世界の医療制度は
天本病院 医師の藤縄です。
世界の医療制度は、おおきく3つに分けられます。アメリカ型・ヨーロッパ型・日本型です。アメリカ型もヨーロッパ型も医療を受ける際には自由に診療科を選ぶことができなく、救急外来かプライマリケア医(総合診療医)を受診しなければならず、その紹介がない限り原則として病院での受診ができません。
また、アメリカ型は保険に入っていても2~3日の入院で数百万円・1回の外来検査で数十万かかることが普通です。ヨーロッパ型は、原則無料ですが、病気になっても診察予約は2~3週間の待機・専門医に診てもらうのは月単位の待機が必要となります。そのため、緊急時は有料の私立病院を利用することになり、その際はアメリカ型同様の金額になります。
日本の場合は、好きな病院に好きな時に受診でき、かつ保険で医療費が抑えられています。今後は財源の問題などで制度が変わることもありえると思いますが、日本の医療制度は世界一であると高く評価されています。世界保健機構(WHO)の発表によると、日本の健康寿命と健康達成度の項目は世界で1位であり、一人当たり診療技術料などは経済協力開発機構(OECD)31カ国中17位で、日本は医療費でも高くないことが伺えます。
それでも現実的には医療費が生活を圧迫することがあります。その際には、「高額療養費制度」や「限度額適用認定証」があります。これにより支払う医療費を抑えることが可能となる場合があります。また、ジェネリック医薬品を使うことも医療費削減につながります。もちろん、病気になる前の健康診断の利用も大事なことです。
どこの国でも医療費には税収があてられています。日本の医療制度を維持するためにも個々人で医療費を抑えることが大切です。
もし、医療費などにかかわらず問題が生じたら、まずは、各医療機関の相談室や自治体の窓口などに相談してみてください。何かしらの解決方法が見つかるかと思われます。
執筆者プロフィール
天本病院 医師 藤縄 宜也(ふじなわ・よしなり)
日本救急医学会 専門医
日本病院総合診療医学会 認定医
ICD制度協議会認定ICD (インフェクションコントロールドクター)
2019年7月18日 カテゴリー(天本病院): 医療コラム。