「会社で癇癪を起こしてしまい、周りの視線が気になるようになった」
このように悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
確かにイライラするとどうしていいのかわからなくなり、癇癪を起こしてしまうこともあるかもしれません。
当記事では大人の癇癪や、発達障害の可能性について解説します。
イライラしたときの対処法についても解説するため、毎日のイライラをなんとかしたいという方はぜひ参考にしてみてください。
- 大人の癇癪もちは30~40代に多いが徐々に落ち着いてくる
- 怒りのコントロールにはアンガーマネジメントが効果的である
- 大人の癇癪には発達障害が絡むこともある
- 発達障害の場合は治療もできるため、専門の相談窓口や医療機関へ相談してほしい
大人の癇癪とは?怒ってしまう原因
癇癪という言葉は医学的解釈がないため、一般的には怒りの気持ちを抑えきれなくなり感情を爆発させた状態のことを言います。
子どもにとってはよくある話で、2~4歳の子に多いとされています。
子どもの場合は欲求不満によって癇癪が引き起こされますが、大人は欲求不満ではなく、怒りによって癇癪を引き起こすケースが多いです。
大人の癇癪は年齢とともに落ち着き30~40代で多くの場合が改善されるといわれています。
しかし、この年代を過ぎても癇癪が続くケースもあります。
生活の中でやりにくさを感じてしまう
癇癪を起こしているときに起こりがちな行動は次の通りです。
- 人や物に激しく当たる
- 攻撃的な言動をとる
- 仕事や勉強が手につかなくなる など
これらの行動を大人が社会であるいは家族の前でするとどうなるでしょうか。
職場でこれらの行動をとった場合、社会人としての在り方を問われます。
さらに、営業など人と関わる仕事であれば仕事の実績に影響が出てしまうでしょう。
人と関わらない職業であっても会社内の人間関係に影響を及ぼし、仕事や自分の評価へ支障が出るかもしれません。
また、家庭で癇癪を起してしまうと、家庭内の人間関係へも影響を及ぼします。
特に、子育て中の方は、子どもの人格形成にも影響が出てしまうかもしれません。
癇癪を起こすことでさまざまな場面で影響が出てしまうため、大人の癇癪は対処したりコントロールをしたりするのが望ましいといわれているのです。
カッとなる原因
怒りとは人が自分の身を守るために持っている感情です。
そのため、怒りは決して悪いものではありません。
主に、不当な扱いや理不尽な言動にさらされた時、自分の身に危険が生じた時、自分の価値観や立場が傷つけられた時に湧き上がる感情とされています。
しかし、上記のような状態になったからと言って全ての人が怒りの感情につながるわけではありません。
上記の状態に加えて、不安や孤独感、罪悪感などのネガティブな感情や、疲労、ストレス、睡眠不足などの心身の不調が加わると怒りにつながります。
怒りをコントロールするには
怒りをあらわにし、攻撃や破壊を見せると一般的にはストレスを解消できていると思われるかもしれません。
しかし、怒っている側も、交感神経の高まりによる血圧の上昇、心拍数の増加、さらにはストレスの増加などダメージが発生しています。
そのため、やみくもに怒ることは自分を心身ともに傷つける結果につながるのです。
自分も心身穏やかに過ごすためには怒りの感情をコントロールすることが必要です。
怒りをコントロールする方法
怒りをコントロールする方法はさまざまありますが、まずは日常生活の見直しを行いましょう。
特に睡眠は感情コントロールに多大なる影響を与えるといわれています。
人は寝不足の状態になると、まず脳の前頭葉の働きが低下するといわれており情緒が不安定になったり怒りっぽくなったりするといわれています。
そのため、睡眠時間を確保していきたいものですが、その一方で、睡眠の質もこだわるべきポイントの1つです。
怒りの感情を抱えたまま眠ると交感神経が優位な状態となるため寝つきが悪くなります。
また、夜間抱えた怒りの感情は消えづらいともいわれており、ずっと記憶に残り続けてしまいます。
夜間は心穏やかに過ごし、睡眠時間を確保しつつ質の高い睡眠をとることがよいでしょう。
アンガーマネジメントの方法
怒りのコントロール方法の1つとして今注目されているのがアンガーマネジメントです。
アンガーマネジメントとは怒りの感情と付き合うための心理トレーニングで、米国で生まれました。
もともとはDV加害者や軽犯罪者に対する矯正プログラでしたが、現在では幅広く活用されています。
アンガーマネジメントをすることで、自己分析ができるようになるほか、人間関係のトラブルが減り、コミュニケーションが良好にとれるようになるといわれています。
近年では、上司にあたる方が部下へのパワハラ防止を目的とした理、それ以外の方でも仕事の質を高めるという目的で、アンガーマネジメントの研修を積極的に行う職場も増えてきています。
アンガーマネジメントの方法は次の5つです。
深呼吸して6秒待つ
人の怒りがピークで維持される時間は6秒といわれており、6秒間をやり過ごせば、怒りが静まると考えられています。
ただ、普通に6秒数えるのはかんたんに思えて実はかなり難易度が高く、人によっは6秒たつ前に反射的に怒りの感情に任せた行動をするケースもあります。
そのため、6秒待つのとあわせて行いたいのが深呼吸です。
鼻から息を吸って、1~2秒息を止め、口から細く長く息を吐ききるという呼吸に集中することで、怒りから気をそらし、怒りを鎮められるのです。
怒りの数値を記録する
怒りを感じたならば、その怒りを数値にして記録します。
自分が分かりやすく、あとで比較できるように1~5の数値を使い、怒りのレベルが低かったものを1、高かったものを5として評価していくとよいでしょう。
怒りを可視化することで、自分はどのようなことに対して怒りを感じるのかが分かるようになります。
怒りの場所から離れる
怒りを感じた場所にとどまれば、怒りがヒートアップするかもしれません。
そのため怒りを感じた場所から離れるようにしましょう。
もしも、SNSなどで怒りを感じるようなことがあった場合には、スマホを見ないようにするのも良いでしょう。
怒りの場所から離れて冷静になり、いったん落ち着けば怒りをヒートアップすることはなくなるでしょう。
他のことに集中する
怒りを感じた瞬間にほかのことに集中して意識をそらすというのも1つの方法です。
大きなことをするのではなく、例えば自分の手にあるしわの数を数えたり、手元にあるものの形を眺めたりするのもかまいません。
他のことに意識を集中し、怒りの感情に距離を置いていきます。
価値観の違いと割り切る
怒り散らしたとしてもその人が改善されるとは限りません。
そのため、怒りを感じた相手と自分とは価値観が違うんだと割り切るのもアンガーマネジメントとしては有効です。
もしも、その場で割り切るのが難しいと思ったときはタイムアウトを活用しましょう。
タイムアウトとは、物理的に距離を置くことです。
例えば、一旦場を離れて15分後に戻ってくる、商談中であれば話を後日にするなど一旦離れることで、価値観の違いと容易に割り切れるようになるでしょう。
発達障害の特徴をチェック
発達障害とひとことで言ってもさまざまな特徴があります。
ここで、発達障害の代表ともいえる2つの障害を紹介します。
大人のASD(自閉症スペクトラム)
自閉症スペクトラムは子どもの障害として有名です。
大人のASD症状は以下があります。
- 親密なつきあいが苦手
- 人と共感しない
- 冗談やたとえ話がわからない
- 会話が一方的
- 急な予定変更に混乱する
- 融通がきかない
しかし、ASDでなくても上記に当てはまる方もいます。
また、子どもの頃はそうではなかったのに大人になってから上記のような症状が出ている方もいます。
子どもについては診断をして治療をしていくケースが多いですが、大人においては診断をつけるというよりも、自分の特性を知ったうえでどのように人と付き合うかの判断材料としていくのがよいでしょう。
大人のADHD(注意欠如・多動症)
発達障害は大人になってから気付かれるケースもあるため、職場での様子からADHDを指摘されるケースもあるかもしれません。
実際に2.5%ほどの人が大人になってからADHDを診断されています。
大人のADHDの特徴は次の通りです。
- 集中し続けられず作業にミスを生じやすい(不注意)
- 落ち着きがない(多動性・衝動性)
- 待てない(多動性・衝動性)
大人になるにつれて多動性・衝動性の程度は目立たなくなる一方で、不注意は大人になってからの方が顕著にみられるケースもあります。
ADHDによる症状は環境調整や薬物療法での対処が可能です。
大人の癇癪の対処法
大人の癇癪はどのように対処したらよいのか気になる方もいるかもしれません。
大人の癇癪の対処法は次の通りです。
相談場所や機関は?
大人の発達障害は、専門の相談窓口や医療機関へ相談しましょう。
専門の相談窓口は、発達障害のある人への支援を総合的に行う専門機関の発達障害者支援センターを活用しましょう。
発達障害者支援センターは全国にあり、発達障害がある人でも快適に生活できるようにさまざまな部署と連携してくれます。
家族からの相談も可能なため、周りに苦しんでいる方がいれば相談してあげると良いでしょう。
また、発達障害による何かしらの症状で苦しんでいるという場合には、医療機関の活用がベストです。
医療機関は、精神科や心療内科で診療をしてくれます。
医療機関の場合は、保険証を持っていきましょう。
そのほか、相談窓口や医療機関によっては持ち物が異なるため、事前に相談予定の施設に確認するとよいでしょう。
病院で治療できる?
大人の発達障害は、大人のADHD(注意欠如・多動症)の場合、薬による治療が可能です。
薬はその人の症状や既往歴、過去にADHDと診断されているかどうかによっても異なります。
子どもの頃、ADHDと診断されている方は、その時に使用していた薬が処方されるケースもあります。
そのため、まずは受診する医療機関へと確認しましょう。
周りにいる人ができることは?
友人や家族、職場の同僚が大人の癇癪で苦しんでいると助けてあげたいと思うかもしれません。
癇癪で悩む人がいれば、その人を矯正しようとするのではなく、その人を理解し、その人の特性に合わせて付き合っていくことがポイントです。
特に、大人で癇癪を起こす人は発達障害である可能性も高いです。
そのため、抽象的ではなく具体的に説明をする、視覚と聴覚どちらがその人が理解しやすいかを知り、その人に合った方法で情報を伝えたりしましょう。
また、「知っていて当たり前」ということでも1から丁寧に教えたり、自分が見本を見せたりして理解を促すと良いでしょう。
大人の癇癪のまとめ
性格的に怒りっぽいという人もいるかもしれませんが、大人の癇癪には発達障害が絡んでいるケースも少なくありません。
まずは、アンガーマネジメントなどを実施して自分で怒りを鎮められるようにコントロールしていきましょう。
アンガーマネジメントをしていても、職場に迷惑をかけるような癇癪を起こしたり、人との付き合い方に悩んだりするときには、専門の相談窓口や医療機関に相談して、自分にあった適切な対処法を見つけてみてはいかがでしょうか。