ロコモティブシンドローム

ロコモティブシンドローム

みなさん、こんにちは。医師の田中聡です。

ロコモティブシンドローム(略称:ロコモ)という言葉をご存じでしょうか?メタボリックシンドローム(メタボ)は知ってるけど、ロコモはちょっと・・・?という方もいらっしゃるかと思います。ロコモとは2007年に日本整形外科学会が提唱した概念で、筋肉・骨・関節・神経などの運動器に障がいがおこり、立ったり歩いたりする能力が衰えてきた状態です。

2014年に健常から要介護状態へ移行する中間の段階として、フレイルという概念が提唱されるようになりました。フレイルには身体的、精神・心理的、社会的要素がありますが、ロコモが進行した「ロコモ度3」はこの身体的フレイルに相当しています。つまりロコモとは「脚・腰に衰えが始まり、将来的に要介護状態になることが危惧される状態」です。

以下、1つでもあてはまればロコモの心配があります。

片脚立ちで靴下が履けない。

家の中でつまずいたりすべったりする。

階段を上るのに手すりが必要。

掃除機の使用や布団の上げ下ろしなどの家のやや重い仕事が困難である。

2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である。

15分くらい続けて歩くことができない。

横断歩道を青信号で渡りきれない。

現在、コロナ禍の状況で外出機会や他者との交流も減り、身体機能の衰えが懸念されます。いつまでも元気な足腰でいるために、日本整形外科学会では「ロコトレ」を推奨しています。ロコトレは自宅でできる簡単な2つのトレーニング、バランス能力をつける「片脚立ち」と下肢筋力をつける「スクワット」です。安全を優先して無理せずに毎日の運動を心がけましょう。

まずはこれだけ!おうちでロコトレ

バランス能力をつける片脚立ち

片足1分間で1セット×1日3セット(目安)

1.転倒しないように必ずつかまるものがある場所に立つ。

2.次に、足先が床につかない程度に片脚を上げて1分間保持する。

※安全のため、簡単に動く椅子は使わずに、机や手すりを利用してください。

※支えが必要な人は机に両手をついて行ってください↓

下肢の筋力をつけるスクワット

5~6回で1セット×1日3セット(目安)

1.足を肩幅に広げて背筋を伸ばして真っすぐ立つ。

2.次に、お尻を後ろに引くように、2~3秒かけてゆっくりと膝を曲げていき、その後ゆっくり戻す。この時、膝がつま先より前に出ないように注意してください。

※難しい場合は椅子に腰かけ、机に手をついたまま立ち座りを繰り返してください。手をつかずにできる場合はかざしてください↓

執筆者プロフィール

天本病院 医師 田中 聡(たなか・さとし)

日本整形外科学会専門医

日本整形外科学会認定 運動器リハビリテーション医

「運動は無理なく安全に取り入れてくださいね」

出典:日本整形外科学会 ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト

(あっぱれ2021年新春号に掲載)

 


2020年12月25日 カテゴリー(天本病院): 医療コラム

ブログカテゴリー

ブログ記事一覧