
【医師コラム】
片頭痛って
どんな病気?
みなさん、こんにちは。天本病院 院長の及能です。
神経内科の外来で患者様を診ておりますと、頭痛を訴えて来院される方がかなりいらっしゃいます。
その中で時々思うことは、患者様の多くが、慢性的頭痛をもっていると「私は片頭痛持ちなのです」と言われることです。
しかし、実際に診察してみると片頭痛の患者様は1割くらいで、多くは肩こりからくる緊張性頭痛であったり、他の原因であったりします。
そこで今回は我々医師の言う片頭痛とはどんな病気なのかお話したいと思います。
片頭痛は、発作的に起こる拍動性の頭痛で、4時間から3日くらい持続します。
拍動性、つまり「ズキンズキン」と心臓の脈にあわせて痛みます。
そして発作が収まった後は痛みが消失することがほとんどです。
また前兆のあるものが多く、典型的なものでは閃輝暗点(せんきあんてん)といって視野に異常をきたします。
視野に光るものが見えたり、ジグザグな城壁のようなものが見えたりします。
そのような前兆が5分から15分くらいで消失し、その後に激しい拍動性頭痛が来るものが典型的な片頭痛の症状です。
前兆のない片頭痛もありますし、他の症状の前兆もあります。
原因はいまだにはっきりとはしていませんが、何らかの誘因が脳内のセロトニンを放出させ血管の収縮・拡張をきたし、サブスタンスPなどの化学物質が痛みをもたらすものと考えられています。
誘因としては、ストレス、アレルギー、食物(グルテンなど)、喫煙、性周期など様々なものが関係します。
現在では非ステロイド系抗炎症薬(痛み止め)のほかトリプタン製剤がよく効くことが知られています。
外来で頭痛を訴えてこられる方の中で一番多いのは肩こりからくる緊張性頭痛ですが、頭痛の原因には脳血管障害・脳腫瘍・髄膜炎などもあり、片頭痛と緊張性頭痛の両方をもった混合型頭痛というものもあります。
頭痛をお持ちでなかなか良くならない場合は、頭痛の原因について一度神経内科や脳神経外科でご相談ください。
執筆者プロフィール
天本病院 院長 及能 克宏(きゅうの・かつひろ)
医学博士
【専門】神経内科
■日本内科学会認定内科医
■日本神経学会認定神経内科専門医
北里大学病院や救世軍ブース記念病院院長などを経て、2020年4月より天本病院勤務。パーキンソン病や多系統萎縮症などの変性疾患が専門。
(あっぱれ2023年春号掲載)
2023年4月14日 カテゴリー(天本病院): 医療コラム。