「白血病の原因について詳しく知りたい」
そう思っている方もいるのではないでしょうか?
確かに白血病という病気の名前は知っていても、原因や病気について詳しく知っているという方は少ないかもしれません。
当記事では上記の悩みを抱えている方に向けて白血病の原因について詳しく解説していきます。
白血病の症状や検査についても紹介しているので、白血病について知りたいという方はぜひ参考にしてみてください。
- 白血病は白血球系砂防が無限に増加する血液のがんである
- 大人から子どもまで罹患する可能性がある
- 症状は発熱、貧血、鼻や歯茎からの出血
- 白血病は早期に発見、治療ができれば9割が寛解期へ移行できる
白血病とは
白血病とは、白血球系細胞が無限に増加する病気で血液のがんに分類されます。
血液細胞のもととなる造血幹細胞や血液細胞になる前の細胞に異常が起こることで、がん化した白血球細胞、いわゆる白血病細胞を無限に作り出してしまうのです。
白血病細胞が増加すると、正常な血液細胞がつくられなくなり、赤血球、血小板、白血球といった血液細胞の量が減少します。
これによりさまざまな症状が引き起こされるのです。
白血病は大人でも子どもでもなる可能性のある病気です。
日本では1年間に人口10万人あたり11.3人が白血病と診断されています。
その割合は男性13.6人、女性9.1人で、男性の方が割合としては多い傾向にあります。
白血病の原因
白血病の原因は遺伝子や染色体が損傷することで起こるといわれています。
それではなぜ、遺伝子や染色体が損傷するのかというところですが、原因が分からないケースがほとんどといわれています。
現在原因が分かっているケースは特定の化学物質の曝露や放射線被ばく、ウイルス感染、遺伝子の異常、喫煙です。
タバコの煙には発がん性物質が多く含まれているため、喫煙の習慣がある人はそうでない人よりも白血病のリスクがあります。
白血病の種類
白血病には主に2つの種類があります。
慢性白血病 … 病気の発生から症状があらわれるまでに長い期間を要すことが特徴の白血病
急性白血病 … 状態が急速に進んでいく白血病
ここからは、2種類の白血病のそれぞれの違いについて解説していきます。
慢性白血病
慢性白血病は、病気の発生から症状があらわれるまでに長い期間を要すことが特徴の白血病です。
よく誤解されやすいのですが、後述する急性白血病の慢性期ではなく、あくまで慢性白血病という1つの病気に分類されます。
病状に劇的な変化が見られないことから発見が遅れるケースも多いです。
慢性白血病を3~5年放置すると、急性骨髄性白血病と同様の状態に移行するとされています。
白血病全体の約20%を占めているといわれ、日本では1年間に約1,500人が診断されている傾向にあります。
急性白血病
急性白血病とは、状態が急速に進んでいく白血病です。
未熟で異常な血液細胞が急速に増殖し正常な血液を作る働きが損なわれてしまうことから、症状がすぐに見られます。
経過が早いので放置をすると確実に命の危険性があることが特徴です。
白血病全体の約40%を占めているといわれています。
1年間に診断される患者の数に関する正確なデータはありませんが、おおよそ10万人当たり1人の割合で発症していると考えられています。
子どもの白血病
白血病は子どもでもかかる可能性がある病気です。
子どものがんの中でも最も多いです。
白血病にかかる子どものうち約95%が急性白血病とされています。
大人の白血病よりも治療成績が良く、予後が良好な傾向にありますが、1歳未満の乳児でかかると予後不良なケースが多いです。
白血病になりやすいリスク要因
白血病は、遺伝子や染色体が損傷することで起こるとされています。
遺伝子や染色体が損傷させ、白血病になるリスクを高めてしまう理由は次の通りです。
白血病になるリスク
・ウイルス感染
・喫煙の習慣
・放射線や抗がん剤の使用歴
・遺伝子的要因
ウイルス感染
白血病のリスクとなるウイルスは、HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)です。
このウイルスに感染すると、 HTLV-1が白血球の1つであるT細胞に感染してしまうことで、がん化した細胞が増殖して白血病の発症へとつながります。
HTLV-1の感染経路は、母子感染と性行為感染です。
ただし、HTLV-1に感染したからと言って必ずしも白血病になるというわけではありません。
HTLV-1に感染した方のうち、白血病を発症した方の割合は生涯において5%程度といわれています。
また、感染者が発症するのは40歳を超えてからともいわれています。
一昔前までは輸血によってHTLV-1に感染する方もいましたが、現在は輸血の前にウイルスを保有しているかどうかをチェックしているため、輸血による感染はほとんどありません。
喫煙の習慣
たばこの煙には発がん性物質が含まれているため、さまざまながんのリスクファクターとなりますが、白血病においてもリスクファクターになるとされています。
とある研究によると、喫煙指数が30以上のたばこを「吸っている」男性グループは、たばこを「吸わない」男性グループと比べて白血病になるリスクが2.2倍高くなるということが分かりました。
また、国際がん研究機関(IARC)では、喫煙は急性骨髄白血病の確実なリスクであると報告しており、喫煙習慣は、白血病の確実なリスクファクターになるとわかっています。
放射線や抗がん剤の使用歴
過去に抗がん剤治療や放射線治療を受けたことがある方は二次性白血病という白血病を発症する可能性があります。
発症頻度は10万人に2~3人程度と言われています。
発症率は年齢が高くなるにつれて増加する傾向にあります。
遺伝子的要因
白血病は遺伝する病気ではないといわれています。
そのため、家族の中に白血病がいたからといってその子孫が必ずしも白血病になることはありません。
しかし、ダウン症の方においては遺伝子的要因が注目されています。
ダウン症の方の場合、白血病発症リスクが非ダウン症に比較して10~20倍とされています。
くわえて、急性巨核芽球性白血病の場合、そのリスクは400~500倍ともいわれており非常に高いです。
ただし、なぜダウン症に白血病が起こるのかについてはまだまだ不明な点も多く研究が進められています。
白血病の症状
白血病にはさまざまな症状があります。
白血病のさまざまな症状
・初期症状はわかりにくい
・発熱がある
・疲れやすく顔色が悪い
・鼻血や歯肉出血など出血の傾向
ここでは白血病の初期にはどんな症状が起こるのか、そして白血病の代表的な症状には何があるのかについて解説します。
初期症状はわかりにくい
急性白血病の場合、症状の進行スピードが速いこともあり、症状が分かりやすい一方で、慢性白血病の場合は進行がゆっくりであるため初期症状はわかりにくいです。
そのため、慢性白血病においては気が付いたときに状態がかなり進行しているというケースも少なくありません。
発熱がある
白血病の代表的な症状が発熱です。
白血病によって白血球の数が減っている体内では、体に侵入してきたウイルスや細菌を攻撃する力が弱まっています。
そうすると、 体を守るためのはたらきが十分にできず、発熱するしてしまうのです。
原因不明な発熱が2週間ほど続く、熱が上がったり下がったりする、38度前後の高熱が続くという場合には白血病の可能性があります。
疲れやすく顔色が悪い
白血病になると白血球だけでなく赤血球や血小板などほかの血液細胞も作られなくなります。
特に赤血球は、身体に栄養や酸素を運搬する役割を持つため、不足すると血液が薄くなり、栄養や酸素がうまく運搬されません。
そうすると、疲れやすくなったり、顔色が悪くなったりします。
鼻血や歯肉出血など出血の傾向
白血病になると血小板も作られなくなります。
血小板は血を止める作用を持つ血液細胞であるため、血小板が少なくなると血が止まりにくくなり出血傾向となります。
そのため、鼻粘膜や歯茎といった血が出やすいやわらかい組織から出血がしやすくなり、止まりにくくなります。
また、少し当たっただけでも内出血が起こりやすく、青紫の内出血も起こりやすくなるのです。
白血病の検査
白血病の症状は他の病気でも起こりうる症状のため、症状のみで白血病と判断するのは難しいです。
そのため、白血病かどうかを確定させるために必ず検査を受ける必要があります。
白血病の検査は次の通りです。
白血病の検査
・血液検査
・骨髄検査
・画像検査
・その他の検査
血液検査
白血病を疑ったらまずは血液検査を行います。
血液検査にて赤血球数が減少しているか、血小板数が減少しているか、白血球数に異常がないかをチェックします。
ほかにも肝臓や腎臓の機能や、血が止まるまでにどのくらいの時間がかかるのかなども調べます。
骨髄検査
白血病の確定検査のために必要なのが骨髄検査です。
骨髄内で異常な細胞が増殖しているため、腰か胸の骨に針を刺して骨髄液を採取して細胞を調べます。
白血病細胞の割合が骨髄全体の25%以上であれば急性白血病と診断されます。
上記の血液検査と骨髄検査で確定をして治療に移るケースが多いです。
画像検査
白血病の診断のための画像検査ではレントゲン検査、CT検査、MRI検査が主に行われます。
画像検査を行うことで、白血病細胞がほかの臓器に浸潤しているかが分かります。
その他の検査
白血病の確定検査ではありませんが、染色体検査・遺伝子検査・髄液検査を行うこともあります。
これらを調べることで白血病になぜなってしまったのか、原因を突き止めることができます。
とはいえ、白血病は遺伝性の病気ではないということもあり、あえて原因を突き止めずに治療を進めていくケースもあるため、これらの検査については主治医と相談して受けるかどうかを検討していきましょう。
白血病でよくある質問
ここからは、白血病についてよくある質問をまとめました。
白血病について知りたいことがある方はここを参考にしてみてください。
白血病はどのような人に多い?
白血病は女性よりも男性に多い傾向にあり、割合としては男性13.6人:女性9.1人とされています。
大人でも子どもでも白血病にかかるリスクはありますが、40歳以上の場合には急性白血病も慢性白血病も両方にかかるリスクがあります。
また、喫煙者も白血病にかかりやすいといわれています。
病院を受診する目安は?
白血病の症状である以下の症状が見られたら病院へ受診することがおすすめです。
・発熱が続く
・鼻血や歯肉出血、内出血がよくある
・疲れやすい
・貧血傾向
ただし、これらの症状は白血病以外でも起こる可能性があります。
そのため、見過ごされやすい症状ではありますが、これらの書状で辛いと感じた場合には早期発見、早期治療ができるように早めに医療機関を受診しましょう。
また、職場の健康診断で受けた採血で、白血球、赤血球、血小板数の異常が見られたことで白血病が発見できるケースもあります。
これらの検査値に異常が見られた場合にも医療機関の受診をおすすめします。
白血病は治りますか
不治の病と思われがちな白血病ですが、年齢が若ければ若いほど、治る確率は高いとされています。
白血病はすぐに治るというわけではなく、寛解期という状態が安定した時期を経て発症から5年経っても症状が出なければ初めて完治と言われます。
白血病は治療をしなければ2~3カ月程度で死亡してしまいますが、適切な治療を受ければ70歳未満の方の90%程度が寛解期に移行できます。
この記事のまとめ
- 喫煙やウイルス感染など自分で白血病を防げる
- 白血病は不治の病ではないので、早期発見と治療が大切
- 白血病と思わしき症状が出たら、医療機関をすぐに受診して検査を受ける
白血病には、さまざまな原因がありますが、放射線や抗がん剤の使用歴、遺伝子的要因など自分では防ぎきれないものも多数あります。
一方で、喫煙やウイルス感染など自分で白血病を防げるものもあります。
家族内での遺伝はないので家族がなっていないからと言って自分が白血病にならないということはありません。
白血病は不治の病ではないので早期に発見、治療ができれば予後は良好です。
白血病の症状は他の病気とも似ているので、症状が出たことで白血病と断定できません。
そのため、白血病と思わしき症状が出たらすぐに医療機関を受診して検査を受けましょう。