下痢や発熱は何が原因?病院は何科を受診するといい?対処方法を解説

「下痢や発熱は何が原因で起こるの?」

そのように悩んでいるのではないでしょうか。

確かに、下痢や発熱が起こるとなぜ起こったのか、どうやって対処すればいいのかと悩んでしまいますね。

当記事は上記の悩みを抱えている方に向けて下痢や発熱の原因について紹介します。

対処法や受診すべき診療科についても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

この記事のまとめ
  • 下痢と発熱の主な原因は細菌、ウイルス、寄生虫である
  • 下痢と発熱ががあるときには消化器内科、内科、救急外来の受診が望ましい
  • 症状を和らげるためには水分や栄養を摂って安静にする
  • 危険な状態である場合にはなるべく早く医療機関を受診する
目次

下痢や発熱の原因と症状

下痢や発熱にはさまざまな原因があり、症状も多様です。

原因

細菌性胃腸炎 … サルモネラ菌、カンピロバクター、黄色ブドウ球菌

ウイルス性胃腸炎 … ノロウイルス、新型コロナウイルス、インフルエンザ

寄生虫 … アニサキス、トキソプラズマ

今回は、日常生活をしていて起こりやすい下痢と発熱の原因、そして下痢と発熱以外に起こりうる症状について解説します。

細菌性胃腸炎

細菌性胃腸炎とは細菌が原因で起こる胃腸炎の総称です。

よく、食中毒と言われる状態が細菌性胃腸炎に該当します。

細菌性胃腸炎は夏場に多いことが特徴で、腹痛と下痢が主な症状です。

嘔吐や発熱も症状としては起こるものの、ほかの胃腸炎と比較するとあまり見られないことも特徴です。

症状が長引くことはあまりなく、通常1週間もあれば自然に回復します。

細菌性胃腸炎の原因となる最近は次の通りです。

細菌原因症状
サルモネラ菌未加熱の肉や生魚、生卵嘔気、嘔吐下痢
カンピロバクター鶏肉の加熱不十分、生食下痢、腹痛、発熱、悪心、 嘔吐、頭痛、悪寒、倦怠感、頭痛
黄色ブドウ球菌エンテロトキシンが産生された食品激しい嘔気や嘔吐、刺すような腹痛、下痢、発熱、ショック

サルモネラ菌

急性細菌性胃腸炎の代表格ともいわれ、主に8~48時間の潜伏期間を経て発症します。

未加熱の肉や生魚、生卵を食べたことによって起こるケースが多いですが、動物に菌が付着していることもあり、ペットを触った手を洗わずに食品を手で食べることによって発症する場合もあります。

特にミドリガメはサルモネラ菌が付着しているケースが多く、ペットによる発症の代表的ともいえます。

症状は嘔気、嘔吐から始まり、1日数回~数十回の下痢症状を経て3~4日で回復します。

カンピロバクター

サルモネラ菌と同様に細菌性胃腸炎の原因の代表的な菌です。

他の細菌が原因の胃腸炎と比べて、潜伏期間が2~5日と長いのが特徴です。

症状は、下痢、腹痛、発熱、悪心、 嘔吐、頭痛、悪寒、倦怠感などとほかの細菌性胃腸炎とほとんど変わらないものの、中枢神経症状として頭痛が現れるのも特徴になります。

また、サルモネラ菌の感染と比べると熱はそれほど上がりません。

カンピロバクターは鳥からの感染が多いといわれており、ペットの鳥を触った後に手を洗わずに調理あるいは食事をすることで感染します。

また、鶏肉の加熱が不十分だったり、鳥のたたきなど鶏肉の生食も感染の原因となります。

黄色ブドウ球菌

黄色ブドウ球菌による感染性胃腸炎は、黄色ブドウ球菌そのものが原因にはならず、黄色ブドウ球菌が食品中で増殖する時に産生するエンテロトキシンを、摂取することで発症します。

エンテロトキシンが産生された食品を食べた約3時間後に激しい嘔気や嘔吐、刺すような腹痛、下痢が症状として見られます。

エンテロトキシンの量が多ければ多いほど症状が重篤となります。

症状が重いと発熱やショックを起こすケースもあり、入院が必要となることもありますが一般的にどの年代においても予後良好です。

ウイルス性胃腸炎

ウイルス性胃腸炎は、感染性胃腸炎とも呼ばれウイルスが原因で起こる胃腸炎です。

ウイルスが原因であるため、秋~冬にかけて感染者が増加する傾向にあります。

1~3日程度の潜伏期間を経て発症し、症状は24~48時間続きます。

ただし、感染したからと言って必ず症状が出るわけではなく、なかには無症状、軽症で経過する人もいることが特徴です。

ウイルス性胃腸炎の原因ウイルスは次の通りです。

ウイルス症状
ノロウイルス嘔気、嘔吐、下痢、腹痛、微熱、軽度の風邪症状
新型コロナウイルス発熱、咳や呼吸困難などの呼吸器症状、下痢
インフルエンザ発熱、咳や呼吸困難などの呼吸器症状、下痢、脱水症状

ノロウイルス

ノロウイルスは秋冬にかかる胃腸炎として最も代表的な原因ウイルスです。

ノロウイルス感染者の約7割は11月~2月に発生するとされています。

潜伏期間は24~48時間程度で、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛、微熱などの症状が出ますが、そのほとんどが重篤化せず24~48時間程度で軽快します。

健康的な人や体力が十分にある人は感染しても症状が出なかったり軽度の風邪症状のみで経過することもあります。

ただし、高齢者や子どもなどの抵抗力が弱い人は重症化するリスクもあるため、注意が必要です。

新型コロナウイルス

2019年12月初旬に, 中国の武漢市で感染者が確認されて以降、全世界に爆発的に感染者が広まりました。

新型コロナウイルスというと発熱に加えて咳や呼吸困難などの呼吸器症状が主症状と思われますが、実は、下痢も症状として見られます。

明らかな誘因のない4~5日続く下痢等の消化器症状がある場合には新型コロナウイルス感染症の可能性が高いです。

日本消化器学会によると、新型コロナウイルス感染者の約40%に下痢が見られたとしているため、原因不明の下痢が続いた場合には新型コロナウイルス感染も視野に入れておくとよいでしょう。

インフルエンザ

インフルエンザも新型コロナウイルス同様に発熱や呼吸器症状が主症状と思われがちです。

しかし、インフルエンザの症状は多種多様といわれており、その症状の一つが下痢です。

インフルエンザが原因の下痢は、ほかのウイルス性胃腸炎の原因となるウイルスよりも症状の持続期間が長いことが特徴で、その症状持続期間は3日間です。

症状が長いということもあり、抵抗力が低い子どもや高齢者では脱水症状を引き起こすリスクもあります。

寄生虫

寄生虫は動物や魚の体内にいる虫のことです。

そのほとんどが過熱によって死滅するものの、加熱が不十分であると寄生虫が死滅しないため、そのままヒトの体内に入り感染をします。

寄生虫は多くの種類がありますが、特に感染することが多いのがサバ、アジ、イワシ、サンマ、メジマグロなどの海産魚やイカに含まれるアニサキスと豚、羊、山羊の生又は加熱不十分な肉と山羊の生乳に含まれるトキソプラズマです。

寄生虫は必ずしも下痢を引き起こすことはなく、頭痛や嘔気、嘔吐、胃痛などさまざまな症状を引き起こします。

寄生虫食品症状
アニサキスサバ、アジ、イワシ、サンマ、メジマグロ、イカ頭痛、嘔気、嘔吐、胃痛下痢
トキソプラズマ豚肉・羊肉・山羊肉の加熱不十分、生食
山羊の生乳
頭痛、嘔気、嘔吐、胃痛下痢

下痢や発熱があるときは何科を受診するべきか

下痢や発熱があると何かを受診すべきか迷ってしまうかもしれません。

下痢や発熱があるときには以下の診療科への受診を検討しましょう。

診療科特徴
消化器内科下痢症状の際にはまず受診する
内科下痢にも発熱にも対応できる
救急外来緊急性が高く、命の危険性がある際に活用する

消化器内科

下痢は消化器の症状ですので、消化器内科は下痢症状の際にはまず受診したい診療科です。

ただし、最近では新型コロナウイルスの影響もあり、下痢以外に発熱などがあった場合に診療を断られるケースもあります。

そのため、受診をする前に下痢と発熱両方の症状が出ていても受診が可能かを確認しましょう。

内科

内科は下痢にも発熱にも両方に対応できる診療科です。

最近では消化器内科と内科の両方が併設されている診療科もあります。

内科の場合は発熱にも対応できるので下痢と発熱がある場合には受診をおすすめする診療科です。

ただし、内科医の中には消化器症状の診療ができない医師もいるので、下痢の原因が突き止められないこともあるかもしれません。

救急外来

救急外来では、どの症状の診察も迅速に対応できることが特徴です。

また、夜間も早朝でも診療ができるので下痢や発熱症状で苦しい時にすぐに診察してもらえるでしょう。

ただし、救急外来は誰でも気軽に受診してよい診療科ではありません。

緊急性が高い、命の危険性が高いという際に活用しましょう。

また、子どもの場合は救急外来に小児科医師が不在の場合診療してもらえないこともあるため必ず事前に確認しましょう。

症状をやわらげる方法

下痢や発熱症状は、放っておいても数日で軽快できるといわれています。

しかし、辛い症状は少しでも和らげたいものです。

ここからは症状を和らげるための方法を解説します。

水分補給をこまめにする

発熱と下痢は身体から水分を失わせる要因となります。

人は発熱をすると体温を下げようと汗をかきます。

汗は水分と電解質が含まれているので、汗をたくさんかくことで水分と電解質が失われ脱水のリスクを招くのです。

また、下痢になると腸の調子が悪くなるので水分が腸管から体内に吸収されることなく体外へと排出されてしまうので脱水となる可能性があります。

そのため、発熱と下痢のときにはこまめに水分を摂取しましょう。

このときに、電解質を含む水分がベストです。

また、冷たい水分が体内に吸収されやすいため、発熱のときには冷たい水分を摂ると良いでしょう。

ただし、下痢のときに冷たい水分を摂取すると下痢を悪化させる要因になりかねません。

そのため、下痢のときには常温の水分を少しずつ飲むようにしましょう。

カフェインを多く含む水分は脱水を助長させるため控えることが望ましいです。

体を温める

体を温めることで内蔵の機能を良くする効果が期待でき、下痢をやわらげられるといわれています。

ただし、発熱の場合には体を温めるのは逆効果です。

発熱と下痢が両方みられるという場合には、まず体を冷やして熱を下げることを優先しましょう。

胃に負担をかけない食事をとる

熱が出ていてる場合でも、下痢をしている場合でも、身体は弱っているので、胃に負担をかけない食事を摂りましょう。

胃の負担がかからない食事とは、胃への停滞時間が短い食事です。

おかゆやうどん、ささみや白身魚、食物繊維の少ないじゃがいもやかぼちゃ、納豆や豆腐などが消化が良くおすすめです。

胃に負担をかけない食事

おかゆ、うどん、ささみ、白身魚、じゃがいも、かぼちゃ、納豆、豆腐

普段の生活で予防する方法

普段の生活でも下痢や発熱は予防が可能です。

下痢や発熱の基本的な予防方法は次の通りです。

手洗い・うがい

下痢や発熱のほとんどが下痢や発熱の原因となるものに触り、その手で食べ物を食べるなどして口の中に細菌やウイルスが侵入する接触感染です。

そのため、手洗いやうがいによって細菌やウイルスを流すことで体内への侵入を防ぎ、下痢や発熱の予防へとつながります。

食品の十分な加熱処理

細菌やウイルスによる下痢や発熱のほとんどが、未加熱の肉や魚の喫食です。

そのため、食品を十分に加熱処理してから食べることも下痢や発熱の予防へとつなげられます。

ただし、原因となる細菌やウイルスなどによって死滅する温度が異なるため、それぞれの原因となる細菌やウイルスなどが死滅する温度を確認したうえで、十分な加熱を心がけましょう。

また、抵抗力のない子どもには刺身などの喫食を控えるのが望ましいでしょう。

下痢や発熱でよくある質問

ここからは、下痢や発熱の症状でよくある質問をまとめました。

下痢や発熱の症状で気になることがあるという場合にはぜひ以下を参考にしてみてください。

下痢と発熱の症状はいつまで続く?

下痢と発熱の症状がいつまで続くかはその症状の原因となるウイルスや細菌によります。

例えば、ウイルス性の下痢や発熱の場合、新型コロナウイルスにおいては症状の持続期間が長いものの、それ以外は1~2日程度とされています。

しかし、細菌性の場合は3日以上、1週間程度かかるケースも少なくありません。

あまりに下痢や発熱の症状が長引くと体力を消耗し、脱水などほかの症状を引き起こすリスクがあります。

下痢や発熱が長引いている場合には医療機関を受診するのがおすすめです。

水みたいな下痢と発熱の症状があるとき可能性がある病気は?

水みたいな下痢と発熱の症状がある場合にはウイルス性胃腸炎の可能性が極めて高いといえます。

ノロウイルスに加えて子どもの場合はロタウイルスも下痢と発熱の症状が起こります。

水みたいな下痢はそのまま放置すると血便になる可能性もあるため、早めに下痢を改善できるように対処するのが望ましいでしょう。

新型コロナウイルスに感染したときの対処方法は?

新型コロナウイルス感染症は感染力が非常に高いといわれています。

家族内での感染を回避するため、健康な他の家族とは離れて過ごしましょう。

新型コロナウイルス感染症は重症化のリスクがある場合を除き基本的には、治療薬が処方されないことが多いです。

そのため、水分をしっかりと摂って脱水を防ぎながら消化がしやすく栄養のある食事を摂り、療養しましょう。

もしも、症状がどんどん悪化しているという場合にはすぐに医療機関へ相談しましょう。

危険性があるとはどのような場合?

下痢や発熱による危険性とは以下のような状態です。

危険な状態

  • 意識がないor意識がもうろうとしている
  • 便に大量の血液が混じる
  • 1週間以上下痢が続く
  • 水分が摂れない

これらの症状が見られる場合には、生命への危険性もあるため早めに医療機関を受診することもおすすめです。

この記事のまとめ

この記事のまとめ
  • 下痢や発熱があるときには水分や栄養を取りつつ安静に過ごす
  • 下痢や発熱は過熱調理や手洗いうがいをすることで普段から防げる
  • 下痢や発熱は消化器内科、内科で対応可能
  • 小さい子どもや高齢者など抵抗力が弱い人は、重症化することがある

下痢や発熱にはさまざまな原因があります。

もしも、下痢や発熱があるときには水分や栄養を取りつつ安静に過ごしましょう。

下痢や発熱の原因となる細菌やウイルス、寄生虫は肉や魚をしっかりと過熱して調理したり、手洗いうがいを励行することで防げます。

下痢や発熱は消化器内科、内科で対応可能ですが、もしも、下痢や発熱以外に意識がもうろうとしていたり、血便が多量に出ていたりする場合には早めの医療機関への受診が望ましいといえます。

特に小さい子どもや高齢者など抵抗力が弱い人は、健康な大人ではかからないようなウイルスや細菌にも感染し、重症化することもあります。

小さい子どもや高齢者が家族にいる方は、積極的に感染予防に努めていきましょう。

目次