「頭痛があるけれど、高血圧の持病と関係があるの?」
そんな悩みを抱えていませんか?
確かに高血圧は様々な疾患につながるリスクが高く、頭痛と関係があるイメージもありますよね。
当記事では高血圧と頭痛の関係性について詳しく解説しています。
高血圧の予防方法や注意点についても紹介しているのでぜひ参考にしてください!
・頭痛には様々な要因があり、高血圧の自覚症状として頭痛が現れる可能性は低い
・高血圧で頭痛がある方は高血圧性脳症、脳血管障害、妊娠高血圧症候群に罹患しているリスクがある
・高血圧の方は定期的な血圧管理と急激な血圧上昇に注意しよう
・高血圧を改善するには食事の見直し、運動、ストレスを溜めない、体重管理、節酒、禁煙など生活習慣を見直そう
高血圧と頭痛
「血圧」とは、血液が動脈を流れるときに血管の内側にかかる圧力のことを言います。
血圧には2種類あり、最高血圧である収縮期血圧と最低血圧である拡張期血圧に分類されます。
名称 | 内容 | |
---|---|---|
最高血圧 | 収縮期血圧 | 心臓が収縮して全身へ血液を送りだしたときの圧力 |
最低血圧 | 拡張期血圧 | 心臓が収縮して送り出された血液が再び心臓へ戻り、心臓が拡張しているときの圧力 |
収縮期血圧は心臓が収縮して血液を送りだしたときの圧力で、拡張期血圧は心臓が拡張したときの圧力です。
そして、「高血圧」とは安静にしている状態での血圧が慢性的に正常値を超えている状態のことを言います。
高血圧治療ガイドライン2019では高血圧の基準値が設定されています。
分類 | 診察室血圧 | 家庭血圧 | ||
---|---|---|---|---|
収縮期血圧 | 拡張期血圧 | 収縮期血圧 | 拡張期血圧 | |
正常血圧 | <120 かつ <80 | <115 かつ <75 | ||
正常高値血圧 | 120-129 かつ <80 | 115-124かつ 75 | ||
高値血圧 | 130-139 かつ/または80-89 | 125-134かつ/または75-84 | ||
Ⅰ度高血圧 | 140-159かつ/または90-99 | 135-144かつ/または85-89 | ||
Ⅱ度高血圧 | 160-179かつ/または100-109 | 145-159かつ/または90-99 | ||
Ⅲ度高血圧 | ≧180かつ/または≧110 | ≧160かつ/または≧100 |
「高血圧」と診断されるのは収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上の状態です。
今回は高血圧と頭痛の関係についてくわしく解説していきます。
実は高血圧だけでは自覚症状があることはほとんどなく、必ずしも頭痛の原因が高血圧とは言い切れません。
頭痛には、原因となる病気のない「一次性頭痛」と病気が原因となる「二次性頭痛」があり、大きく分けると以下のように分類されます。
分類 | 名称 | 内容 |
---|---|---|
一次性頭痛 | 緊張性頭痛 | ストレスや生活習慣、姿勢などによって頭の周りや首の後ろから肩、背中にかけて筋肉の緊張が高まって、血流障害や神経痛を生じることによって引き起こされる頭痛です。 一次性頭痛のなかで最も発生頻度が多いです。 |
片頭痛 | 三叉神経周辺の血管が拡張し、神経が刺激されることによって引き起こされる頭痛です。 | |
群発頭痛 | アルコールや硝酸剤などの血管拡張薬によって頭部の血管が拡張されることによって引き起こされる頭痛と考えられていますが、明確な発症要因は明らかになっていません。 | |
二次性頭痛 | ー | 多岐にわたる病気を原因として引き起こされる頭痛です。 高血圧性脳症、くも膜下出血、脳腫瘍、慢性硬膜下血腫、副鼻腔炎、うつ病、薬物の副作用などの様々な発生原因があります。 風邪や熱中症、二日酔い、寝不足(寝すぎ)など日常的な病気や生活習慣を原因として頭痛が起きる場合も、二次性頭痛に含まれます。 |
一次性頭痛には緊張性頭痛、片頭痛、群発頭痛があり、緊張性頭痛の発生頻度が最も多いです。
高血圧に関連した疾患による頭痛は二次性頭痛に分類されますが、ここには風邪や熱中症二日酔いといった日常生活上起こりうる病気や生活習慣による頭痛も含まれるため、頭痛の原因は多岐にわたります。
そのため、高血圧自体が頭痛の原因である可能性は低いでしょう。
また、血圧もちょっとしたことで変動しやすいもので、激しい運動やストレス・外気温の変化・アルコール摂取・疼痛・喫煙などで簡単に上昇します。
つまり、高血圧の症状で頭痛が起きているのではなく、頭痛によって血圧が上昇している可能性があります。
頭痛が治まった後に血圧測定を行い、正常値であれば頭痛によって一時的に血圧上昇していたと考えて問題ありません。
しかし、過度な高血圧の場合は頭痛やめまい、肩こりなどの自覚症状が現れる場合もあります。
このような症状は高血圧でなくても一般的に生じるものなので、高血圧との関係があるとは断言できないでしょう。
血圧が上昇したことによる頭痛は以下のような特徴があります。
・ここ数週間~数ヶ月慢性的に頭が痛い
・頭全体が重苦しかったり、両こめかみまたは、後頭部全体の痛み
・痛み止めが全く効かない
さらに血圧上昇による頭痛は、降圧薬の内服で血圧が下がると同時に、頭痛も治まります。
この場合、降圧薬を飲んで血圧をコントロールするとともに、食事や運動など生活習慣の改善を目指していくことが必要となるでしょう。
高血圧で心配な頭痛
頭痛は血圧の高さ以外にも様々な原因によって起きるので、「高血圧のせいで頭痛がある」とは限りません。
前述したとおり、頭痛には原因となる病気がない「一次性頭痛」と、病気などの原因によって引き起こされる「二次性頭痛」があります。
高血圧に関連した病気によって生じる頭痛は二次性頭痛に分類されます。
頭痛の状態が下記の条件に当てはまる場合は、二次性頭痛の可能性があります。
・今まで感じたことのない激しい頭痛
・突然痛みが出て、どんどん悪化する
・頭痛とともに嘔吐やめまいが出現した
・頭痛とともに手足のしびれやろれつが回らないなどの症状が出現した
すみやかに病院を受診して、検査や医師による診察を受けることをおすすめします。
ここからは高血圧と頭痛に因果関係がある代表的な疾患について解説していきます。
高血圧性脳症
高血圧性脳症とは、異常なほどの血圧上昇(高血圧)によって脳の限界を超え、頭痛・嘔吐・発熱・けいれん・意識障害などの症状が出現している状態のことです。
とくに血圧が上昇しやすい早朝に頭痛が起こりやすい傾向があります。
高血圧脳症を治療せずに放置してしまうと症状が悪化し、後遺症が残ったり死に至る危険性が高まります。
高血圧性脳症は一般的に180/110mmHg以上の異常高血圧で発症するケースが多いですが、血圧の値がそれほど高くなくても元々の血圧の値や血圧上昇の程度によっては発症する可能性もあります。
そのため生活習慣の改善を心がけるとともに、継続的な血圧測定によって血圧管理に努めることが高血圧性脳症の予防につながります。
高血圧の持病の有無にかかわらず、普段と比べて急激に血圧が上昇して頭痛や嘔吐などの症状が出現した場合は高血圧性脳症が疑われるためすぐに病院を受診しましょう。
脳出血や脳梗塞
脳出血や脳梗塞などの脳血管障害とは、脳血管の異常により細胞に栄養が行き渡らなくなった状態のことです。
一般に「脳卒中」とも呼びます。
脳血管障害には、脳の細い血管が破れて出血する「脳出血」、脳の血管が詰まる「脳梗塞」、血管にできたこぶが破裂して出血する「くも膜下出血」の3つがあります。
病気 | 内容 | |
---|---|---|
脳出血 | ー | 脳の細い血管がもろくなり、破れて出血するもの |
脳梗塞 | 心原因性脳塞栓症 | 心臓でできた血栓(血のかたまり)が脳の血管まで流れてきて詰まるもの |
アテローム血栓性梗塞 | 脳の太い血管に生じたアテローム(コレステロールなどのかたまり)が破れ ふさぐために集まった血小板で血栓ができて詰まるもの | |
ラクナ梗塞 | 高血圧などによって、脳の細い血管が狭くなって詰まるもの | |
くも膜下出血 | ー | 血管にできたこぶ(動脈瘤)が破裂して、 くも膜下腔(軟膜とくも膜の間)に出血するもの |
脳血管障害ははっきりとした自覚症状がなく進行し、突然重大な発作から起こるケースがほとんどです。
しかし頭痛・めまい・舌のもつれ・手足のしびれなどの前兆が起こる場合もあります。
発見が遅れると半身不随や認知症などの重篤な障害や亡くなってしまうことも多いため、脳血管障害を発症した可能性がある場合にはすぐに適切な検査・治療を受ける必要があります。
初期に適切な治療を受ければ後遺症を残すことなく治ることもあり、リハビリを受けて回復することも多いです。
激しい頭痛や嘔吐・手足のしびれが起きた場合には脳血管障害が疑われるので、すみやかに救急車を呼んで検査を受けましょう。
脳血管障害の最大の原因は「高血圧」で、高血圧を予防できれば脳血管障害の患者は半数に減ると言われています。
「高血圧の持病がある」という方のうち、ほかにも激しい頭痛や嘔吐・手足のしびれなどの症状が続く場合は早急に専門の病院を受診することをおすすめします。
妊娠高血圧症候群
妊娠高血圧症候群は、妊娠中に高血圧を発症している状態のことです。
以下のように分類されます。
・高血圧合併妊娠:妊娠前から高血圧の持病がある場合、または妊娠20週までに高血圧になった場合
・妊娠高血圧症:妊娠20週以降に高血圧となった場合
・妊娠高血圧腎症:高血圧とタンパク尿を伴う場合
高血圧の指標は以下の通りです。
収縮期血圧が140mmHg以上(重症では160mmHg以上)
拡張期血圧が90mmHg以上(重傷では110mmHg以上))
妊娠高血圧症候群は母子ともにリスクが大きいため早期に診断する必要があり、妊婦健診では血圧測定と尿検査を定期的に行っています。
妊娠高血圧症候群は自覚症状がほとんどありませんが、まれに頭痛・嘔吐・重度のむくみなどの症状が現れる場合があります。
妊婦健診で高血圧やタンパク尿を指摘されたことがある方で、上記のような症状が現れた場合にはすみやかにかかりつけ医を受診しましょう。
高血圧で注意すること
高血圧の持病を持つ方は、血圧管理の徹底や急激な血圧上昇を避けることが重要です。
ここからは高血圧の持病を抱える方が注意するべきことを具体的に解説します。
血圧測定をする
血圧が高い方は定期的な通院や毎日の血圧測定をすることが大切です。
高血圧が引き起こす病気には重篤な障害が残ったり死に至る危険性もあるため、放置しておくのは絶対にやめましょう。
高血圧の持病があるにもかかわらず塩分の過剰摂取や運動不足・飲酒・喫煙・肥満などの悪い生活習慣を続けると、高血圧が悪化してしまうことになりかねません。
しかし、高血圧自体には自覚症状がないことが多く、ご自分の血圧が高いことを知らないケースも多いためご家庭で毎日の血圧測定を行うことによって積極的に血圧の管理をしていくことが重要です。
また、健康診断などで高血圧を指摘されたり要精査など受診を奨められた場合は、内科や循環器科を受診して治療や指導を受けることをおすすめしています。
高血圧を診断されると定期的な健康チェックや血圧のモニタリング・薬物療法・食事療法・運動療法の指導などのため定期的な通院が必要となるケースが多いので、自宅や職場から通いやすい病院を選びましょう。
急激な血圧上昇に注意する
高血圧の持病がある方は、急激な血圧の変化に注意しなければなりません。
急激な血圧の上昇は心臓や血管への負担を増大させます。
血圧は1日中ずっと一定の数値ではなく、ちょっとした原因で上がったり下がったりを繰り返しています。
様々な活動や季節変動によって血圧は大きく変わることもあるので、日々の血圧測定で普段の血圧を知っておくことが大切です。
血圧は、以下のような場合に急激に上昇する可能性があります。
スポーツ観戦での興奮状態
スポーツ観戦による一過性の心理的ストレスは、試合の勝敗だけではなく激しい駆け引きや緊迫した場面での興奮により心拍数・血圧の上昇をもたらします。
急激な血圧上昇により心臓や血管への負担が増大し、循環器疾患を発症するリスクが高まります。
一方で、スポーツ観戦に関連する喜びや感動などの体験がストレス軽減効果をもたらし、日常の血圧を低下させるという効果もあります。
お風呂
高血圧の持病があったり高齢の方は冬場の暖かいお風呂から寒い脱衣所に移動したときに血圧が急上昇し、ヒートショックを起こす可能性があります。
入浴には血圧を下げたり免疫力を向上させる効果がありますが、汗をかきやすいため水分が不足し、血液がどろどろになって血管がつまりやすくなる側面があります。
動脈硬化の持病がある方は心筋の酸素不足を生じ、狭心症を引き起こす恐れがありますので注意しましょう。
入浴の際には、以下のような工夫を取り入れることで血圧の大きな変動を抑えることができます。
・お湯の温度を39~41度に設定する
・急にバスタブから立ち上がらない
・食後1時間以内と飲酒時の入浴は避ける
・急激な温度変化を避ける
入浴の際の参考にしてみてください。
トイレでの排尿・排便時
排尿・排便時に血圧は上昇します。
さらに、排尿を我慢していると血圧が上がる傾向にあり、排尿後に一気に血圧が下がると気を失う可能性もあります。
急に立ち上がる動きも血圧上昇の原因となるため、排尿・排便のあとはゆっくりと立ち上がるよう注意しましょう。
高血圧で気を付けたい生活習慣
高血圧の改善には、生活習慣の見直しをすることが大切です。
高血圧は「生活習慣病」と呼ばれることがあるように、毎日の生活習慣が高血圧の原因となっているケースが多いです。
高血圧の治療には「薬物療法」と「非薬物療法」があり、この非薬物療法が生活習慣の改善による治療です。
軽い高血圧であれば非薬物療法のみで血圧コントロールを図る場合もあります。
薬物療法を受ける場合でも、内服とあわせて生活習慣の改善を行うことにより血圧コントロールの効果を高めることができます。
ここからは具体的にどのように生活習慣を改善していく必要があるのか解説します。
以下の記事を読んで、まずはできることから日常生活の見直しと高血圧の予防改善に取り組んでみましょう。
食事を見直す
生活習慣の改善の中で最も重要といえるのが、塩分摂取量の見直しです。
日本高血圧学会が推奨している1日の塩分摂取量は6.0gです。
それに対し、男性は1日平均10.9g、女性は1日平均9.3gの塩分を摂取しているという調査結果(出典:国民健康・栄養調査)があり、推奨量よりも多くの塩分を摂取しているということが明らかとなっています。
塩分は血圧をあげる大きな原因となるため摂取量を減らす必要があります。
減塩対策の具体的な方法をご紹介します。
・出汁などのうま味を利用し、塩分を多く含む調味料の多用を避ける
・酒、香辛料(コショウなど)、香味野菜(にんにくなど)、酸味のある果物(レモンなど)を活用する
・めん類のつゆは飲まない
・既製品や加工食品の使用を避ける
・漬物やカレー、梅干し、干物など塩分を多く使用している料理は避ける
・旬の野菜や多くの具材を使用するなど、食材本来の味を楽しめる料理を意識する
以上のような様々な対策がありますので、ご自分に合った方法で食事の見直しを行ってみてください。
また、減塩だけでなく、カリウムを多く摂取することも大切です。
カリウムは腎臓から食塩を排出する作用があるため、積極的に摂取すると血圧低下に効果が期待できます。
カリウムを多く含む野菜や果物・海藻類・ナッツ類などを多く摂取することをおすすめします。
ただし、腎臓の機能が低下している方はカリウムをうまく排出できず、血液中のカリウム濃度が高まって悪影響を及ぼす恐れがあるため必ずかかりつけ医に相談しましょう。
運動をする
継続的な運動には、血圧を下げる効果があります。
血圧を下げるためには、軽強度の有酸素運動を毎日30分・または180分/週行うことが効果的であるとされています。(出典元:高血圧治療ガイドライン2019)
高血圧をはじめとする生活習慣病の予防には、速歩・ステップ運動・スロージョギング・ランニング・水中運動のような有酸素運動がおすすめです。
一度に30分以上運動を継続することが難しい場合には、何回かに分けて運動するようにしましょう。
分けて運動する場合、日本高血圧学会による「高血圧治療ガイドライン2019」では、1回10分以上の運動を1日合計40分行うことが推奨されています。
運動の効果を高めようと急に激しい運動をすることは逆効果で、血圧の上昇につながる可能性もあります。
運動をはじめる前に担当の医師に相談し、ご自身の健康状態に合った運動計画を立てましょう。
ストレスを溜めない
ストレスを溜めると交感神経が刺激され、血圧上昇につながるリスクがあります。
1日のどこかでゆっくりとリラックスできる時間を確保し、ストレスをためすぎないよう心がけましょう。
また、しっかりと睡眠や休息をとることも大切です。
睡眠不足の状態になると交感神経が活発になるため血管が収縮して心拍出量が増加し、血圧が上昇しやすい状態となります。
忙しい毎日の中でも良質な睡眠が得られる時間を確保し、体内リズムを整えましょう。
体重の管理をする
肥満を改善することにより血圧を下げる効果があります。
4~5kgの減量で収縮期血4mmHg程度の低下が期待できるとされています。(出典元:高血圧治療ガイドライン2019)
肥満は高血圧だけでなく脳梗塞や睡眠時無呼吸症候群・脂肪肝・肝臓がん・冠動脈疾患などのリスクも高まるので適切体重の維持に務めることが重要です。
体重の目安はBMI(ビー・エム・アイ)という世界共通の肥満度の指標で評価できます。
BMIは以下の計算方法で算出できます。
BMI=体重(kg)÷[身長(m)の2乗]
日本ではBMI25未満を目標に減量を行うことが奨められています。
肥満を伴う高血圧患者に対しては減量を推奨することが多いですが、急激な減量は体調に悪影響を及ぼす可能性もあるので無理のない減量を目指していきましょう。
普段の食事は8分目まで、1日3食規則正しい食生活を心掛けることをおすすめします。
節酒する
アルコール摂取の習慣は、高血圧の原因となるので節酒をしましょう。
長期にわたる多量の飲酒は、高血圧だけではなく脳血管障害や肝疾患・がんなどのリスクを高めます。
厚生労働省による「節度ある適度な飲酒」の目安は1日平均純アルコールで20g程度です。
これはビール中瓶1本500ml、清酒・焼酎(35度)1合180ml、ワイン1杯120ml、ウイスキー・ブランデーダブル60mlが目安です。
お酒を飲む際の参考にしてください。
禁煙する
喫煙をしている方はなるべく早めに禁煙をしましょう。
タバコに含まれるニコチンには、血管を収縮させる作用があり血圧上昇につながります。
喫煙を継続的に行うことによって血流が悪くなり、動脈硬化のリスクが高まることも明らかとなっています。
そのため、喫煙している方は早めに禁煙を目指す必要があります。
自分で禁煙することが困難に感じたら、禁煙外来や市販の禁煙補助薬(ニコチンパッチなど)を活用することをおすすめします。
高血圧と頭痛でよくある質問
本記事では高血圧と頭痛の因果関係について解説してきました。
ここからは高血圧と頭痛に関して、皆さんが抱きやすい疑問について詳しくお答えします。
頭痛と高血圧があって受診を迷われている方は、ぜひ参考にしてみてください。
- 血圧はどのくらい高くなると危険か?
- 高血圧は何科で診てもらう?
- 頭痛がして病院に行くタイミングは?
- ロキソニンやバファリンなどの市販の頭痛薬は使える?
血圧はどのくらい高くなると危険か?
日本では、診察室で測定した血圧が140/90mmHg以上、ご家庭で測定した血圧が135/85mmHg以上の場合に高血圧と診断されます。
中でも、高血圧の中で特に注意する必要があるのは「悪性高血圧」です。
悪性高血圧は収縮期血圧が180mmHgを超える状態で、放置すると半年~1年ほどで死に至るという予後が非常に悪くなる可能性が高い高血圧です。
高血圧患者の中で1%以下の方に起こり、30~40歳代の比較的若い男性に多いです。
悪性高血圧になると以下のような4症状が出現します。
・拡張期血圧が130mmHg以上
・目の奥に乳頭浮腫という所見が現れる
・腎臓の機能が急激に低下する
・体重減少や心不全・知覚障害など、全身状態が急激に悪化する
上記のような症状を自覚したらできるだけ早めに医療機関を受診し、医師による診察を受けることをおすすめします。
高血圧は何科で診てもらう?
健康診断などで血圧が高いことを指摘されたら、内科や循環器内科を受診することが一般的です。
日本人の高血圧性疾患の患者数は約15,03万人(令和2年患者調査)で総患者数の最多を占める傷病です。
非常にポピュラーな疾患といえますので、一般的な内科や循環器内科であればほとんどの病院で診療を受けることが可能でしょう。
とくに、循環器科は主に血液の流れに関連する臓器を専門として診察しています。
より専門的な治療を希望される場合には、循環器内科を受診すると安心でしょう。
また、最近は高血圧内科を設置する医療機関も存在するようです。
受診後に高血圧と診断された場合は内服管理や運動療法・食事療法の指導などにより定期的に通院することが多いため、自宅や職場から通いやすい病院を選択することをおすすめします。
頭痛がして病院に行くタイミングは?
頭痛はほとんどの方が経験したことのある症状ですが、もし頭痛により日常生活に支障が出ていたり普段の頭痛とはなにか違うと感じる場合には無理せず病院を受診しましょう。
ほかにも次のような場合にはすみやかに受診する必要があります。
・突然の激しい頭痛
・徐々に強くなっている頭痛
・市販の頭痛薬が効かない頭痛
・片頭痛を疑うような特徴のある頭痛
・吐き気を伴う頭痛
・別の症状(しびれ・麻痺・意識障害・言語障害など)をともなう頭痛
症状が頭痛だけの場合は、まずかかりつけ医や内科の医師に相談するのが一般的です。
激しい頭痛や吐き気・意識障害などが併発している場合には救急車を呼ぶか、CTやMRI検査を受けられる脳神経外科や神経内科を受診するとよいでしょう。
ロキソニンやバファリンなどの市販の頭痛薬は使える?
頭痛が起きると市販の頭痛薬を内服して対処される方も多いと思います。
市販の頭痛薬はドラッグストアで簡単に手に入り、突然の頭痛に使用できるので便利です。
市販の頭痛薬には、非ステロイド性抗炎症薬「NSAIDs」と「アセトアミノフェン」があります。
NSAIDsとアセトアミノフェンの違いは以下の表をご覧ください。
分類 | 成分 | 特徴 |
---|---|---|
NSAIDs | イブプロフェン | ・アセトアミノフェンと比べ痛みや炎症を抑える効果が強い ・アセトアミノフェンに比べて胃への負担が大きい ・15歳未満の小児は服用不可 |
ロキソプロフェン | ||
– | アセトアミノフェン | ・NSAIDsに比べ痛みや炎症に対する作用がおだやか ・胃への負担がNSAIDsに比べて少ない ・15歳未満が服薬可能な小児用の市販薬もある |
NSAIDsはアセトアミノフェンより痛みに対する効果が強い特徴がありますが、胃腸への刺激が強く15歳未満の小児は使用できないという点がデメリットです。
ロキソニンやバファリンはNSAIDsに分類されます。
その点アセトアミノフェンは胃腸にやさしいため15歳未満の小児や授乳中の方でも使用できる市販薬の販売があり、空腹時の使用も可能です。
しかし、痛みに対する効果はNSAIDsと比較して劣っていると言わざるを得ません。
また、市販の頭痛薬を内服しても頭痛が改善しないケースもあります。
原因は脳疾患(脳腫瘍や脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血)やウイルス・群発性頭痛・精神疾患(うつ病・自律神経失調症など)が考えられます。
その場合は市販薬の使用を中止し、一度病院を受診することをおすすめしています。
効果はあるけれど頻回に頭痛薬を内服しているという場合も注意が必要です。
高血圧と頭痛のまとめ
頭痛は様々な原因によって引き起こされるものであり、必ずしも高血圧と関係があるとは断言できません。
しかし、なかには高血圧と因果関係があって頭痛が引き起こされる場合もあります。
頭痛が重大な病気の前兆であるケースもあるため、激しい頭痛に悩んでいる方は医療機関を受診することをおすすめします。
また、高血圧はさまざまな病気につながるリスクがあるため注意しましょう。
生活習慣の改善による血圧コントロールや日々の血圧測定による血圧管理を徹底し、血圧を改善していくことが大切です。