
【看護師コラム】食事の正しい姿勢とは
誤嚥性肺炎とは、食べ物・唾液などが誤って気道内に入る「誤嚥」が原因で発症します。
年齢を重ねると誤嚥性肺炎のリスクが高まります。加えて、嚥下障害の原因となる脳血管障害・神経筋疾患・認知症などを伴うと更にリスクが高まります。
誤嚥性肺炎は、2022年の厚生労働省の人口動態統計の日本人の死因で、1位悪性新生物、2位心疾患、3位老衰、4位脳血管障害、5位肺炎に次いで、6位となっています。
今後、誤嚥性肺炎による死因者が増加すると予想されています。誤嚥性肺炎の予防策として、嚥下食、トロミ剤、一口量、嚥下体操、姿勢などがあります。今回は、その中から正しい姿勢について紹介します。
みなさんは、また、ご家族の方は、どのような姿勢で、食べたり、飲んだりしていますか?
NG姿勢
・身体が、後ろや前、横に傾いていませんか?
・足が浮いていませんか?
・顎が上がって、首が後屈していませんか?
以上の姿勢は「誤嚥」を生じやすい代表的な姿勢です。
OK姿勢
●股関節・膝・足首を90度にして足底を床につけましょう。
・腰や背中、横に倒れやすい方にはクッションなどを入れると姿勢が安定します。
・椅子の高さは両足の裏が床につくようにしましょう。高さが調整できない椅子の場合は、足台、雑誌などを使用して足が浮かないようにしましょう。

●食器を置くテーブルは、肘を90度に曲げて腕を置ける高さが理想です。
・テーブルが高いと、顎が上がりやすくなります。

・顎は、顎と胸の距離が、握りこぶし1個分入る程度にひきましょう。
・姿勢が安定する事で、顎をひいた姿勢をとりやすくなります。

<猫背の方>
・猫背の方は、椅子に深く座ると背中が丸まっているため、頭が下がりやすいです。その姿勢で食べようとすると、頭を上げるため、顎が上がってしまいます。
対策として、椅子に浅く座り、腰背と椅子の隙間にクッションなどを入れて姿勢を安定させると顎をひいた姿勢をとりやすいです。
<ベッドで食べる場合>
・太もも・膝の下、足底にクッションを入れて足を安定させましょう。
(足底を床につける事で、足の踏ん張りが効き、飲み込み時に力が入りやすいです)
・枕が低いと顎が上がりやすいです。対策として、枕を高くすると顎をひいた姿勢をとりやすくなります。
姿勢を整えて安全で美味しい「食」を楽しみましょう。
執筆者プロフィール
大川 智恵子(おおかわ・ちえこ)
あい訪問看護ステーシ
日本看護協会認定 摂食・嚥下障害看護認定看護師
(あっぱれ2024年春号に掲載)
2024年4月15日 カテゴリー(あい訪問看護ステーション): 医療コラム。
ブログカテゴリー
ブログ記事一覧
お知らせ
- 2025.10.28
- 訪問看護指示書ダウンロード
ステーション日記
- 2025.10.27
- 【専門性を磨く】「飲込みの動き」を多角的に学ぶ!嚥下ケア勉強会
イベント・講座
- 2025.10.23
- 【訪問看護師対象】11/15(土)循環器系疾患のアセスメントと報告
電話でお問合せ
メールでお問合せ
アクセス