「腰が痛いけれど病院と接骨院どちらに行くべきかわからない」
そのように悩んでいるのではないでしょうか。
確かに腰が痛いときにどこに行けばよいのか、また行くタイミングも悩んでしまいますよね。
当記事では上記の悩みを抱えている方に向けて腰が痛いときに病院と接骨院どちらに行くべきかを解説します。
行くべきタイミングも併せて解説するので、腰が痛くて悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
- 腰痛にはさまざまな原因があり、内臓系や血管系の病気であることも考えられる
- 腰痛は日常生活でも対策ができる
- 腰痛の原因の特定や治療は整形外科でしかできない
腰痛の原因
腰痛の原因の多くは椎間板にあるとされています。
椎間板がつぶれたり、ずれたり、腫れたりすることで、腰痛が起こることが多い傾向にあります。
腰痛はそれ以外にも内臓が原因となっているケースもあり、腎臓や子宮に異常が起こっている時にも腰痛が起こります。
さらに、腹部の大動脈が原因となっていたり、うつなど心因的なことが原因で腰痛を引き起こすケースもあるのです。
- 椎間板のずれや腫れ
- 腎臓の異常
- 子宮の異常
- 腹部の大動脈
- うつなど心因的なこと
これまで、腰痛の80%は原因の特定が困難とされてきました。
しかし、近年検査技術が発展してきたこともあり腰痛の原因のほとんどが特定できるようになってきました。
腰痛の対策
腰痛は日常生活の中で対策できます。
ここでは日常生活でできる腰痛の対策について解説します。
特に腰痛の対策として日常でできるのは次の4つです。
- 食生活
- 運動
- 姿勢
- 寝具
食生活
腰痛の対策として特に積極的に摂りたいのが骨を丈夫にする食材です。
骨を丈夫にする栄養にはカルシウムとビタミンDです。
- カルシウム
-
カルシウムが多く含まれる食材と含有量は次の通りです。
- 牛乳200g…200mg
- スキムミルク20g…220mg
- プロセスチーズ20g…126mg
- 煮干し10g…220mg
- 小松菜70g…203mg
カルシウムは骨を作るための栄養です。
椎間板ヘルニアなど腰痛の病気の一因にもカルシウム不足が挙げられており、カルシウムの摂取は腰痛対策には重要といえます。
特に牛乳や乳製品はカルシウムの吸収率がひじょうに良いといわれているため積極的に摂取しましょう。
- ビタミンD
-
ビタミンDはカルシウムの吸収に必要不可欠な栄養です。
紫外線を浴びることによって体内で生産もできますが、紫外線に浴びる機会が減ってきている大人には、食事からの摂取も重要となります。
ビタミンDが含まれる食材は次の通りです。
- マグロ
- カツオ
- サバ
- うなぎ
- ブリ
- どじょう
- しいたけ
健康的な身体を作るためには満遍なく栄養を摂ることが重要であるため、カルシウムとビタミンDの摂取を意識しつつさまざまな栄養を摂るようにしましょう。
運動
運動をするとますます腰が痛くなると思うかもしれません。
しかし、運動不足にて腰の周りの筋肉の衰えたり、柔軟性が低下したりすると、背骨をまっすぐに支える力が低下します。
そうすると背骨や腰椎にかかる負担が増えてしまい、痛みにつながることがあるため、運動をして背骨の周りの筋肉を鍛えることは重要です。
腰痛の予防には腹筋と背筋が良いとされています。
- 腹筋
-
あおむけから45度の位置まで上半身を起こし、5秒間止めてゆっくりと戻ります。
- 背筋
-
おへそより下に枕をはさみ、上半身を10cm起こして5秒間止めてゆっくりと戻ります。
この2つの運動を10回1セットとして1日2回程度行いましょう。
また、腰、背中、太ももなど背骨を刺させる筋肉に付随する筋肉をストレッチで伸ばすことも、腰痛予防へとつながります。
姿勢
立っていても座っていても同じ姿勢を長時間続けていると腰を痛める原因となりますが、特に、座る姿勢は腰に負担をかけます。
そのため、デスクワークをしている方はすわる姿勢を正すことで腰痛の予防へとつながります。
座るとき | ・首も背中もしっかりと伸ばして座る ・股関節と膝頭が水平、もしくは股関節より膝頭が少し高くなっている ・足の裏がしっかりと床につくことが理想 |
立つとき | ・長時間姿勢の悪い状態で立ち続ければ腰痛を引き起こす ・あごを引き、お腹の力を引き締め、背筋を伸ばして立つ |
寝具
睡眠時にあわない寝具を使っていると腰痛の原因となることがあります。
マットレスそのものが腰に負担をかけるケースもあれば、体に合わずにうまく寝返りが打てず、長時間同じ姿勢をとっていて腰痛になるケースもあります。
そのため、寝具は自分に合ったものを選びましょう。
- 以下のような寝具は腰に負担をかけるため、選ばないことがおすすめです。
-
- 腰が沈む
- 硬すぎる
- 柔らかすぎる
寝具を購入するときは必ず試してみて自分に合っているかを確認しましょう。
痛みの種類と症状
腰痛とひとことで言っても痛みにはそれぞれ種類があり、腰痛に付随する症状も異なります。
腰痛の種類と症状は次の通りです。
- 腰の筋肉による腰痛
- 足に痺れを伴う腰痛
- スポーツによる腰痛
- 慢性腰痛
- 産後の腰痛
腰の筋肉による腰痛
デスクワークで長時間同じ姿勢をとっていたり、肉体労働をしていたりすることで起こる腰痛です。
腰の筋肉が過剰に緊張することで血流が不足し、腰痛を発症するといわれています。
腰痛のほかにも腰回りの筋肉のこわばりを感じるケースもあります。
足に痺れを伴う腰痛
腰が痛く、なおかつ足が痺れるという場合には、坐骨神経痛、椎間板ヘルニアの可能性が考えられます。
坐骨神経痛 | 腰を反ることで腰痛や痺れが出てくる |
腰椎椎間板ヘルニア | 腰を曲げることで下半身に痺れや違和感が出てくる |
スポーツによる腰痛
スポーツによって腰を酷使したり、ひねるなどの無理な運動を加えたりすることでも腰痛が出現します。
スポーツによる腰痛は、筋・筋膜性腰痛症とよばれます。
症状は腰椎に沿って発生する圧痛、運動時痛であり、しびれなどの神経症状が出ないことが特徴です。
主な動作 | 対象となる | スポーツ
腰をひねる動作が多い | 野球・サッカー・テニス |
腰を反らせる動作が多い | 体操・水泳 |
前かがみの姿勢を保持し続ける | ゴルフ |
着地時に強い衝撃が加わる | バレーボール |
腰をひねる動作の多い野球、サッカー、テニス、腰を反らせる動作の多い体操や水泳、前かがみの姿勢を保持し続けるゴルフや着地時に強い衝撃の加わるバレーボールなどが腰痛を引き起こしやすいスポーツと言われています。
慢性腰痛
慢性腰痛とは腰の痛みが3か月以上続く状態のことを言います。
重苦しい痛みや鈍痛を訴えるケースが多いですが、人によっては3か月以上にわたり激痛が続くケースもあります。
腰痛に加えてこり感、張りといった不快感を感じることもあります。
ストレスやうつなど精神的な要因が慢性腰痛につながるケースが多いです。
産後の腰痛
出産後の腰痛にはさまざまな理由があるとされていますが、多いのは骨盤のずれと筋力の低下です。
出産直前から出産後1か月はリラキシンというホルモンが分泌されます。
- リラキシンとは
-
骨盤の関節や靭帯を緩める作用があるホルモンで、これにより骨盤に負担がかかり、腰が痛むとされています。
また、骨盤周りの筋力も低下するため、骨盤へ負担がかかり、腰痛が起こりやすいとされているのです。
ほかにも、妊娠中はお腹が大きくなるにつれて骨盤が前傾し反り腰になりがちであることから、産後の腰痛が発生しやすくなります。
このように骨盤や腰回りの筋肉が衰えているにもかかわらず育児で前かがみの姿勢をとったり、抱っこをしたりといった結果、さらに腰に負担がかかり、腰痛を引き起こすのです。
産後の腰痛の期間は人によって異なり、早めにケアをした人ほど回復が早いと考えられています。
腰痛は病院に行くべきか?
腰痛があるときに病院へ行くべきなのか、自宅で療養をすべきなのか悩むかもしれません。
結論から言うと、腰痛に悩んでいる際には一度病院へ行って腰痛の原因を明らかにすることがおすすめです。
腰痛のときにかかる病院は次の通りです。
- 整形外科
- 脊椎脊髄末梢神経外科
整形外科
腰痛に悩む方がまず最初に受診する先として選ぶのが整形外科です。
整形外科には検査の機械もそろっているため、腰痛の原因を詳しく調べてくれます。
そのうえで、整形外科に関する腰痛であれば引き続き治療をしてくれますし、整形外科以外の病気が絡んでいる場合には、ほかの病院を紹介してくれます。
厚生労働省「令和2(2020)年医療施設(静態・動態)調査(確定数)・病院報告の概況」によると、全国に整形外科を標榜する診療所は 1万2,439施設あるといわれており、その診療所数はトップクラスです。
近所に整形外科があるという方も多く、気軽に受診しやすいといえるでしょう。
脊椎脊髄末梢神経外科
脊椎脊髄末梢神経外科とは、脊椎や脊髄の病気の治療がおこなえる施設です。
腰痛以外にもしびれ、筋力低下、歩行困難などの症状がある場合には、こちらの受診が適切と言えるでしょう。
ただし、全国的に見ても脊椎脊髄末梢神経外科を標榜する病院は少ないので、必ず自分の行きたい病院に脊椎脊髄末梢神経外科があるのかを確認してから受診しましょう。
腰痛以外にも症状があるとき
腰痛は腰の筋肉や脊椎以外が原因で起こることがあります。
腰痛以外の症状も診られている時には、以下の診療科のある病院への受診を検討しましょう。
- 消化器科
- 泌尿器科
- 婦人科
- 整骨院
- カイロプラクティック
消化器科
腰痛に加えて、腹痛、血便、嘔吐などの症状が見られた時には、消化器科を受診しましょう。
腰痛に加えてこれらの症状が出た場合には、胃・十二指腸潰瘍、胆石、胆嚢炎、膵臓炎の可能性があります。
泌尿器科
腰痛に加えて尿が出にくい、1回の排尿量が少なく十分な尿量が確保されていない、血尿が見られるという場合には泌尿器科を受診しましょう。
腰痛に加えてこれらの症状が出た場合には、尿路結石、腎結石、腎盂腎炎、前立腺がんの可能性があります。
婦人科
腰痛に加えておりもの量の増加や不正出血が見られるという場合には婦人科を受診しましょう。
腰痛に加えてこれらの症状が出た場合には子宮内膜症や子宮がんなどの可能性があります。
整骨院
整形外科と混同される整骨院ですが、整骨院は医師がいないため薬の処方や手術、治療ができないという点が大きな特徴です。
国家資格である柔道整復師の資格を持った方が、以下のような施術を提供します。
- 手技療法
- 物理療法
- 運動療法
また、整骨院では慢性的な腰痛は保険が適用されず治療費は自腹となります。
腰痛の原因が筋肉であるとわかっている場合には整骨院の利用がおすすめです。
カイロプラクティック
西洋医学を基礎とするカイロプラクティックでは、身体の歪みをつくっている原因を究明し、背骨や骨盤の矯正をして身体全体のバランスを整えていきます。
腰痛が出てからも治療はできますが、どちらかというと腰痛が出る前に利用される方が多い傾向にあるようです。
カイロプラクティックは、その施設によって施術の方向性が異なります。
慢性的に腰痛もちである、そろそろ腰痛が来そうで気になるという場合には、自分に合ったカイロプラクティックを探して施術を受けると良いでしょう。
整形外科と整骨院の違い
整形外科と接骨院の最大の違いは医師がいるかどうかです。
医師がいる整形外科では検査や治療、投薬などが可能ですが、接骨院では医師がいないためこれらができません。
また、整骨院では腰痛の原因を解明できません。
例えば筋肉を傷めたと思って整骨院でケアを受けていたが、検査をしたらガンの転移だったというケースもあります。
原因が分からない時や、治療を受けたいときには整形外科を受診し、腰痛の原因がすでに分かっている場合には整骨院を使うなど、ケースに併せて考えていくとよいでしょう。
腰痛でよくある質問
腰痛についてはさまざまな疑問があります。
ここでは腰痛でよくある質問をまとめました。
腰痛を和らげるセルフケアは?
腰痛を和らげるためにはマッサージや適度のストレッチがセルフケアとしては望ましいとされています。
ただし、自己判断でマッサージやストレッチをすることで腰痛が悪化する可能性もあるため、腰痛の原因が分かってからの方がよいでしょう。
ほかにも寝具を変えたり、姿勢を意識するだけでも腰痛を和らげることが期待できます。
市販薬での処置も可能なのか?
市販されている鎮痛剤は、腰痛を改善するために有効です。
しかし、鎮痛剤では一時的に痛みを取り除く程度となり、根本的な解決にはなりません。
鎮痛剤を使用し続けるのではなく、必ず原因を解明したうえで、痛みと付き合う際に活用すると良いでしょう。
病院に行くタイミングは?
以下のような場合には、病院を受診するのがおすすめです。
- 腰痛が1カ月以上続く
- 痛みがどんどん増している
- 腰痛以外の症状が出ている
腰痛以外の症状が出ているという場合には、その症状も診察できる診療科を受診することがおすすめです。
また、上記に該当しなくても腰痛によって日常生活が困難になっている場合には、早めに病院へ行くのがおすすめです。
危険な腰痛の特徴は?
腰痛で特に危険とされる状態は次の通りです。
- 下半身の神経症状も出ている(足に力が入らない)
- 胸痛や腹痛を伴う
- 足のしびれや脱力感を伴う
- 排尿ができない
- 残尿感がある
- 排便排尿時の感覚がない
これらの状態になった場合には、脊髄を傷害していたり、血管系に異常が起こっていたりするケースがあり、時には命の危険を伴うこともあります。
上記に該当する場合には様子を見ずになるべく早く医療機関を受診しましょう。
病院で痛みの特徴をうまく伝えるには?
痛みの感じ方や程度は人それぞれであり、うまく伝えるのは難しいかもしれません。
病院で腰痛を伝える時には痛みの強さ、特性、パターンを伝えましょう。
痛みの強さ | 数字を10段階で用いて、10を1番痛いとしたときにどのくらい痛いのかで伝える |
痛みの特性 | 「じんじん」「ぴりぴり」などの擬音を使って伝える方法 |
パターン | どのタイミングで痛むのか 寝ている時だけ痛い、痛い時間と痛くない時間があるなど痛みの周期を伝える |
痛みの強さを伝える時には数字を10段階で用いて、10を1番痛いとしたときにどのくらい痛いのかで伝えましょう。
痛みの特性とは「じんじん」「ぴりぴり」などの擬音を使って伝える方法です。
パターンとはどのタイミングで痛むかです。
寝ている時だけ痛い、痛い時間と痛くない時間があるなど痛みの周期を伝えましょう。
他にもいつから痛いのか、痛みは治まってきているか悪化してきているかも診療の際には貴重な情報となるため漏れずに伝えられると良いでしょう。
腰痛の治療でかかる料金は?
腰痛の治療は慢性腰痛でない限り保険適用となるケースがほとんどです。
そのため、ご自身が持っている保険証によって自己負担割合が異なります。
腰痛で受診した場合にかかる費用は、初診料(再診料)、検査、治療、薬剤費が主になります。
このなかで、特に検査費用は検査の内容によって料金が大きく変わります。
特にMRIは費用が高くなるため、MRI検査を受けた場合には費用が高額になる傾向にあります。
症状と診療内容で費用が異なるということを抑えておきましょう。
腰痛のまとめ
腰痛の原因はさまざまですが、セルフケアをすることも可能です。
しかし、セルフケアのみで放置していた結果、腰痛がほかの病気であったというケースもあります。
そのため、セルフケアをしつつも腰痛が改善しないという場合には医療機関で検査を受け、原因を知ることがおすすめです。
腰痛は整形外科以外でも、接骨院やカイロプラクティックも活用できます。
自分の症状や状態に併せて選択をし、日常生活でもケアをしながら早めの改善を目指していきましょう。