
【医療コラム】脂肪肝のはなし
(NAFLD・NASH)
みなさん、こんにちは。院長の明石です。
健康診断で脂肪肝かもしれないと言われた方はいませんか?
アルコール多飲者では脂肪肝になることは知られていましたが、アルコール多飲者ではない、非アルコール性脂肪肝(NAFLD:ナッフルディー)になる日本人は約25%いることがわかってきました。そのうち約20%は進行性の非アルコール性脂肪肝炎(NASH:ナッシュ)となり、さらにその20%が肝硬変や肝がんになるといわれており、発見次第すみやかに治療が必要と考えられています。
「アルコール多飲ではない」の具体的な目安は、お酒に含まれるエタノール量が1日あたり男性で30g未満、女性では20g未満とされています。30gとはビールなら750ml(大瓶1本強)、日本酒なら1合半、ワインはグラス2杯半、ウイスキーはダブルで1杯半に相当します(女性ではその2/3)。これよりも飲酒量が少ない方にみられる脂肪肝がNAFLDということになります。
脂肪肝とは余分な糖質や脂質が中性脂肪に変わり、肝臓に中性脂肪が蓄積された状態です。食べ過ぎ、運動不足、内臓脂肪型肥満、糖尿病、脂質異常症などによって患う場合が多く、いわゆるメタボリック症候群に深く関係しています。
肝臓は沈黙の臓器と呼ばれるようにNAFLDも、あるいはNASHでさえも、自覚症状はほとんどありません。しだいに肝線維化、肝硬変へ進行するに伴い、全身倦怠感、掻痒感、黄疸などの症状がみられるようになります。よって早期発見には健康診断による血液検査が大変重要になります。
NAFLDやNASHは、肥満やメタボリックシンドロームの影響が肝臓にとくに強く現れて起こる病気です。よって、食生活の改善(糖分や脂肪分を控える)、運動療法によって減量を促して、肝機能を正常に保つように心がけることが重要です。また、糖尿病や脂質異常症、高血圧などを合併している場合は、それらの治療をしっかり行います。
内服薬では、ウルソデオキシコール酸(ウルソ)、ビタミンEの内服などが有効とされていますが長期間にわたる効果は証明されていません。また、脂質異常症や高血圧治療薬にも期待されているものがありますが、NASH自体、まだ新しい肝疾患の概念のため、その経過、治療法については今後さらに研究し検討を重ねる必要があります。
執筆者プロフィール
河北医療財団 副理事長/多摩事業部 事業部長/あいクリニック中沢 院長
明石のぞみ(あかし・のぞみ)
【専門】内科
・日本内科学会 認定内科医
・日本老年医学会 認定老年病専門医
・日本リハビリテーション医学会 認定臨床医
(広報誌『あっぱれ』2022年秋号掲載)
2022年10月5日 カテゴリー(あいクリニック中沢): 医療コラム。
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