「発熱と関節痛があるけれどこれはコロナによるもの?」
そのように悩んでいるのではないでしょうか。
確かに発熱と関節痛が症状として出るとコロナによるものか気になるかもしれません。
当記事では上記の悩みを抱えている方に向けて発熱と関節痛によって起こりうる病気について解説します。
発熱と関節痛の対処法についても解説しているので、発熱と関節痛に悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
- 発熱と関節痛の症状がある場合には、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、風邪の可能性がある
- 発熱と関節痛を和らげるためには安静にして水分や栄養を摂取する
- 解熱鎮痛剤は身体が辛いと感じたら使っても良いがむやみに使うと免疫を下げてしまう可能性がある
- 発熱と関節痛にならないようにするために手洗いなどの衛生管理をしつつ免疫力を高めていくことが必要
発熱と関節痛の症状で考えられる病気
発熱や関節痛があると大きな病気によるものなのか不安になる方もいるかもしれません。
発熱と関節痛の症状がでる病気はいろいろあり、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの膠原病でも関節痛と発熱が出ることはあります。
今回本記事では、発熱と関節痛が出た時に一般的にまず考えられる代表的な病気を3つご紹介します。
ただし、38度を超える発熱や、日常生活に支障をきたすほどの関節痛が1週間程度続いた場合には、なるべくは早く医療機関を受診して医師へ相談してみてください。
新型コロナウイルス感染症
2020年1月に日本で初めての感染者が確認されて以降、少しずつ変異しながら流行し続ける新型コロナウイルス感染症。
現在流行している株の新型コロナウイルス感染症の症状は呼吸器症状が中心といわれています。
しかし、発熱は約2人に1人の割合で見られているため、発熱がある場合には新型コロナウイルス感染症に罹患している可能性があります。
また、発熱時には関節痛やだるさも併発した方が多いです。
関節痛を経験した方は次のような症状を経験しています。
- 体が痛くて眠れない
- 刺すような痛み
- 筋肉痛のような痛み
- 関節の節々が痛む
参考 広島県 コロナ感染事例
これらの症状が出た後に発熱をするケースが多いため、関節痛と発熱はセットで考えておいても良いでしょう。
ただし、オミクロン株に感染した場合には、発熱や倦怠感が見られるケースは少ないといわれています。
そのため、新型コロナウイルス感染症にかかったからと言って必ず発熱や関節痛が出るわけではないということも覚えておきましょう。
インフルエンザ
2023年においては従来のピークよりも早い段階から感染が拡大しているインフルエンザも発熱と関節痛の症状が見られます。
インフルエンザウイルスの感染を受けてから1~3日間ほどの潜伏期間を経て発熱、関節痛にくわえ、頭痛、全身倦怠感などが見られます。
インフルエンザによる発熱は38度以上のケースが多く、関節痛も強く出ることが多いようです。
風邪
風邪は上気道の急性炎症の総称であり、さまざまなウイルスが原因となります。
そのため、風邪の原因となっているウイルスによって症状も異なることが特徴です。
風邪は、ウイルス検査をしないためどのウイルスにかかると発熱や倦怠感が見られるのかはわかりません。
免疫力が弱っているときや、暴露されたウイルスが多かったときなどには、風邪により発熱や関節痛が見られるでしょう。
ただし、風邪による発熱は38度以上の高熱が出ることが少ないという点が特徴であるため、関節痛もここまで紹介してきた新型コロナウイルス感染症やインフルエンザと比較すると軽度で済むことが多いです。
発熱と関節痛が一緒に起こる仕組み
発熱と関節痛は一緒に起こりますが、なぜ一緒に起こるのかその理由を解説します。
そもそも体内にウイルスや細菌などが侵入すると免疫細胞がプロスタグランジンという発熱物質を放出して体温を上昇させるようにと脳に指令を出します。
体温が上昇すると、マクロファージや好中球といった体を守ってくれる免疫細胞が活動しやすくなるためです。
さらに、体温が上昇するとウイルスや細菌の増殖力が弱まります。
つまり、体温を上げることはウイルスや細菌から体を守るための防御反応であるといえるのです。
それでは体温を上げるためにはどうするのかというところです。
免疫細胞から脳に送られた体温上昇の指令は、脳から体全体に送られます。
そうすると、皮膚の血管が収縮し熱が身体から逃げ出さないようにします。
さらに、体内にある熱を生み出す力が強い褐色脂肪組織を燃焼させたり、筋肉を震わせたりして体温を上昇させるのですがこれが寒気や戦慄と言われる症状です。
この過程で身体は発熱をします。
さらに、脳内で指示を出す発熱物質プロスタグランジンは、痛みを引き起こす物質を増強させる作用もあります。
そのため、プロスタグランジンが発生すれば痛みを引き起こす物質もどんどん増強するので関節痛や頭痛などが起こるのです。
熱が出たり、関節痛が辛かったりすると早く症状を何とかしたいと解熱剤を使用することもあるかもしれません。
しかし、解熱剤によって体温を下げた結果、細胞やウイルスが増殖しやすくなったり、免疫細胞の活動が鈍くなったりしてなかなか回復へとつながりません。
また、熱を一時的に下げても根本的な原因は改善されていないため、また、熱があがってしまいつらい思いをするでしょう。
解熱剤の使用は医師の指示もしくは解熱剤の添付文書に記載された用法用量を守り、最低限の使用としましょう。
発熱と関節痛を和らげる対処法
薬の使用は最低限にとどめることを勧めましたが、とはいえ、発熱と関節痛が辛く、早く何とかしたいと思う方もいるでしょう。
発熱と関節痛が辛いときにこれらの症状を和らげるための方法は主に2つあります。
体を保温して安静にする
発熱や関節痛に加えて寒気やふるえが起こっている場合、まだまだ体温は上昇します。
部屋を暖かくしたり、掛物をかけたりして保温し、布団に横になって安静に過ごし、体温の上昇をサポートしてあげましょう。
体温が上がりきるまでは、これらの症状が続きます。
寒気や震えといった症状が消失するまでは自分が適度に感じる程度に保温して過ごしましょう。
水分と栄養補給をする
発熱すると、発汗にくわえて呼気などによる不感蒸泄によって普段よりも水分が失われやすい状態になることが分かっていますので、水分をこまめに摂取しましょう。
ただし、一度に多量の水分を摂ったとしても身体には十分に吸収されないうえに、発熱時においては身体への負担にもなりかねません。
水分は、少量ずつをこまめに飲むことがおすすめです。
また、発熱時には汗などともにカリウムやナトリウムといった電解質も失われます。
そのため、普通の水ではなくスポーツドリンクなどの電解質を含む水分がよいでしょう。
しかし、急な発熱でスポーツドリンクが手元にないということもあるかもしれません。
その場合には麦茶を意識して飲みましょう。
麦茶には麦茶には、汗をかいたときに不足するナトリウムやカリウムといったミネラルが含まれているため、水分と電解質を同時に補給できるでしょう。
発熱と関節痛でどうしても寝れないとき
体調が辛いため、ゆっくりと寝たいなと考えても、発熱と関節痛が辛くて眠れないということもあるかもしれません。
発熱と関節痛でどうしても眠れないときの対処法は次のようになります。
市販薬を飲む
前述したように、市販の解熱鎮痛剤は免疫機能を考えれば極力服用をしないことがおすすめです。
しかし、発熱と関節痛で辛いという場合には、辛さを一時的に和らげるという目的での服用は良いでしょう。
市販の解熱鎮痛剤を服用する目安は次のようになります。
- 38度以上の発熱が続いている
- 関節痛と発熱が辛く水分補給ができない
ただし、これに限らず、辛いと感じたときには服用しても構いません。
解熱鎮痛剤にはアセトアミノフェン、イブプロフェン、ロキソプロフェンなどさまざまな種類があります。
よく、インフルエンザやコロナウイルス感染症にはロキソニンを使わない方が良いといわれることがあります。
一般的には大人においてはロキソニンの使用について問題ありません。
ただし、基礎疾患がある場合には、使ってはいけない解熱鎮痛薬もあるため、可能であれば薬剤師や医師に相談するのがおすすめです。
もしも、相談できない状況であれば、比較的副作用が少ないアセトアミノフェンが含まれている解熱鎮痛剤を活用するのがよいでしょう。
発熱や関節痛に備えてあらかじめ自分に合うお薬を購入してストックしておいてもよいかもしれません。
湿布薬を貼る
発熱による関節痛は関節の節々に炎症物質が溜まっている状態です。
そのため、フェルビナクなどが配合された冷湿布を活用することで症状をやわらげられるでしょう。
痛みが強い場合には内服薬と湿布を併用しても構いません。
しかし、この両方に同じ成分が含まれているため、過剰に使わないように注意が必要です。
必ず、添付文書に記載されている用法用量を守って使いましょう。
発熱と関節痛の症状で医療機関へ行くタイミング
発熱と関節痛の症状で必ずしも医療機関へ行く必要はありません。
例えば寝たら解熱して関節痛も消失した、解熱鎮痛薬を服用したらラクになって眠れるようになったり水分や栄養を摂れるようになったりしていれば自宅で様子を見ても良いでしょう。
発熱と関節痛の症状で医療機関へ行くタイミングは次の通りです。
- 水分が摂れない
- 3日程度発熱が続いている
- 意識が朦朧としている
上記に該当しなくても心臓や呼吸器系を含め、何か持病がある場合には、発熱や関節痛が重症化するケースがあるので、すぐに医療機関を受診しましょう。
また、発熱をする前にインフルエンザや新型コロナウイルス感染症に感染している疑いがある人と接触している場合には、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症の症状である可能性が高いです。
そのため、この場合にもなるべく早く医療機関を受診し、PCR検査などを受けましょう。
ウイルス感染の予防方法
発熱と関節痛を経験せずに過ごすためにはウイルス感染を予防することが必要といえます。
ここでは、ウイルス感染を予防する方法についてご紹介します。
衛生管理に気をつける
ウイルス感染を予防するためには、ウイルスを体内に入れないようにすることが大切です。
ウイルスが体内に侵入するルートは主に3つあります。
1つ目は接触感染といい、ウイルスに感染しているだろう物を触った手が口に入りウイルスを体内に入れてしまうことです。
2つ目は飛沫感染で、ウイルスに感染している人がくしゃみや咳をし、そのしぶきを吸い込むことで感染するルートです。
3つ目はエアロゾル感染といい、空気中にあるウイルスを吸い込むことで感染するルートです。
この3つの感染経路を遮断するには、衛生管理が重要です。
感染を予防する衛生管理でもっとも大切なのがうがいと手洗いです。
特に手洗いは接触感染を予防します。
外出がからの帰宅後や食事の前後には必ず石鹸で手洗いをしましょう。
なお、インフルエンザウイルスと新型コロナウイルスはアルコール消毒によってウイルスの感染力が失われます。
そのため、手洗いうがいとアルコール消毒を併用するとさらに感染対策につながるのです。
マスクの着用はウイルスの感染を完全に予防できませんが、エアロゾル感染や飛沫感染の予防にはマスクをつけていない人と比べれば効果があると考えられています。
特に人込みに行くときにはマスクを着用することも衛生管理につながるでしょう。
免疫力を高める
ウイルスが万が一体内に潜入したとしても、自身の免疫力が高ければ、症状を発症させずにウイルスを排除できます。
そのため、免疫力を高めておくことは非常に重要です。
免疫は、日中の活動中に高まり、夜になると低下するといわれています。
そのため、毎日規則正しく生活することが重要です。
早寝早起きはもちろん、バランスの良い食事を摂り、しっかりと睡眠をとりましょう。
特に全粒穀物と緑茶成分は感染症やインフルエンザの予防に寄与すると考えられており、食生活に無理なく取り入れてみても良いでしょう。
また、適度な運動も免疫力を高めるには効果的です。
適度に運動する人は、風邪をひきにくく、重症化もしにくいといわれています。
週に3~5日、軽く汗をかく運動を取り入れてみましょう。
さらに、笑いは免疫力を高めるということも分かっています。
免疫力をつけるという目的でユーモラスな動画を見るなどして日常生活に笑いを取り入れてみてもよいでしょう。
体温が低い人は、そうでない人と比べて免疫力が低いことも分かっています。
そのため、体温が低い人は上記の対策に加えて睡眠中や日中に湯たんぽで胴体や四肢を温めると免疫細胞が活発に活動するようになるためぜひ試してみてください。
発熱と関節痛についてよくある質問
ここでは、発熱と関節痛についてよくある質問をまとめました。
発熱と関節痛に関する疑問はここで解消しておきましょう。
関節痛は冷やすべき?温めるべき?
関節痛の種類によっては温めたほうが改善するものがあるものの、発熱による関節痛が辛いときには温めずに冷やした方がよいでしょう。
関節痛は発熱によって炎症物質の炎症が助長されたことによって起こっています。
とくに、発熱による関節痛は急に痛みが起こってくるため、冷やした方が改善すると考えられているのです。
炎症を改善する薬剤が含まれている湿布薬を活用して冷やしましょう。
発熱と関節痛に加えて下痢の症状もある病気は?
発熱と関節痛に加えて下痢の症状もある場合には、ノロウイルスやカンピロバクターウイルスによる感染性胃腸炎の可能性が考えられます。
感染性胃腸炎は、お腹の風邪などよりも高い熱が出ることが特徴なので、関節痛も顕著に現れるかもしれません。
感染性胃腸炎の場合は感染力が強くほかの人にうつしてしまう可能性が高いです。
そのため発熱と関節痛に加えて下痢の症状が見られたら、こまめに水分を補給しながら自宅でゆっくりと静養しましょう。
38度の発熱と関節痛はインフルエンザ?コロナウイルス?
38度の発熱と関節痛はインフルエンザもコロナウイルスも両方可能性があるといえます。
インフルエンザとコロナウイルスは症状が酷似しているので、症状のみでどちらかを判断するのは難しいといえます。
もしも、発熱と関節痛が出る前に接触をした方にどちらかの感染が確認されると、どちらの可能性があるかはわかりますが、そうでない場合には検査をしなければわかりません。
どのウイルスに感染しているのかが知りたい場合には医療機関に電話で相談し、発熱外来などを活用してPCR検査を受けると良いでしょう。
お風呂やストレッチはしてもいい?
入浴によって全身の血行が良くなることで、筋肉の緊張もほぐれ、関節痛が和らぐ可能性があります。
また、ストレッチも筋肉の筋著を和らが得る効果が期待できるめ、関節痛を和らげるという観点でストレッチや入浴は問題ありません。
しかし、38度以上の発熱があり身体がしんどい状態であるならば、身体を回復させることを優先するべきでしょう。
また、特に熱いお湯での入浴や長時間の入浴は身体に負担をかけます。
体調に合わせて検討し、入浴後はしっかりと水分を補給しましょう。
発熱と関節痛がある場合のまとめ
発熱と関節痛がある場合には、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症といった、ウイルス感染の可能性があります。
そのため、発熱と関節痛がある場合には水分をしっかりと摂りながら、身体を休めて安静に過ごしましょう。
体が辛いときに解熱鎮痛剤を使用するのは問題ありませんが、免疫系は体温を上げることで身体の中のウイルスと戦うため、頻繁の解熱はウイルスと戦う力を弱めてしまいます。
そのため、解熱鎮痛剤を頻繁に使うことは避けておきましょう。
発熱と関節痛を避けたいという場合には手洗いうがいやマスクの着用といった衛生管理、免疫力を高めることが有効です。
また、インフルエンザと新型コロナウイルス感染症は、ワクチンもあるので活用してもよいでしょう。
もしも、発熱と関節痛により水分が摂れない、身体が辛いという場合にはすぐに医療機関を受診して適切な治療を受けましょう。
参考
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症について