【医療コラム】ACPに関するあれこれ

【医療コラム】ACPに関するあれこれ

みなさん、こんにちは。医師の池田譲治です。

あいセーフティネットでは今年、ACPに関わる多職種のプロジェクトチームが発足しました。何を隠そう小生もこのチームの一員ですので、今回はACPについてあれこれ語ってみたいと思います。

まず、ACPとはAdvance Care Planning:アドバンス・ケア・プランニングの略称です。ここで少しわかりにくいのは「アドバンス」の所ではないでしょうか。日本では「先進的」「進歩的」という意味で理解している方も多いかと思いますが、ここではそうではなく「事前に」「あらかじめ」という意味です。次の「ケア」は看護・介護も含めた「医療全般」で、「プランニング」は言うまでもなく「計画」ですね。

これを踏まえて、ACPでは何を計画するのでしょう。ざっくり言うと、人生の最期にどういう医療を受けたいのか、あらかじめ書面に残しておく、ということです。人工呼吸器の使用の有無、胃ろうを作るかどうか、終末期を迎える場所の希望など色々な点について細かく指示できます。ACPの記入にあたっては、医療や介護の担当者と話し合って、ACPを書いたということがわかるようにしておきます。これによって、万一意識がなく会話ができない状態に陥ったとしても、事前の希望に沿った医療が受けられることになるでしょう。また、一度記入したらそれが絶対、というわけではありません。人間の考えは変わりやすいものです。ACPに書いた内容はいつでも修正や撤回ができます。定期的に見直すことも認められています。

あいセーフティネットのACPプロジェクトチームでは、「もしもの時の私の希望」というタイトルでACPの用紙を用意しています。まだまだ知名度の低いACPですが、徐々に広まっていけば良いと考えています。この小文をお読みになって興味を抱かれた方は、お近くのあいセーフティネットのスタッフに声をかけてみてください。

☆ACPの用紙をダウンロードこちら

執筆者プロフィール

あいクリニック 医師 池田 譲治(いけだ・じょうじ)

【専門】内科
東京都出身。あいクリニック(訪問診療)および天本病院(入院診療)担当。座右の銘は「為せばなる 為さねば成らぬ 何事も 成らぬは人の 為さぬなりけり」(上杉鷹山)

↑看護師やケアマネなど多職種から構成されたあいセーフティネットのACPプロジェクトメンバー

あっぱれ2020年秋号に掲載

 


2020年10月16日 カテゴリー(あいクリニック): 医療コラム

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