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社会医療法人河北医療財団河北総合病院お知らせ

2018-01-01 閲覧される皆さんへ

年頭所感「Smart Society Suginami」

社会医療法人 河北医療財団 理事長 河北 博文

 明けましておめでとうございます。
 2018年が一人ひとりにとって、また、社会にとってよい年になりますよう願っております。
 MicrosoftがOSを独占し、FacebookがSNSで勢力を拡大し、Amazonエフェクトと言われるマーケティング、Googleの検索力、これらはOSを除くすべてアメリカの軍事防衛力から作り出されたインターネット、あるいはGPSの活用に他なりません。そして更にデータサイエンティストはビッグデータを活用し、生物学や生態学、政策学、地政学などを越えたデータサイエンスという分野を確立しつつあります。
 手塚治虫が描いた「鉄腕アトム」、藤子・F・不二雄の「ドラえもん」、アメリカのアニメ「宇宙家族ジェットソン」を思い出してみると、夢や希望に満ちた人たちの関わり、近未来の空間、そして人工知能を持ち人間の姿をしたロボットたちが生活に加わっている明るい社会が描かれています。ドローンと自動運転の車が融合した空中を自由に飛び回る乗り物が描かれ、ロボットたちは自分たちの権利を主張し始め、議会で議論している、そのような社会が想像よりも早く実現されていく気がします。一方、同じ映像では核兵器や生物・化学兵器に汚染された社会、そしてゾンビと言われる者たちがうごめいている暗黒の様子も描き出されています。映像に関わる作家たちの想像力、イマジネーションは尊敬に値すると感じています。
 昨年9月から10月にかけてロンドン、ルクセンブルク、ニューヨーク、シカゴを訪れる機会がありました。一昨年に東京で開催したISQuaの国際学会がロンドンでおこなわれ、そして、横倉日本医師会会長のシカゴでの世界医師会会長就任式への参加が主な目的でした。イギリスでは、リーズで日本人として現在ただ1人、イギリスの家庭医という専門医である澤医師を訪ね、その診療を見ました。人口58万人でありながら1人あたりGDPは長年世界一を続けているルクセンブルクは清潔で安全な若い社会でした。日本のバブル期にはわが国のわずか1.5倍のGDPと言われた米国も、その後四半世紀を経てわが国の4倍のGDPを誇っています。それぞれの社会は活気に満ち、胸を張って歩く人たちが目につきました。
 イギリスのNHS(国民保健サービス)はトニー・ブレア政権の下で大きく改善され、今日、世界一信頼のおけるプライマリケアであると言ってよいでしょう。1986年に杉並地域医療システム(Suginami Regional Healthcare Systems)として始めた杉並区における7つの診療所と河北病院との病診連携システムは、実はこのNHSと佐藤智先生のライフケアシステムを参考にして、実験的に動かした地域医療システムです。将来の可能性を見つめて日本の社会にも適応でき、医療の質を検証できる仕組みとして考えてみました。様々な将来像を描いてみたわけです。そしてこのことは将来わが国で極めて大切な試みであると考え、厚生科学研究費を2ヶ年度得て、厚生省に対し報告書を2回提出しました。実は、この時の連想が今日のSSS(Smart Society Suginami)へと展開しているのです。組織運営でホウレンソウが大切だと言われますが、せっかくなので報告・連絡・相談に加えて、連想力も持ってほしいと思います。現在、進行を始めたSmart Society Suginamiはこのようなイマジネーションの基に、近未来の杉並の地域を作っていくプロジェクトです。
 未来からの投影として、未来から現在を投影し、その未来に向かって今何をすべきかというベクトルと、現在の延長線上で考えていくベクトルを揃えていく必要があります。河北医療財団の杉並事業部と多摩事業部は、現実と未来の両者を踏まえて、生命ある有機体としての医療を想像し続けていこうと思っています。それには、関わっている皆さん、地域社会の人たちも含めて、価値観の共有、問題意識の共有が不可欠です。組織運営の基本に戻り、継続して社会価値を作り続けていきたいと思っています。皆さんの理解と納得、そして積極的な参加を今年も期待いたします。

2018年1月1日