【職員インタビュー】看護師@天本病院

残された時間を大切に。看護師としてできること

今回は、天本病院の入院病棟で看護師として働く沢口さんのインタビューをお届けします。

こちらの関わり方で、人との関係性は変わる

―これまで療養型や精神科の病棟で看護師として働いてきた沢口さん。2人のお子さんの子育てが少し落ち着いてきたタイミングで、パートから正職員に戻ろうと転職を決意。自宅から近く、もともと知っていた天本病院へ入職しました。

「これまでの経験から、急性期の病院よりこちらの方が自分に向いていると思っていました。就職でいちばん重視するのは職場の雰囲気です。でもそれは、正直入ってみないとわからないし、自分の心の持ちかた次第だとも思っているんです。患者さんや職員との関わり、そういった人との関係性を大切に、これまで働いてきたような気がしています。看護師は大変なこともありますが、一度も辞めようと思ったことはないですね。天本病院に入職して2年半が経ちましたが、師長や同僚がいつも相談にのってくれますし、医師も優しいですね。長く働くためにはシフトの融通がきくかという点も重要ですが、ここでは夜勤なども家庭の事情にあわせて調整してくれるので、とても助かっています。有給休暇も取りやすく、働きやすい職場だと思います」

最期の時間を過ごす場所で

―沢口さんの働く特殊疾患病棟は、ご高齢で重度の障がいをお持ちの方が多く、長期療養を目的とした病棟です。退院が見込まれず、こちらで最期を迎える患者さんも多くいらっしゃいますね。

「寝たきりで意思表示が難しい患者さんがほとんどなので、一見すると病棟は静かですが、看護師は大忙しです。経管栄養やたん吸引の方が多いのですが、ご自分で訴えられない分、こちらが異変に敏感に気付いてあげないと命の危険に関わります。スタッフは常に病室に入り対応している状態です。

少しでもお話ができる患者さんには、なるべく多くお声をかけるようにしています。そうすると私のことを覚えてくれるのか、顔を出すとほっとした顔を見せてくださったり。そうやって信頼関係を築いていけるのかな、って。今日はこんなにお話しできるんだ、今日はお身体のこの部分なら動くんだ、とか、ちょっとしたことですが、そんな日々のやりとりが嬉しいですね。また、寝たきりで動けなくて、意識がないと思える患者さんでも、こちらの対応次第で表情が微妙に和らいだり、反応を見せてくださることがあります。他の方にはわかりづらいかもしれませんが、私にはそう思えるんですよね。

この病棟では、積極的に治療して退院を目指すというのではなく、現状維持か徐々に心身の状態が低下していく患者さんの療養が主になるのですが、そんな中でも、患者さんとのこういった関わりがやりがいにつながっていると感じます」

コロナ禍で、入院中の患者さんはご家族との面会も難しくなってしまいました。

「そうですね。昨年、私が担当していた方で難病をお持ちの方がいらっしゃいました。寝たきりでしたが意識ははっきりとされている方でした。最期は身体の痛みも強くてナースコールも頻回だったので、少しでも不安を和らげるためにおしゃべりする時間をつくったりしていたのですが、他に何かしてあげられることはないか、と師長に相談したんです。その方はスマホをお持ちだったので、ライン電話の画面を使って遠方のご家族にお顔を見せたらどうかって。それまでそういった試みはしていなかったのですが、師長も快諾してくださって、最期にご家族とお話することができて、とても喜ばれていました」

ー患者さんやご家族が、残された時間を少しでも豊かに過ごすために、看護師ができることは多そうですね。

「私はもともと、積極的に話すのは苦手なタイプなんです。患者さんやご家族にどんな言葉をかけてあげたらよいのかわからないし難しいところもあって。でも天本病院では、患者さんはもちろんですが、ご家族との関わりも大切にするという方針だと師長から伺い、どうしたらよいのか相談していくうちに自分の中で変わっていきました。ご家族も、入院中の親御さんの姿をみて、戸惑ってしまう方も多いんです。意識がないから話しかけてもわからないだろう・・・と、遠くからベッドを見るだけで帰ってしまったり。そんな時は声をかけて、今の様子をなるべくお伝えするんです。そして、お身体さすってあげてみてください、お声をかけてみてください、きっと伝わりますよ、と。私の父も療養型の病院に入院していました。あまり会いにいけなかったんですが、自分だったらやっぱり親の様子を知りたいな、って思うのもあって伝えるようにしています。何が本当に必要かはわかりませんが、最期の限られた時間を過ごされている患者さんやご家族に対して、少しでもお手伝いができたらと考えています」

 

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(2021年3月取材・※撮影時のみ一時的にマスクを外しています)