【医療コラム】食べるということ、消化器官を使うということ</br class=">

【医療コラム】食べるということ、
消化器官を使うということ

みなさん、こんにちは。医師の小島俊樹です。

あいクリニック平尾およびあいクリニックにて、消化器内科や訪問診療を担当しております。

以前、ご高齢の患者さんに「前は食べるな食べるなと言われ、今は食べろ食べろと言われ、どっちなんだ!」と戸惑うという話をされたことがあります。生活習慣病のために食事の注意をしたり、栄養状態が低下している方には食事を促したりしますが、まさに医療をしていく中で、食事・栄養というのはとても大切なものだと思います。そして私は消化器内科として食べるということにこだわっていきたいと考えております。

日常、ご高齢の方を診させていただいていると、口から摂食している方は大変お元気で、長生きされています。点滴や中心静脈栄養のような血管から摂る栄養では、やせて衰弱していく様子が目に見えてわかりますが、経管栄養や胃ろう栄養では、血色もよくふっくらとしたままの方が多いです。最近は小腸が免疫に大きく関わっていることもわかっており、消化管は食べ物の通り道というだけではなく、全身の状態を保つためにも、消化管を使うことが生きていく上で重要だということなのです。だから私は、経口摂取できなくなってしまった方にも、経管栄養や胃ろう栄養など消化管を使う栄養をまずはお勧めるようにしています。しかしながら経管栄養や胃ろう栄養でも肺炎を起こしやすかったり、下痢をするようになったりと、どうしても合わない方にはやむを得ず点滴や中心静脈栄養という選択肢をご提示しています。

また、昨今、胃ろうを拒否される方が多いですが、飲み込みの訓練をして、食べられるようになる可能性のある方には、胃ろうは大変有用です。胃ろうから必要な栄養を摂って、体力を回復させながら、嚥下(えんげ)に差し支えない状態で、訓練ができるのです。鼻から喉をチューブが通っていては訓練はうまくいきません。鼻からのチューブは長期間になると本人の苦痛となります。ですから、そういう方には積極的に胃ろうをお勧めしています。

人は、栄養を、本来その役割を担っている器官を使うようにして摂取することが、元気で長生きしていく秘訣なのだろうと思います。

今回のポイント

小腸は免疫にも大きく関わる大切な器官

胃ろうはまた食べられるようになるための訓練に役立つこともあります


執筆者プロフィール
医師 小島俊樹(こじま・としき)

<専門>消化器内科

杏林大学医学部卒業、2021年より入職。

あいクリニック平尾(訪問診療)、あいクリニック(外来診療・訪問診療)に勤務。

「食べることは喜びにもつながり、人生を豊かにします」

 


2021年4月16日 カテゴリー(あいクリニック平尾): 医療コラム

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