38度の発熱!疲労からくる熱の症状とは?薬を使った対処方法も解説します

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「疲労が原因で発熱することはあるの?」

そのように悩んでいるのではないでしょうか?

確かに発熱があると風邪などの感染症を思い浮かべることが多いので、疲労で発熱するとは考えにくいですよね。

この記事では上記の悩みを抱えている方に向けて、疲労からくる発熱の症状について解説していきます。

発熱の原因の見分け方や対処方法についても紹介しますので、症状を改善したいと考えている方はぜひ参考にしてみてくださいね。

この記事のまとめ

・疲労を原因として発熱する状態を「心因性発熱」と呼ぶ
・心因性発熱には成人に多い「微熱タイプ」と子どもに多い「高熱タイプ」がある
・解熱鎮痛剤は効果がないことが多いが、ビタミン剤や漢方薬が効果的である
・対処法としてはしっかりと休息を取り、生活リズムを整えることが有効
・発熱には他にも様々な原因があるため、自己判断は禁物である

目次

疲労からくる発熱の症状

パソコンの前で顔を伏せる女性

疲労を原因として発熱する状態を「心因性発熱」といいます。

発熱は「炎症性」と「ストレス性」の2種類に分類ができます。

心因性発熱はこのストレス性の発熱のことで、機能性高体温症とも呼びます。

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分類原因メカニズム解熱鎮痛剤の効果
炎症性ウイルス・細菌の感染マクロファージが放出するサインカインという物質によって起きる炎症反応ある
ストレス性ストレス・疲れ交感神経が刺激され、褐色脂肪細胞が熱産生を行うない場合もある

発熱すると何らかのウイルスや細菌に感染していると勘違いしてしまうことが多いですが、感染症になっていなくても疲労によって熱が出るケースもあるということです。

疲労はストレスと疲労感の蓄積によって増大し、そうした過剰なストレスは交感神経を刺激するため結果的に体温を上昇させる作用があります。

ストレス性の発熱の場合は、血液検査での炎症反応に上昇はみられず、一般的な解熱剤で熱が下がらないケースもあります。

発熱の他に咳や鼻水などの感冒症状がなく、病院で処方された薬を内服していても改善しない場合には、心因性発熱の可能性があります。

また、心因性発熱の発熱には2つのタイプがあります。

・37~38度前後の熱が続く微熱タイプ
・39度以上まで急に上昇する高熱タイプ

ここからはそれぞれのタイプの原因や症状について解説していきます。

38度が続く微熱タイプ

体温計

慢性的なストレスを抱えている場合に原因不明の37~38度前後の微熱が持続するタイプで、「慢性心因性発熱」ともいいます

慢性心因性発熱は、日常的にストレスを抱えやすい成人に起きやすい症状です。

慢性心因性発熱の原因
・仕事や家庭での疲れ
・人間関係の悩み
・介護疲れ
・複数のストレスが同時に発生したとき

検査をしても原因のわからない微熱が数か月持続し、ストレスの原因がなくなっても微熱はなかなか下がらないことが特徴です。

そのため徐々に体力を消耗し、疲労感や倦怠感などの症状を覚えることもあります。

さらに、頭痛や腹痛などの他のストレス症状を併発する可能性もあるでしょう。

39度の急に上がる高熱タイプ

体温計

極度の緊張状態にある場合に39度~稀に40度以上まで熱が急上昇するタイプで、「急性心因性発熱」といいます

テストや発表会・手術などを控えて、強い精神的ストレスを感じたときに高熱を出すというケースが多いです。

急性心因性発熱の原因
・極度に緊張をする
・人と会う
・仕事に行く
・授業に出る
・喧嘩をする

急性心因性発熱は、体内で熱を作りやすい子どもに起きやすい症状です。

高熱は一時的であることがほとんどで、通常は治療しなくても原因がなくなる(テストが終わる、授業が終わるなど)と24時間以内に解熱します。

疲れていると感じる体のサイン

疲労とは、「発熱」「痛み」に並び生体アラームの一つとされており、慢性的な疲労は身体や精神に様々な影響を及ぼします。

これらは身体が休息を求めているサインと言われています。

原因不明の疲労感が6カ月以上の長期間にわたり続く状態を「慢性疲労症候群」といい、現在の日本では30~40万人の患者がいることが確認されています。

日常生活に支障をきたすほどの疲労感をはじめ、微熱や頭痛・のどの痛み・関節痛など風邪やインフルエンザに似た症状が現れることが特徴です。

慢性疲労症候群の主な症状
・日常生活に支障をきたすくらいの疲労感
・微熱
・頭痛
・のどの痛み
・不眠や過眠
・気分障害(気分が落ち込む状態)
・関節痛
・筋肉痛 

また、日常生活において疲労感や倦怠感を覚える要因には、身体的な疲れやストレス以外にも様々なものがあります。

・過重労働
・激しい運動
・不規則な生活や睡眠不足
・栄養素(ビタミン・ミネラルなど)やエネルギー量の不足
・精神的ストレスによる脳の疲労
・加齢による代謝の低下
・筋肉と神経の異常
・心臓や肺の疾患や貧血による慢性的な酸素欠乏
・化学物質などによる環境
・感染症による消耗 など

休息を取っても疲労感や倦怠感がなかなか回復しない場合には、身体的・精神的疲労以外にも何らかの重大な疾患が隠れている恐れがありますので気を付けましょう。

ここからは疲れているときに感じる体のサインの中から「発熱」と「痛み」について解説していきます。

発熱がある

心因性発熱や慢性疲労症候群では、平熱より0.5~1.5度ほど高い熱が長期間にわたって続きます

一般的な風邪であれば7~10日程度で治癒することが多いですが、なかなか解熱しないというときは他に発熱の原因があることを疑ってよいでしょう。

ストレスや疲れによる微熱は、採血を行って検査したときに炎症反応に異常がみられず、解熱剤を内服しても熱が下がらないケースもあることが特徴です。

痛みがある

慢性疲労症候群では、のどの痛みや頭痛、そして筋肉痛が現れることがあります。

微熱とともにのどの痛みや頭痛が併発すると、風邪と勘違いすることがあるので注意しましょう。

また、全身または一部の部位に、激しい運動をした後のような強い筋肉痛や関節痛が起こることもあります。

身体を動かすことが困難になるほど強い痛みとなる場合もあるとされています。

子どもと大人での発熱の違いと原因

疲れやストレスによる発熱の原因はたくさんあります。

ここからは、子どもと大人それぞれの発熱の原因について解説していきます。

子どもの発熱と原因

高熱を出した子ども

近年の環境や社会情勢の変化に伴い、子どもが起こす心因性発熱の原因は複雑化しています。

過去には、親や教師からの過剰な期待に応えようとひたすらに頑張る、いわゆる「いいこ」が心因性発熱をしばしば発症していました。

現在は心因性発熱の原因はそれだけではなく、多様化しています。

子どもが心因性発熱を起こす原因
・学校生活に適応できないこと(発達障害を含む)
・両親の不仲、喧嘩
・家庭における虐待
・学校でのいじめ など

上記のような状況におかれた子どもたちは常に慢性的なストレスを抱えています

そんなストレス反応の一つとして、心因性発熱を引き起こすことがあります。

大人の発熱と原因

体温計を持って頭を抱える男性

大人の心因性発熱は、会社や家庭での慢性的なストレスが原因で起こります

大人が心因性発熱を起こす原因
・仕事や家庭での疲れ
・人間関係の悩み
・長期間にわたる介護疲れ
・長時間にわたる激務による疲れ
・複数のストレスが同時に発生したとき

中高年以上の方では職場の人間関係の悩みと長い介護生活など、職場と家庭の両方で身体的・精神的なストレスを抱えていることも多いです。

また、うつ病や不眠症を併発している場合もあるでしょう。

疲労で発熱したときに使用できる薬

疲労による発熱には、薬を使用して対処することが可能です。

その場合、熱を下げる効果のある薬や疲労改善に効果のある薬(ビタミン・漢方)から自分に合ったものを選びましょう。

  • 熱を下げる効果のある薬

一般的に「解熱鎮痛薬」と言われる薬で、熱を下げる効果があります。

薬剤の種類には、脳の体温調節中枢に直接作用するもの・炎症を起こす物質(プロスタグランジン)の生産を抑制するものの2種類があります。

作用薬剤名
脳の体温調節中枢に作用カロナール(アセトアミノフェン)
プロスタグランジンの生産を抑制ロキソニン(ロキソプロフェン)
アスピリン(アセチルサリチル酸)
イブプロフェン

解熱鎮痛剤は根本的な原因を改善する効果はありませんが、長期間続く発熱で体力を消耗してしまうときに一時的に症状を抑える薬(対症療法)として使用することができます。

ただし、ウイルスや細菌が原因の発熱とはメカニズムが異なるため、解熱鎮痛剤を内服しても熱が下がらない場合もあるということも知っておきましょう。

  • 疲労改善に効果のある薬

疲れによる発熱を改善するためには休息を取ることが最も重要ですが、ビタミンや生薬を使った漢方を内服することによって疲労改善を助けることができます。

ビタミンは日常生活を送る上で非常に重要な栄養素の一つで、炭水化物やたんぱく質・脂質をエネルギー源に代謝させる過程で欠かせません。

そのためビタミンが不足すると疲労感が増大したり体調不良につながるリスクが高まります。

中でもビタミンB群はエネルギー代謝を向上し、疲労感を解消する効果があるの積極的に摂取することが有効です。

また、生薬を使用した漢方にも疲労を回復する効果が期待できます。

具体的には「補益剤」である補中益気湯・加味逍遙散・十全大補湯などがおすすめです。

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薬剤種類
ビタミンBビタミンB1・B2・B6・B12・ナイアシン・葉酸・パントテン酸・ビオチンの合計8種類
漢方補中益気湯(ホチュウエッキトウ)
加味逍遙散(カミショウヨウサン)
十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)

上記の薬は薬局などの市販で簡単に手に入るので、しっかりと説明書を読んだ上で自分の体質や症状にあったものを取り入れてみましょう。

疲労で発熱したときの対処方法

発熱は痛み・疲労と並び三大生体アラームの一つとされており、身体の異常を知らせてくれる大切な警告信号です。

長期的な疲労を放置すると、重度の精神的症状や慢性的な心血管疾患を引き起こすリスクが高まります。

疲労による発熱をなるべく早く改善させるためには、正しい方法で対処することが必要です。

ここからは、疲労による発熱の予防・改善に効果的な「日常生活の過ごし方」について詳しく解説していきます。

寝て体を休ませる

枕を抱える女性

生体アラームである「発熱」「疲労」が現れたら、“休息を取るように”という身体からの合図です。

無理せずにしっかり睡眠をとり、ゆっくりと休むことでストレスの原因から離れる時間をつくりましょう。

心穏やかな気持ちで心身ともに十分な休息を取れるように、リラックスのできる環境を整えることをおすすめします。

心と体を休めるリラックス方法
・あたたかい飲み物を飲む
・ヨガやストレッチをして体をほぐす
・38~40度のぬるめのお湯でゆっくりと入浴する
・良質な睡眠時間を十分に確保する
・部屋を少し暗くする・間接照明を使う
・ゆったりとした締付けの少ない衣服を選ぶ
・心地の良い音楽を聴く
・アロマなどの香りを楽しむ
・ツボを刺激する
・樹木の多い森や山の中を散策する

身体を横にして目を閉じていると交感神経や筋肉の緊張が緩み、より効果的に休むことができます。

また、学校や職場、家庭に疲れやストレスの原因がある場合には、本人と周囲の人々で話し合いの時間を設け、協力しあって可能な限り原因を取り除いた環境を整えましょう。

仕事や介護、部活などで忙しい方も、一時的でもしっかりと休息を取れる時間を確保することが大切です。

生活リズムを整える

カーテンを開けて朝日を浴びる女性

生活リズムを整えて、毎日規則正しい生活を心掛けましょう。

不規則な生活・運動不足・ストレス・偏った食生活・アルコールの多飲や喫煙は、慢性的な疲労感や倦怠感の原因となります。

そのような場合は、生活習慣を見直すことで疲労感の解消につながります。

見直したい生活習慣
・早寝早起き・良質な睡眠の確保
・朝昼晩同じ時間に食事を摂る
・栄養バランスに気を付けた食生活
・散歩や日光浴をする
・節酒
・禁煙
・サプリメントやビタミン剤の服用

上記のように、運動・睡眠・食事の生活習慣をバランスよく整えていくことが大切です。

デジタルデトックスをする

パソコン、タブレット、スマートフォン

休息する時間にはスマートフォンやタブレットなどのデジタル機器を使用しないよう意識しましょう。

スマーフォンやパソコン、タブレットなどの画面から出ているブルーライトは目の筋肉を疲労させたり(眼精疲労)、睡眠の質を低下させるなどの悪影響を及ぼします。

気分転換になっていると思っていても脳への刺激が大きく、かえって疲れてしまうことになりかねません。

他にも、首や肩のコリやイライラなど心身への影響、食欲減退や倦怠感を引き起こす場合もあります。

こうしたデジタル機器の使い過ぎによる弊害を予防するため、デジタル機器から一時的に離れて心と体をリフレッシュさせる「デジタルデトックス」に挑戦してみましょう。

デジタル機器と距離を置く工夫
・1日の中で5分以上ボーっとする時間をつくる
・お風呂や寝室にスマホを持ち込まない
・食事中はスマホを片付けておく
・紙の本や漫画を読む
・スクリーンタイム機能を活用し、スマートフォンの利用時間を制限する
・連絡アプリやメールなどの通知をオフにする
・デジタル機器に一切触れない時間をつくる
・スマホを家族や友人に預ける

デジタルデトックスを行うことでバランスの取れた規則正しい生活を送ることができるようになり、睡眠の質が向上し、目の疲れや肩こりなど体の不調が改善します。

その結果、疲労やストレスを改善することにつながり、疲労による発熱にも好影響をもたらすでしょう。

疲労からくる発熱と他の病気からくる発熱の見分けかた

発熱は原因によってメカニズムが異なるため、症状などに様々な違いがあります。

ここからは、疲労以外の原因で引き起こされる発熱について解説していきます。

疲労による発熱との見分け方も紹介するので参考にしてみてください。

風邪やウイルス感染

ウイルス

風邪やインフルエンザなどは、細菌やウイルスが体内に侵入することで発熱している状態です。

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疲労による発熱風邪やウイルス感染
症状・37~38度の微熱か、39度以上の高熱の2つのタイプがある
・倦怠感 頭痛、腹痛、睡眠障害などのストレス症状が併発する場合がある
・鼻水や咳、下痢、嘔吐、寒気など様々な感冒症状が現れる
解熱剤ほとんどの場合で無効有効
炎症の有無炎症を伴わないため、血液検査や画像検査で異常は見つからない炎症を伴い、サイトカインやプロスタグランジンが産生される

発熱があった場合はかかりつけ医を受診し、しっかりと検査を行うことで原因を見分けることができます。

発熱には細菌やウイルスの感染以外にも様々な重大な疾患が潜んでいる可能性もあるため、まずは血液検査や画像検査などによって他の原因の有無をチェックしましょう。

こもり熱

倒れた子どもを心配する両親

こもり熱とは、気温が高かったり激しい運動で体温が急上昇するなど、熱を放散する機能が低下している状態です。

体温の調節機能の未熟な子どもや高齢者が発症しやすく、「うつ熱」とも呼びます。

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労による発熱こもり熱風邪やウイルス感染
・感冒症状はない
・37~38度の微熱か、39度以上の高熱の2つのタイプがある
・手指に発汗する
・解熱剤で症状が改善しない場合がある
・気温が高い環境で起こる ・汗の量が減る
・体温は37~38度程度に上昇
・手足が熱い
・解熱剤で症状は改善しない
・悪化すると熱中症を発症する
・感冒症状がある
・手足が冷たい
・解熱剤で一時的に症状が改善する

こもり熱は、体温が上がる前に頭痛やめまい・大量の発汗・筋肉のけいれん(こむらがえり)などが現れる場合もあるという違いもあります。

症状が悪化すると熱中症を発症する危険があります。

・38度以上の発熱
・水分摂取できない
・激しい頭痛
・意識消失
・けいれん
・昏睡状態

上記のような症状が現れた場合には、早急に救急車を呼ぶか医療機関を受診しましょう。

疲労からくる38度の発熱についてよくある質問

ここからは、疲労からくる発熱でよくある疑問についてお答えしていきます。

疲労からくる発熱で気になることがあるという方は、ぜひ参考にしてみてください。

疲労で発熱しているのかどうかチェックする方法は?

心因性発熱の場合は、ウイルスや細菌の感染による発熱とは異なった特徴があります。

下記のチェック項目に当てはまる場合は、疲労やストレスが原因で発熱している可能性が高いです。

・血液検査や画像検査(CTなど)・ホルモン検査を行っても異状がなく、他の病気の所見も無い
一般的な解熱薬を使用しても効果がみられない場合がある
・高熱でも割と元気で、鼻水や咳・痰などの感冒症状がない
・抑うつ的な状態である
・体温が上昇するとき、寒気を感じない
・不眠がある
・発熱しているのに、食欲がある
・手指に発汗している

ただし、上記のチェック項目に当てはまれば必ずしも心因性発熱を診断できるわけではありません。

心因性発熱であると自己診断はせず、医師による診察や検査を行い、他に発熱の原因となる治療すべき疾患がないかどうか確認をすることが大切です。

そして、発熱の原因を特定できなかった場合にはじめて心因性発熱を疑う場合があります。

「何かストレスを抱えていることはないか」ということを医師とともに病気の背景について考えていくことになります。

ストレスからくる発熱は何科を受診するべき?

発熱がある場合はまずかかりつけ医や内科(子どもの場合は小児科)を受診しましょう。

何らかの重大な疾患が潜んでいる可能性がありますので、自己診断はせず血液検査や画像検査などの適切な検査を受けることが重要です。

検査の結果により器質的な疾患がないことが分かり、心因性発熱が疑われるときは検査を受けた病院に心療内科への紹介状を書いてもらいましょう。

心因性発熱は、心理社会的ストレスによって微熱や高熱が引き起こされる「心身症」の一つです。

心身症を専門として診療を行う、心療内科を受診することがおすすめです。

ただし、うつ状態など、身体の症状よりも精神的な症状が目立っているときは、精神科の選択も考える必要があります。

近所に精神科と心療内科の両方の要素を兼ね添えた「メンタルクリニック」があれば選択の候補に入れることも検討しましょう。

発熱の他に関節痛もある場合は別の病気の可能性がある?

発熱に関節が併発している場合には「慢性疲労症候群」をはじめ、様々な原因が考えられます

感染時に発生するプロスタグランジンという物質には体温を上昇させ、ウイルスや細菌が増えないよう働きかける作用があります。

さらには、身体にあえて炎症を引き起こし、ウイルスの増殖を防ぐ作用もあります。

炎症が悪化すると、関節痛や筋肉痛などの痛みが現れることがあります。

発熱と関節痛が併発する疾患
・慢性疲労症候群
・風邪
・インフルエンザ
・新型コロナウイルス
・関節リウマチ
・全身性エリテマトーデス(SLE)
・偽痛風
・化膿性関節炎 など

上記のような疾患が疑われる場合には、早期に検査や治療を行う必要があります

まずはかかりつけの医療機関を受診し、医師の診察と適切な検査を受けて原因の究明に努めましょう。

子どもに熱けいれんがある場合はどうすればいい?

熱性けいれんとは、生後5カ月~5歳までの乳幼児に起こりうる発熱時(一般的に38度以上)のけいれん発作です。

主に体温が上昇しているときに突然意識を消失し、白目をむいてけいれん発作を起こします。

基本的けいれん発作は2~3分程度で治まって意識を取り戻すことが多いですが、5分以上続く「熱性けいれん重積状態」に陥ることもあります。

熱性けいれんの症状
・急に手が硬直する(強直性けいれん)
・手足がピクピクする(間代性けいれん)
・最初は硬くなり、徐々にピクピクする(強直・間代性けいれん)
・うまく呼吸ができず、顔色が悪くなる(チアノーゼ)
・目の焦点が合わない
・黒目が左右に寄る
・嘔吐
・失禁 など

子どもが突然けいれん発作になると保護者の方はパニックを起こしがちですが、通常は5分以内に自然に治まることが多いため慌てずに落ち着いて対処をしましょう。

熱性けいれんの対処方法
・嘔吐の恐れがあり、誤嚥予防のために体と顔を横にむかせる。
・呼吸しにくくなる恐れがあるため、口に布などを噛ませるのは禁物である。
・けいれん発作の左右差や開始時刻・持続時間を記録する。
・手足の動き、眼球の状態などを観察する。
・けいれん発作が治まった後に体温を測定する。

初回の熱性けいれん発作の場合は、念のため医療機関や救急外来を受診し、髄膜炎や急性脳症などの可能性がないか診察してもらいましょう

熱性けいれんを経験した子どものう、約30%は熱性けいれんが再発していますが、何度繰り返しても脳に悪影響を及ぼすことはほとんどありません。

再発の場合には自宅で様子を見るだけでよい場合もありますが、症状が左右非対称の場合や5分以上けいれん発作が続く場合には救急車で病院へ搬送する必要があります。

効果が期待できる漢方薬はある?

方薬を用いて気の巡りを良くし、乱れた気血水のバランスを整えることで、ストレスを原因とする全身の不調の回復に役立ちます

東洋医学では、身体は「気」「血」「水」の3つの要素で構成されていると考えられています。

・気:エネルギー・活力
・血:身体の中を流れる血(栄養成分)
・水:体に中に流れる血液以外の水分

東洋医学の考えでは上記の3つのバランスが崩れると体の不調が起き、ストレスは気の巡りを悪くなる「気滞(きたい)」の状態になると言われています。

漢方薬を使用することで、気滞を改善し症状を緩和することが可能です。

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種類作用効果のある状態
漢方薬効果適応する状態
桂枝加竜骨牡蛎湯気・血を補い、不安定な精神を落ち着かせる不眠症・神経質・夜尿症・眼精疲労・子供の夜泣き
柴胡加竜骨牡蛎湯気を循環させ、精神を安定させる不安・不眠・動悸・神経症・更年期神経症・子どもの夜泣き・便秘・高血圧
抑肝散加陳皮半夏気・血を循環させ、ストレス耐性を向上させる神経症・小児疳症・神経過敏・子どもの夜泣き・不眠症・更年期障害
加味帰脾湯血を補い、気の巡りを助ける不眠症・精神不安・神経症・胃腸虚弱・貧血
酸棗仁湯不足した心血を補う精神不安・不眠症・神経症
補中益気湯気の巡りを助ける胃腸虚弱・食欲不振・脱力感・多汗症・頭痛・めまい・虚弱体質など
十全大補湯気・血の不調を改善する自律神経の不調・胃腸虚弱・めまい・貧血・うつ状態・更年期障害など

漢方薬は本来持っている回復力を補助してくれるもので、長期間服用しても体への負担が少ないことが特徴です。

しかし、漢方薬は効果が出るまでに時間を要するものが多く、即効性のあるものではありません

また、効果の程度には個人差が大きいというデメリットもあります。

疲れやストレスによる発熱がつらく、すぐにでも改善したいという場合には、医療機関を受診し医師に相談してみましょう。

疲労からくる38度の発熱のまとめ

疲労やストレスを原因として発熱する状態を「心因性発熱」と言い、成人に多い「慢性心因性発熱」と子どもに多い「急性心因性発熱」の2種類に分類されます。

発熱という症状には他に重大な疾患が潜んでいる危険があるため、まずは医療機関を受診し適切な検査を受けましょう。

そして心因性発熱を診断された場合には、医師と相談しながら原因を究明し、生活指導・薬物療法・自律訓練法・心療療法などの中から患者自身に合う治療を行っていく必要があります。

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