合、自分の顔の前に他の人の肩などが当たって呼吸がしにくくなります。また押し返す力が弱いと強く圧迫されてしまう可能性があります。同様の理由で、混雑している中でしゃがむという行動も、非常に危険といわれています。
韓国の事件でも、女性の方の被害が多かったという記事を読みました。歩き疲れてくると、ついついしゃがみたくなりますが、絶対にやめるようにします。内野医師の取材をとおして、私もいろいろと気づかされました。
皆さんも危険に対する知識を身につけて、事故を回避してもらえたらと思います。
監修:河北総合病院 救急集中治療科部長 内野 正人救急集中治療科■診察内容:傷病の種類、年齢によらず可能な限り救急患者をERで診療/必要に応じて各専門科にコンサルテーション実施/研修医が救急診療をする際は、必ず救急専門医、もしくは各科指導医が指導/トリアージナースにより、緊急度・重症度に応じた診察の順番を決定 |
阿佐美
プロフィール
広報課に2020年中途入社。前職はITベンチャーの企画など。医療業界は初めての28才。趣味は舞台鑑賞・食べること・ヨガ。
- 本記事は、社会医療法人 河北医療財団 広報課の企画編集により制作し、医師など医療従事者の監修を経た上で掲載しています。
- 本記事は診療科に関する情報の提供を目的としているものであり、診療・治療行為を目的としたものではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当財団は責任を負いかねます。
- 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。また、記事の内容はすべての医療機関に共通するとは限りません。あらかじめご了承ください。
- 「阿佐美」は、読者の皆さまにわかりやすくお伝えするためのフィクションです。実在しておりません。