【医療コラム】中高年の赤紫や青紫色のあざ

【医療コラム】中高年の赤紫や青紫色のあざ

みなさん、こんにちは。あいクリニック平尾院長の奥村光絵です。

ぶつけてもいないのに、赤紫や青紫色のあざのようなものができていることはありませんか。

血管から流れ出た血が皮膚の中にたまり皮膚が紫色や青黒いあざになる状態を皮下出血(紫斑)といいます。

原因はさまざまですが、心配ないことも多いです。例えば体の頭側でおきた皮下出血が重力で下がってきて、関係のないところにあざがみられることがあります。また血管の問題だったり薬剤の影響だったり、口鼻喉の炎症が原因だったりすることもあります。

加齢などが理由で皮膚や血管が弱くなり、ほんの少しのダメージで毛細血管が障害され、出血してあざが現れる老人性紫斑は、手や腕に限定されていることが特徴で検査異常もなく治療の必要もありません。

20代~40代女性に多いのは単純性紫斑といわれ、外傷など刺激がないのに、四肢、特に下腿に点状出血やあざが現れるもので、特定の原因は不明です。基礎疾患や検査異常がない場合は治療は必要ありません。

同様に下肢の皮膚に慢性的に繰り返し現れ、かゆみを伴うことがあったり、広範囲に広がることもあるあざは、中高年に多い慢性色素性紫斑(特発性色素性紫斑)というものです。原因は不明ですが、微小循環障害や血管壁の弱さが関係している場合や、歯周病や虫歯・慢性副鼻腔炎・扁桃炎などがあり、炎症性物質が血流を介して移動しておこる場合や、薬剤性も考えられています。治療しても慢性のため完治しにくいことが多いです。さらに薬剤によるあざは、アスピリン製剤、抗凝固薬といった血液サラサラの薬は出血がとまりにくく、皮下出血も多くなり消えるまで時間がかかります。また痛み止めの中にも血小板機能低下を生じてあざができやすくなったりする薬もありますし、ステロイドの長期内服が関係することもあります。さらにステロイドの塗り薬も使いすぎるとあざができやすくなります。

今回取り上げたあざは心配ないものですが、お薬の影響が考えられるときには処方してもらった先生に相談してください。まれに血液疾患や内臓疾患によることもあるため皮膚科や内科で必要な検査を受けるとよいでしょう。


【今回のポイント】

◆あざは目に見えるので気になるけれど、心配のない場合が多い

◆内服薬などが原因で、できるあざもあります


参考文献:「臨床血栓止血学」(医歯薬出版)、「皮膚科学」(金芳堂)

執筆者プロフィール

あいクリニック平尾 院長 奥村 光絵(おくむら・みつえ)

【専門】内科

・日本内科学会認定総合内科専門医
・日本血液学会認定血液内科専門医

総合病院を経て2017年に入職。現在稲城市で訪問診療と高齢者の内科外来に従事。

「血管を強くするのに有効なのはビタミンC。今の季節ならみかんやいちごがおすすめです」

(あっぱれ2022年新春号に掲載)

 

 


2022年1月4日 カテゴリー(あいクリニック平尾): 医療コラム

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